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チートスキル「脱衣」は世界を救う!  作者: 矢木羽研


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第5話:ロイヤルスイートで脱がされます

「今夜は私のおごりなので、ゆっくり休んでくださいね♪」

「こんな冒険者の宿にもロイヤルスイートなんてあるんだなぁ……」

「ええ、私も久しぶりに泊まるんですけどね。自分へのごほうびみたいなものです」


 異世界での初めての宿は、フロアを丸ごと使った最高級の部屋だった。クエストの報告済ませた俺たちは、部屋でルームサービスの食事を楽しんでいた。焼き立てのパンに骨付きのローストチキンがうれしい。


「ワインは私の好みで甘くしてもらったんですけど、どうですか?」

「ああ、なかなかいいんじゃないか?」


 そもそも俺はワインを飲んだのは生まれて初めてだが、適当に答える。蜂蜜が入っているとのことで、想像していたより甘くて飲みやすかった。


「お湯が出るお風呂もあるんですよ♪ 私、装備が呪われてからずっと入れなかったので」

「やっぱり風呂はいいよなぁ」


 沸かしたお湯に入るのはそれなりに贅沢な行為であるという知識がインストールされている。まして公衆浴場ではなく個室にあるのは、かなり特別な体験のようだ。


「そうだ、亡霊の鎧はどうだった?」

「はい。鑑定してみたら、どうやらアイヒェブルク家に伝わる鎧のようでして」

「有力貴族か……それなら店に売り飛ばすより、直接届けたほうがよさそうだな」


 せっかくの高性能な鎧である。フルで身につけるのはさすがに重いのでパーツ単位で使おうとしたが、どうやら一式で装備しないと特殊効果が出ないタイプの鎧らしい。なので売ってしまおうと思ったのだが、持ち主に返したほうが良い結果になる気がした。まして、あの亡霊になった女騎士の親族なのであればぜひ会ってみたい。


「さて、お湯が張るまで試してみたいことがあるんです」


 イリスはそう言って、部屋の隅に立った。


「私の対角線になる場所に立ってみてください」

「ああ、どうするんだ?」


 言われるまま、反対の隅に立つ。距離は20メートルと言ったところか。


「そこから……私を、脱がせることはできますか?」

「はぁっ?!」


 一瞬戸惑ったが、すぐに理解した。そもそも射程距離を知りたがっていたのは俺も同じじゃないか。


「いいのか?」

「ええ。……必要なことですから」


 恥じらいながらそう答える彼女を脱がせるのは抵抗があったが、確かに必要なことに違いない。


「わかった。いくぞ……脱衣(アンドレス)!」

「……届かないみたいですね。少しずつ近づいて試してみてください」


 *


脱衣(アンドレス)!」

「あ……♥」


 数メートルほど近づいたところで、ついに効果が発揮された。彼女の体が光に包まれ、部屋着のワンピースのボタンが上から順に外れていく。


「やっぱり、全部脱がされちゃうんですね♥」


 なぜか楽しそうな彼女。俺は目をそらそうと思ったが、彼女のほうが先に後ろを向いてしまった。シュミーズが降ろされ、ドロワーズの紐がゆるんで床に落ち、かわいらしいお尻が丸見えになった。


「それじゃ、せっかく脱がせてもらったのでお先にお風呂失礼しますね♪」


 そう言って、彼女は脱がされた服をまとめて浴室に入っていった。


 *


「身長の9倍弱、およそ15メートルってところか」


 彼女が入浴している間、俺は距離を測ってみた。荷物の中に巻き尺や物差しは無いが、ロープが入っていたのでそれで測れる。まず足元から部屋の隅までまっすぐに引いたロープを切る。そのロープを自分の身長(約170センチ)ごとに折り返してみると、9回分に少し足りないところだった。


 170×9=1530(センチ)なので、15メートルがだいたいの射程距離だと思っておけばよいだろう。この長さのロープを使って、野外での距離感覚をつかんでおく必要がありそうだ。


 *


「お風呂、上がりましたよ」


 そうしているうちに、イリスが風呂から出てきた。柔らかそうな生地のバスタオルを巻いている。さっそく、入れ替わりで俺も入ることにする。


「あ、下着はカゴの中に入れておいてください。廊下に出しておけば洗濯してくれるので」

「なるほど、そういうシステムなのか」


 そういえば冒険者は衣服をどこで洗濯しているのか、考えたこともなかった。上着は洗うのにも干すのにも時間がかかるので、たまにしか洗わないのだろう。


「これは、湯船の外で体を洗ってから入るのかな」


 西洋式だと泡風呂だと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。浴室の床には排水口があるので、まずはここで体を洗ってから湯船に浸かるということだろう。


 *


「いいお湯だった」


 湯船は、むしろ俺の家よりも大きいくらいで、ゆっくり足を伸ばして入ることができた。この世界ではめったに出来ない贅沢のようなので、明日の朝も入ることにしよう。


「そろそろ休みますか?」

「そうだな。今日はいろいろあったから、さすがに疲れてきた」

「私に変なことするなら、一声かけてくださいね?」


 そこは「変なことしないでください」じゃないのか。ちなみにベッドはダブルサイズのものが3つも置かれていたので、当然別である。


 とはいえアルコールの力もあってか、風呂上がりにベッドの中で大の字になって目を閉じたら、たちまち眠りに落ちてしまったのでそれどころではなかったのだが。

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