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チートスキル「脱衣」は世界を救う!  作者: 矢木羽研


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第19話:謎の魔法使いの襲撃です

「場所はわかっていたのに、どうして船に乗らなかったんだ? 大陸同士の連絡船なら定期的に出ているのに」


 朝食後、パーティは一旦解散して今はそれぞれ港町を探索している。俺はミキと二人きりになったので疑問をぶつけた。


「それはね……船酔いが怖かったから」

「あー……」


 そう、ミキは小さい頃から運動神経は良く、鉄棒なども得意で三半規管も強かったはずなのに、なぜか乗り物に弱かった。遠足のバスの中では、酔い止め薬を飲んでもほとんど効果がなく、いつも真っ青で死にそうな顔をしていたのを思い出す。


「船以外の手段を探すつもりだったのか?」

「うん、それもあるけど。でも心の中では、あんたのことを待っていたんだと思う」


 バスの中で吐き気をこらえる彼女の隣に座って、いつも背中をさすってやってたのが俺だった。


「船酔いは怖いけど、ケンが背中をさすってくれれば耐えられる気がする」


 そう言って、彼女は体を擦り寄せてきた。


「……近いぞ」

「なぁに、今さら照れてるの?」

「そうじゃなくて、鎧がぶつかって痛い」

「ごめん……」


 部屋の中ではゆったりした服を着ているが、外に出るときは基本的に武装するのが彼女の習慣らしい。勇者などと持ち上げられたら、やはり狙う者もいるのだろうか。


「それにしても立派な鎧だよな。見たこともない金属だし、どこで手に入れたんだ?」

「それはね……っ!」


 すかさず彼女は身をひるがえすと腰を落とし、剣の鞘に手をかけた。さっそく敵襲か?! 俺もすかさず身構える。


「さすがだな、気配に気づくとは」


 声の主の姿は見えないが、女の声のようだ。


「なんの用だ!」

「勇者とやらの実力、試してみたい」


 俺の声に敵が答える。魔力の気配を感じたので、すかさず魔法の炎を構える。一応、周囲は石造りなので延焼の危険はなさそうなことは確認して。


「むっ……その者もなかなかやるな」


 俺の魔法は防がれたようで、白い煙とともに爆散する。だが、それによって敵の姿も明らかになった。ローブを着た魔法使いのようだ。


「はぁっ!」


 ミキが駆け出し、鞘ごと剣を振るって奴の腹に打ち付ける。さすがに直接的な戦闘を仕掛けてきたわけでもない人間相手に真剣で斬りかかるわけにはいかないようだ。


「ぐっ……!」


 鈍い音とともにうめき声が上がる。しかし驚いたことに、鞘の一撃が直撃したにも関わらず、奴は倒れない。


「割と力を入れてたのに!……ケン、脱がしちゃって!」

「お、おう」


 さすがにこの判断はちょっと早急すぎる気もしたが、ここは死線をくぐりぬけてきたのであろう勇者様の言葉に従っておこう。


脱衣アンドレス! 正体を見せろ!」


 奴の動きが止まり、強制的に脱がされていく。ローブの下から現れたのは薄手のシュミーズ。鎧などが仕込まれている様子は無く、現れたのはしなやかに鍛え上げられた裸の肉体のみであった。


「くっ……腕試しのつもりだったが、まだかなわなかったか」


 彼女は俺の目線を気にしつつも、もはや自分では相手にならないと思ったのか、服を着込むとそそくさと去っていった。


 **


「指導者へのアドバイス?」

「そう、魔法使いを養成しているところがあって、アドバイスを求められたのよね」


 とりあえず危機が去ったところで、ミキが顛末を話してくれた。どうやら、そこの魔法使いが実力を試すために勝負を挑んできたということらしい。


「私には人を育てた経験なんてないんだけど、魔法使いならまず、何よりも打たれ強さを第一に鍛えるのがいいって言っちゃったのよね」

「ふーん、そういうものなのか。魔法の威力とか種類、あるいは詠唱の早さなんかのほうが重要そうだけどな」

「それもそうだけど、その前に死んじゃったら意味ないでしょ」

「ま、確かにそうか」


 とにかく死ななければ実戦の中で鍛える機会はいくらでもあるという発想、言われてみてば理解できる。


「私も、ゲームだとスタミナ全振りの魔法使いを2人入れたりするもんね」

「あー、見たことあるかも。いきなり最大HPが30近く上がったりするやつだっけ?」

「それそれ!」


 小学生の頃だったか、ご両親のものだという昔のゲーム機で遊んでいた覚えがある。最初は一桁のHPしか持たなかった魔法使いのスタミナを上げまくって、次のレベルアップでHPが急成長したのを。


「あれは盲点だったかもね。普通、魔法使いと言えば素早さとか賢さを伸ばすのが当たり前だと思われてたから」

「いきなり勇者より強くなったりしたもんな。でも防具は弱いから、確かに魔法使いこそ体力が必要ってのは確かだな」


「ところでさ、ケン」

「ん?」

 

 ミキはふと足を止め、もったいぶるように尋ねてきた。


「あの子の裸と私の裸、どっちがきれいだった?」

「おいおい、それを聞くのかよ」


 これはズルい質問だ。「ミキだ」と答えるしかないじゃないか。


「ふふ、冗談! でも二人きりのときなら、いつでも裸にしていいからね」

「まったく……」


 そんなやり取りを進めているうちに、宿に戻ってきた。イリスたちに任せた船の手配はできただろうか。

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