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Oreilg  作者: 篠崎
4/18

#4

あらすじを先に読まないとわけがわからない仕様になっております。

ご了承ください。

拙い表現力のために何もかも伝わらない可能性があります。

ご了承ください。

そのうえでご意見・ご感想、ご評価などいただけたら幸いです。

 4時間目が終わって、賑やかな給食タイムを迎えたここは3年2組の教室。

 相模は苦虫の代わりに鶏肉の照り焼きを噛み潰していた。

「相模くんてさー、背おっきいよね」

「……えっ?」

 正面に座るショートヘアの女子にいきなり声をかけられて、相模は我に返った。

 この中学校は給食を食べるときは五、六人の決まった班で会議のように机を向かい合わせにくっつけて食べるのが主流らしく、今もそんな状態で皆に囲まれるようにして昼食を食べている最中である。

 相模はなるべく自然に見えるようにして笑みを浮かべた。傍から見ればさながら天使の微笑である。

「……そうかな」

「そうだよ。うちのクラスで一番身長が高いのが高原くんだけど、絶対それ以上あるでしょ。180センチくらい?」

 事実、相模は中学生ではないのだから平均身長よりも高いのは当たり前である。曖昧な反応をする相模に、相模の隣に座っていた男子が話にはいってきて思いがけない方向に話を持っていった。

「つーか相模おまえ、1年の紫野崎って女子のこと好きなわけ?」

 表情が硬くなったのが自分でも分かった。しかしその程度で感情の起伏を一般人間に見破られるほどに、相模は尋常ではなかった。

 訊かれた理由は分かっていたしいずれ訊かれるだろうということも予測はしていた。だがいざ訊かれるとなるとどう答えるのが適切かを迷わざるを得なかったのも確かだった。

 それでも相模はにこりと笑って返した。

「紫野崎さんにはひどいことをしちゃったからね。あれからもうずっと申し訳なくて。きっと一生頭が上がらないだろうな」

 本当のことを言えば紫野崎を転ばせたのは相模の故意だったが、誰も知る由がないことは言うまでもない。

 モギュアールから紫野崎の話を聞いているときから、相模は自分がどう動くべきかを考えていた。最初は同じ学校の敷地内に常駐していればどうにかなるだろうと思っていたが、モギュアールから聞いた情報が洩れた可能性のあるテロ組織の前科を聞いて考えを変えた。

 日本に駐留している犯罪者集団は小さなものも数えればかなりの数になるが、その中で際立って危険な集団は、およそ四。Oreilgが主に交戦している組織がその四つの組織で、対Oreilgのエキスパート集団ともいえる。ここ数年の戦闘は、主にその組織との間で起きていた。

 十数年前。世界の平和が乱れ始めたことを案じて、対策を取るべくアメリカが各国のトップを国に招いた。しかしその結果半数が殺害され、事態はより深刻なものとなった。

 紫野崎の情報は、その要人暗殺を計画・実行した組織に伝わった可能性があるのだ。

 もし自分が奴らなら、と相模は考えた。まず確実に殺しにくるだろう。そのためには何人必要か。治安が悪化する以前とは比較にならないほど、学校のセキュリティは上がっている。その網をくぐり抜けるのに大人数では危険が伴う。多くても十人以内だろうか。いずれにしても紫野崎一人が立ち向かうには荷が重すぎる。ましてや、三百人以上も糞ガキ……中学生がいる敷地内でとなると、どうなるか分かったものじゃない。

 ……なんてことを笑顔の裏で相模が考えていたことには誰も気付かない。時間にしておよそ一・二秒。

「相模くんやさしすぎるー。男のカガミじゃん」

 目をきらきらさせて相模を見る女子に、相模の隣に座る男子は鼻を鳴らした。

「大げさだっつの。腰抜けの間違いだろ?」

「えーそれひどくない?」

 口を尖らせる女子にははは、と笑いながら「そうかもしれない」と相模は思った。

 紫野崎に近付く方法など、いくらでもあっただろう。けれどほぼ確実といえる安全策を、他に思いつかなかったのだ。できる限り紫野崎の傍を離れるべきではないが、今の相模は「学生」としてここに身を置いているため常にそうしているのは難しい。もっと言えば、こうやって給食を食べている時間が一番危険なのではないかとさえ思うのだが。

 なのに。

「ねー相模くんさー、そんなに申し訳ないって思ってるんだったら、その子と付き合っちゃえばいいじゃん」

 こんなに心配しているのに、あいつときたら。

「おまえ、なんでそうなる?まあカップルって言ってもまかり通るくらいには一緒にいるし、別におかしくないと思うけどさあ」

「……じゃあ、紫野崎さんにそう伝えるよ」

「えっまじで!?」

 相模の言葉に、隣の男子は口に含んだブロッコリーを飛ばしながら驚いた。

 相模はただ、笑った。

「確かに、彼氏でもないのに押しかけるのは変だったかもしれないね。傍にいてもおかしくない関係になればいいなら、ちゃんと伝えるよ。今は……できるだけ傍にいたいから」

 おまえら糞ガキにどう思われようが知ったこっちゃない。

 相模のまわりで声にならない歓声が上がるのを聞きながら、笑顔の裏で、相模は静かに言い放った。

 俺は俺に任されたミッションを完遂するだけだ。

少しずつですが頑張って載せていくのでよろしくお願いいたします。

ご意見などよろしくお願いいたします。

残酷な描写はもう少し先になると思います。

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