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宇宙猫は今日も宇宙(そら)に向かってアンテナを伸ばす  作者: 深川我無@書籍発売中
脳味噌chuchu〝INVASION〟

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96/98

File96 表と裏

「噂なんだけど……」

 

 そう言って小林は話を始めた。

 

 どうやらこの学校で三〇年ほど前に実際に飛び降りがあったらしい。

 

 しかしそれは先輩から後輩へと語り継がれる七不思議的な怪談で、詳細は誰も知らないという。

 

「当時いた先生もみんないなくなってるし、わざわざ誰も事件のこと調べたりしないし……でもその時から屋上にフェンスがついたらしいよ」

 

 また図書館で事件の裏取りか……

 

 僕がそう思っていると、星崎の口から意外な言葉が出た。

 

「他の会談や誰かが死んだ噂を知っている?」

 

「え……?」

 

 小林が驚いた顔でつぶやいた。

 

 僕も同じ気持ちだ。

 

 LoVE18にフライングヒューマノイド、屋上の幽霊、ただでさえ謎だらけなのにこれ以上謎が増えるなんて無謀すぎる。

 

 怖い思いをしたくない言い訳ではないけれど……

 

「おい星崎……他の怪談って……」

 

「うん。無謀なのは分かっている。でも、もしかしたらまた《《同じこと》》が起こるかもしれない。この学校には噂の中に隠された裏があるのかもしれない」

 

「同じことって……? それに裏って……? テンコ達は何を調べてるの……?」

 

 小林は不安そうな顔で僕らの顔を交互に見やった。

 

 話すべきかもしれない……

 

 そう思って口を開きかけた僕より先に星崎が言う。

 

「空野とオカルト研究会を立ち上げようと思っている。その下調べ中。よければ幸子も歓迎する」

 

 それを聞いた小林は顔を引きつらせて首を振った。

 

「え、遠慮しとく。私、怖いの苦手なのよ……屋上の時もバレー部の先輩に無理やり行かされただけだし……」

 

 星崎は感情の読み取れない顔のまま黙って頷くと、怪談話に話を戻した。

 

「ならせめて怪談を教えてほしい」

 

 小林は大きなため息をついてから、星崎を指さして言う。

 

「これでアリ先とのことはチャラだからね!」

 

「心得た」

 

 小林は「うぅ……」と項垂れながら、この学校にまつわる階段を話し始めた。

 

「屋上はもういいよね? 他には家庭科室の泣き声、体育館トイレに忘れられた上靴、放送室の奇妙な声、この四つが学校の怪談として先輩から聞かされる夏の恒例行事」

 

 小林はそれから怖い話は苦手と言いつつ、案外ノリノリで怪談を話してくれた。

 

 その話をまとめるとこうだった。

 

 誰もいないはずの家庭科室に忘れ物を取りに行くと、シクシクと泣く少女の声が聞こえるらしい。

 

 次の話は体育館の女子トイレの個室に入り、特定の言葉を唱えるとパタン……と音がする。

 

 それから個室を出ると、そこには上履きが落ちていいるというもの。

 

 メモを取りながら聞いていると、小林は僕らの顔を交互に見ながらこう言った。

 

「最後の放送室はマジでヤバいから! 覚悟してよ?」

 

 そう言って僕らに釘を刺してから、小林はニヤニヤと笑みを浮かべて最後の話を始めた。

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