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宇宙猫は今日も宇宙(そら)に向かってアンテナを伸ばす  作者: 深川我無@書籍発売中
脳味噌chuchu〝INVASION〟

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File95 学校と陰謀

 屋上を飛び出すなり僕はドアを閉じて鍵をかけた。

 

 それが幽霊に効果があるのかはわからない。

 

 けれど幸いなことに、摺りガラスの向こうに何者かが追ってくるような気配は感じられなかった。

 

「一体なんだったんだ……」

 

 思わず床にへたり込んでつぶやく僕に星崎が言う。

 

「わからない……でも屋上の幽霊も動画も無関係ではない……偶然とは思えない……」

 

「うん……まずは小林に聞いてみよう。何か知ってるかもしれない」

 

 その時、りんどん……と重たい予鈴(チャイム)が鳴った。

 

 その音が嫌に耳について離れない。

 

 なんだってこの学校は、こんなに陰気なチャイムを採用しているんだろう……?

 

 ドップラー効果みたいに歪んで聞こえる重たい音。

 

 こんなことに巻き込まれるずっと前から、鳴り続けている不気味なチャイム。

 

 もしかすると僕らが知らないだけで、この学校にはとんでもない陰謀が隠されているのかもしれない。

 

 そこまで考えてから僕は頭を振った。

 

 馬鹿馬鹿しい。

 

 いつの間にか星崎みたいな思考回路になっている自分が可笑しく思えた。

 

 せめて僕はまともじゃないと。

 

 そんな僕を薄目で観察しながら星崎が口を開く。

 

「どうやら空野も気が付いた。この学校には深い闇が隠されていることに」

 

「いいえ。気づいていませんが……」

 

「嘘おっしゃい」

 

 なんだよ! そのババ臭いワードセンス……!

 

 肘で僕の脇腹を小突く星崎を振り切り、僕は階段を下り始めた。

 

 星崎は相変わらずニヤニヤと笑みを浮かべながら何かを囁いていたけれど全部無視して教室を目指した。

 

 

 *

 

 午後の授業が終わり僕らはひっそりと合流する。

 

 移動教室が重なったせいで、あれから小林には会えていない。

 

 MINEはどうかと星崎に尋ねると、ばつの悪そうな顔でこう答えた。

 

「まだ交換していない……」

 

「なんでだよ?」

 

 すると星崎は頬を膨らませて僕を睨みながら言った。

 

「女子にも色々と事情がある……」

 

 ますます分からない。

 

 僕らはMINEを諦めて、小林の教室に向かうことにした。

 

 僕らが教室に入ると、窓際の席に小林が座っているのが見える。

 

 向こうも僕らに気づいたらしい。

 

 僅かに表情を強張らせてから、ぎこちない笑顔で手を振ってきた。

 

 やはりどうも様子がおかしい気がした。

 

「幸子。聞きたいことがある」

 

 星崎がずんずんと歩きながら言うと、小林は両手を合わせて頭を下げた。

 

「ほんとにゴメン! やっぱり出たよね……? でも聞いて! アレには書かなかったけど、出るって言っちゃいけないってルールがあるから仕方なく……」

 

 どうやら罪悪感があったらしい。

 

 僕は気を取り直して二人に割って入った。

 

「それはいいよ。それより、この学校で昔、その……飛び降りがあったのか……?」

 

 小林は周りを見回してから小さく頷いた。

 

「詳しく聞かせてほしい。それとMINEを交換したい」 

 

「ま、MINE……⁉」

 

 小林が驚いて声を上げ、クラスに残っていた数名がこちらを振り返った。

 

 小林はそちらに向かって手を合わせて苦笑すると、再びこちらに向き直って言った。

 

「MINEはちょっと……なんていうか……今ギガがちょっと……また今度でもいいかな……? ほんとゴメン!」

 

 違和感が拭えないながらも、僕らはそれ以上追及することが出来ずに話題を飛び降りの話に戻した。

 

 

 だけどこの時、もっとこのことについて深く考えていればよかったと、僕らは後悔することになる。

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