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宇宙猫は今日も宇宙(そら)に向かってアンテナを伸ばす  作者: 深川我無@書籍発売中
脳味噌chuchu〝INVASION〟

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100/102

File100 秘密と開示請求

 ニタニタと狂気じみた笑みを浮かべながら、司書の爺さんは「ひひ……」と嗤う。

 

 その姿は生きる屍のようで思わず背筋に悪寒が走る。

 

「あのサイトに釣られて……のこのこと……愚かな餓鬼どもめ……どうやってアレにたどり着いた?」

 

「あのサイトを知ってるってことは、やっぱりあんたが女子生徒を襲ったのか⁉」

 

 じりじりと間合いを詰めてくる爺さんから後ずさるようにして僕が言うと、相手は顔を強張らせて黙りこくった。

 

「答えろよ……!」

 

 僕が叫んだその時だった。

 

 ぐにゃり……と世界が歪み耳を覆いたくなるようなハウリングノイズがスピーカーから響き渡った。

 

 それに聞き間違いじゃなければ、ノイズに混じって、誰かの悲鳴が聞こえた気がした。

 

「いかん……! アレが来た……!」

 

 耳を押さえた爺さんは、そのまま司書室に駆け込もうとする。

 

 けれどノイズのせいで平行感覚が狂ったのか、爺さんはよろよろと足をもつれさせながらその場に倒れこんでしまった。

 

 すると星崎が僕の背中を叩いて叫ぶ。

 

「空野……! お爺さんのところに!」

 

「はあ⁉ なんでだよ⁉」

 

 耳を押さえながら僕も叫んだ。

 

「急いで……!」

 

 意味が分からない。

 

 それにさっきから、胸のあたりが熱くてたまらない。

 

 僕はたまらず胸を探った。

 

 するとそこには、火傷しそうなほどに熱を帯びた星崎のお守りがぶら下がっていた。

 

「これ……」

 

「それは電磁波を熱に変換する。強烈な電磁波が出ている証拠! お爺さんが電磁波でやられる前に早く!」

 

 なぜ?

 

 そんな気持ちで星崎の方に振り返ると、いつか見た強い光を眼差しに宿らせて、星崎はまっすぐ僕の目を見つめていた。

 

 僕はため息をつくと、湧き上がる疑問を頭の隅に押しやり、星崎に従った。

 

 背中にぴったりとひっつく星崎を連れて爺さんのもとに駆け寄ると、爺さんは頭を振って体を起こす。

 

「どうなってる……? セーフゾーンでもないのに……⁉」

 

「説明は後。お爺さんが知っていることを教えてほしい。あなたはいったい何者?」

 

 爺さんは目を見開いて星崎を見つめた。

 

 唇を噛みしめたその表情からはなぜか沈痛な思いが伝わってくる。

 

「悪いことは言わん……! お前たち、今すぐここから逃げなさい……! この町からも出ていきなさい! この町は危険だ。ずっと前から、この町は奴らに目をつけられている……!」

 

 爺さんは半ば喚くようにそう言った

 

「奴ら……? LoVE18は複数犯なのか……?」

 

「違う……! 奴らは恐ろしい計画と権力を持っている……! 太刀打ちできない……知ってはいけない……考えてはいけない……とにかくここを離れるんだ……! あの子の二の舞になる前に……‼」

 

 僕らはごくりと息を呑んだ。

 

 それと同時に、ハウリングが止み聞き覚えのある電子音が聞こえ始める。

 

 ンピコピコピコ……

 

 ンピコピコピコ……

 

 〝INVATION〟

 

 凶暴な電子音の奔流を伴い、洗脳少女が歌い出す。

 

 僕は直感的に、何かが大きく狂い始めたことを理解した。

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