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宇宙猫は今日も宇宙(そら)に向かってアンテナを伸ばす  作者: 深川我無@書籍発売中
脳味噌chuchu〝INVASION〟

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File63 体育館裏と人類誕生

 幸いなことに体育館裏には誰もいなかった。

 

 僕らはそれでもさらに奥まった場所に向かい、やっとのことで腰を落ち着ける。

 

「こんなとこまで来る必要あったのかよ……?」

 

 猫か犬だかの糞尿の臭いに顔を顰めながら言うと、星崎は鞄を開いてこう答えた。

 

「今朝から薄っすら光っている……」

 

 そこに入っていたのは《《あの》》クリスタルスカルだった。

 

 見間違えるわけもない。

 

 それでも確かに星崎の言う通り、それはわずかに発光しているように見えた。

 

 僕は何となく女子の私物を見てはいけないような気がして、星崎の鞄の闇を照らす髑髏から視線を外し星崎の方を向く。

 

「お前……一日中持ち歩いてるのか⁉」

 

「置いておくのは危険と判断した。当然の帰結。そんなことより、放送がおかしくなったのと同時に髑髏も光り始めた。関係があると思う」

 

「関係も何も……こいつが光って放送がおかしくなったなら、こいつが原因で間違いないだろ……?」

 

 星崎は首を振ってため息をつくと、鞄のチャックを閉じて言う。

 

「まったく安直な感想。そもそもこれはクリスタルスカル。現代のレーザー技術が無ければ制作不可能な代物。それを大昔に作ったのは紛れもない事実。そして問題は、どうやって作ったかよりも、なぜ作ったのかということ」

 

「答えをご存じならぜひご教授願いたいものですね……」

 

「よろしい」

 

 星崎はいつものように咳ばらいを一つして話し始めた。

 

「クリスタルスカルは本来一つではない。五つ集めて然るべき配置で並べると、宇宙と交信できると言われている」

 

「願いを叶える竜でも出てくるのかよ……?」

 

「それには七つ必要だし、呪文もいる。スカルには呪文ではなく、おそらく時が関係していた。空野は二ビルを知っている?」

 

 聞きなれない言葉に僕は両手を広げて頭を振った。

 

「二ビルは楕円軌道を描きながら三千六百年周期で地球を一周する第十二番目の惑星。そこには人類の誕生に深く関わったとされる神々が住んでいるとされている」

 

 話がきな臭くなってきた気配がする。

 

 神々? 人類誕生?

 

 だいたい『関わったと《《される》》神々が住んでいると《《されている》》』って何だ?

 

「なんか兄貴の友達の友達から聞いた……みたいな言いようだな」

 

 僕が皮肉を込めてそう言うと、星崎は真面目な顔でそれに答えた。

 

「それは仕方がない。支配者たちに秘匿されている上に、誰もその時代に生きていない。織田信長はいたらしいし、本能寺の変もあったらしいというのと大差はないと思う」

 

 そうだった……

 

 こいつの理論は無茶苦茶だけど論破できないんだった……

 

 僕は諦めて話を戻すことにする。

 

「それで? その二ビルの神々がどう関係してるんだよ?」

 

「うん。本題はそこ。神々。つまりアヌンナキ達は二ビルの空気が宇宙に漏れてしまうという深刻な環境問題を抱えていた。そこでエアロゾル化した金粒子(コロイド)を大気に散布して空気を逃がさないバリアを張る計画を立てることになる」

 

「ますます意味が分からない。それとスカルに何の関係があるんだよ?」

 

「アヌンナキが人間を生み出したのは、地球の金を採掘するための奴隷にするためだというのが定説。そして三千六百年周期で最も地球に近づいた時に、彼らは地上から金を受け取って見返りに未知のテクノロジーや医学、地球の支配権を授けていく」

 

「それってつまり、お前がよく言ってる影の政府とかは、アヌ何とかに金を渡して地位を築いてるってことか?」

 

「空野にしてはよくできました。影の支配者達が不老長寿のレプティリアンになれたのも、アヌンナキに提供された宇宙人との遺伝子組み換え交配によるものだというのが私の説」

 

「無茶苦茶だろ……そんなの……」

 

「無茶苦茶と言うのは簡単。でも製造法不明のスカルや超古代文明の説明は無茶苦茶では済まされない事実。現にここに存在する」

 

 再びぼんやりと光る髑髏を見せながら星崎が言った。

 

「スカルはおそらく二ビルとの通信手段。二ビルが地球に最接近する時が近いのかもしれない……それが放送にも影響した可能性がある」

 

 僕は言葉を失った。

 

 反論するにも賛同するにも知識から時間まで足りないものが多すぎる。

 

 それでも何となく、星崎が言うように、放送が変になったのはスカルのせいじゃない気がし始めたのは、彼女には黙っておくことにした。

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