表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙猫は今日も宇宙(そら)に向かってアンテナを伸ばす  作者: 深川我無@書籍発売中
電波少女と宇宙猫

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/91

File18 動画サイトとホームビデオ

 誰もいない暗い玄関が不思議と気にならない。

 

 僕はさっさと部屋の明かりを点けてコンビニのチキンと弁当が入ったビニール袋を机に放りだし、パソコンを立ち上げる。

 

 【お化け公園 事件】

 

 打ち込んだキーワードは望んだ答えを拾い上げることなく誰かが投稿した肝試しの情報ばかりを画面に投影する。

 

 試しにその中の一つを開いてみると怪談調にまとめられた肝試しの様子が書かれていた。

 

 嫌な感じがするだの、声が聞こえた気がしただのと書かれてはいたが、結局これといった怪奇現象には遭遇しなかったらしく、恐怖度なる指数は星一個になっていた。

 

 何も感じることなくカチカチとページを切り替えていくと、一つの動画投稿サイトにたどり着き僕の指が止まる。

 

 どく……となぜだか血が騒いだ。

 

 それは真っ黒な背景に赤い文字の動画タイトルが並ぶだけのページだった。

 

 ページを最上段にスクロールするとサイトの名前が表示されている。

 

『可愛いですね』

 

 ジジジ……

 

 蛍光灯が音を立てたような気がして、僕は慌てて天井を確認した。

 

 けれど明かりに変化はなく、僕はそれがパソコンから発されるノイズだと気が付いた。

 

 画面の文字は微妙に収縮を繰り返し、その度にノイズが走る仕様になっているらしい。

 

「キモ……ウイルスとか大丈夫だろうな……?」

 

 僕はもう一度『お化け公園』と書かれた動画リンクにまで画面を下げて恐る恐るそれをクリックした。

 

 唐突に始まったのは画質の荒いホームビデオの映像だった。

 

 映像はどうやらそこそこ古い物らしく、映っている女子生徒の雰囲気が今とはまるで違う。

 

 夜のお化け公園で女子生徒はくるくると回ってみたり、ブランコに乗ったりして終始はしゃいでいる様子だった。

 

 彼氏か誰かが撮影しているのだろうか?

 

 暗い闇の中に目を凝らしても、怪異や妖しい人影などは映っていない。

 

 やがてカメラは街灯に掴まっておどける女子生徒に近づいて行った。

 

 画面が揺れる。

 

 女子生徒が不思議そうな顔をする。

 

 カメラマンは何も言わずにゆっくり近づいていく。

 

「なになに? どうしたの?」

 

 女子生徒が笑いながら尋ねてもカメラマンは何も答えない。

 

「アップ恥ずかしいよ。ねえ? 聞いてぐちゃあああああああ……!」

 

 突然、カメラが激しく動き、湿った鈍い音が響き渡った。

 

 僕は思わず上体をのけぞらせて声を上げた。

 

 心臓が飛び出るほど激しく上下している。

 

 それでもなぜか画面から目を離せずにいると、カメラマンがカメラを地面に置いた。

 

 どうやらレンズに血がついているらしく、画面のところどころは赤く染まって映像が見えない。

 

 それでも血のカーテンの隙間から、目玉を小刻みに震わせながら泡をふいて痙攣する女子生徒の顔がはっきりと見て取れた。

 

 カメラマンは画面の外にいて、姿はわからない。

 

 ただカメラマンが女子生徒の両足を掴んで引きずっているらしいことは理解できた。

 

 女子生徒はやがて万歳するような格好になり、ズル……ズル……と画面の外に消えてしまった。

 

 暗転した画面を見つめてしばらく固まっていたけれど、僕は自分が震えていることに気が付ついて、慌てて戻るボタンを押してサイトから立ち去った。

 

 恐怖で思考がまとまらない。

 

 それでも辛うじて理解できたのは、

 

 やはりあの公園には、恐ろしい何かがある……ということだけだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ