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チートスキル「脱衣」は世界を救う!  作者: 矢木羽研


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第14話:変身ドルイドは裸でも問題ありません

 俺たちは、森の中の道なき道を進んでいた。魔王のねぐらへと続くルートの下見というわけだ。


「かすかですが痕跡があります。かつてこのあたりにはエルフが住んでいたようですね」


 イリスが口にする。逆に言えば、今はエルフは住んでいないということか。


「確かに、部分的に石畳のようなものも残ってるな。かつてはこの道が使われていたのか」


 この森の奥に住んでいたというエルフが外の世界に出るために使ったのか、あるいは魔王が尖兵を送り込んでいたのだろうか。


「思っていたよりも草木の繁茂が進んでいます。このあたりの気候では植物の成長はもっと遅いはずなのですが」


 イリスが重ねて説明する。温暖な日本だと里山を数年ほったらかしただけでも荒れ放題となるのだが、ここは乾燥した高地であるから事情も異なるのだろう。


「下がって!」


 突如、リンがそう叫んで前を歩いていた俺の手を引いた。次の瞬間、足元に鞭のようなものが打ち付けられ、土をえぐる。


「この森に侵入するなんて。やはり、ただものではないようだね」


 声のするほうを振り向くと、木の枝に腰掛ける女性の姿があった。木から垂れ下がっているツルを鞭のように操っている。植物使いだろうか。


「森を荒らすつもりはない。この道の果てにあるという洞窟に行くつもりだ」


 アリシアが堂々とした声で制限する。


「ということは、あんたたちも魔王を倒す勇者だかの一味かい? まったく、私は静かに暮らしたいだけなのに」


 なんとなく事情は知っているようだが、勇者や魔王そのものには興味がないようだ。そして警戒を解く様子もない。


「俺たちはここを通りたいだけなんだ。手荒なことはしたくないんだけどな」

「私は祖先から受け継がれたこの森を守りたいだけだ。目的にかかわらず荒らすようなら容赦はしないよ」


 どうやら、聞く耳を持たないようだ。


「ケンさん、わからせちゃってください!」


 闇エルフのドリーンですら驚いたように、俺の力は超常的なものであり、実力以上の印象を与えるようである。そういうわけで、気の毒だが裸になってもらう!


脱衣(アンドレス)!」


 俺が力を解き放つと、謎の女の着ていたローブが脱げ落ちていく。


「ほう、興味深いな」


 女は素早く木から飛び降りる。すると、女の姿が大きな熊になっているではないか!


「へ、変身した?!」

「彼女はドルイドですね! 動植物や自然の力を操るという!」


 イリスの解説を聞く間もなく、熊が突っ込んでくる。すかさず、盾を構えたアリシアが割って入る。


「大丈夫か!」

「少し、痛い目に遭ってもらわないとね!」


 リンが背後から回し蹴りを入れようとした瞬間、熊はフクロウの姿になった。的が小さくなったせいでリンの脚が空を切る。そのままフクロウは上空へと飛び上がった。


「鳥にも変身できるなんて!」

「しかし困ったな。裸のままで戦う相手には俺のスキルは通じないぞ」

「それなら、私たちで!」


 イリスが杖を構えて、魔法弾を発射する。フクロウは避けるが弾は追尾する。最初の弾は木々に当たって弾かれたが、続けざまに発射するといくつかは命中してダメージを与えているようだ。


「また熊に戻るのね……違う?!」


 着地したフクロウは再び熊の姿になるかと思いきや、先ほどよりも一回り以上大きく、全身が白い羽毛に覆われている。


「フクロウと熊の合成魔獣、アウルベアです!」


 熊よりも大きいくせにスピードはある。いや、動く速さが同じなら歩幅が大きいだけスピードが出るのか? そんなことを考えているうちに眼の前に迫り、拳の一撃が地面を吹き飛ばす。


「炎も効かないなんて!」


 イリスが杖から放つ炎も、羽毛のついた腕が弾き飛ばしていく。パワーとスピードとタフネスを兼ね備えた奴だ。


「くそっ!」


 俺は右手を伸ばし、魔法の炎を飛ばそうとした。無駄な加勢だとはわかっていても、今さら動きを止めることができない。


「うわっ!」


 思わず、自分で声が出てしまった。イリスには及ばないのだが、それでも火炎放射器のような勢いで炎が飛んでいく。敵のほうも予想外の動きだったのか、腕で弾ききれずに直撃し、地面を転げ回る。


「まいった!」


 なんとか火を消し止めて、元の姿に戻ったドルイドが、地面に両手をついて肩で息をしながら降参してきたので、我々も武器を下ろすことにする。


「私も焼きが回ったのかねぇ。さすが、魔王を倒そうとするだけのことはある。私はこの森の精、ドライアドにしてドルイドだ」


 彼女はそう言って立ち上がった。ドライアドとは植物の精霊のようなものだったはず。姿は人間の女性そのものが、改めて見るとまるで木彫りの像のような裸身だった。

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