第281話
わたしは皇族の姫
わたしには幼い頃から姉のような存在の侍女がいる。
昔は誰隔てなく優しい温厚なお姉さんだった。
そんな昔の侍女には生意気な弟がいたわ。
いつも姉弟一緒に探索者部隊のパーティーを組み、救助活動などもしていたわ。
お互いがお互いをからかいあったり、笑顔が絶えない姉弟。
わたしは一人っ子だから、うらやましかったわ。
けど……
悲劇は突然に起こったわ…。
モンスターがダンジョンから氾濫したの…
侍女の弟は一般人を庇い殺されたわ…。
わたしはその場にはいなかったのだけど報告書を後から見たの…。
姉弟の2人ペアで救助活動中、弟は一般人をモンスターから庇い死亡。
そのあと…
庇った一般人…それはデブ中年。
働きもせず、ずっと生活保護…その方に身を挺して守り死んだ最愛の弟…
その弟にデブ中年はなぜか罵声を浴びせたらしいわ。
僕ちんがケガしたじゃないか!
もっとはやく助けにこい!この役立たず!
こんな役立たずに税金を使うなら僕ちんの生活保護費を上げろよな!
あ、こいつが死んだ分の税金を僕ちんに回せ!
金が足りないんだよ!
それと、そこにいる女!お前もくるのが遅い!
僕ちんがケガした責任をとれ!
いやらしいご奉仕をしろ!
胸はあまり無さそうだけど我慢してやるよ!
僕ちんをはやく介抱しろ!それからスケベなこともさせろよな!!
と…いやらしい目で次は侍女にも罵声を浴びせたらしいわ。
そして侍女はそれにキレて守るハズの一般人をボコボコにしてしまい、訴えられ不起訴だけど謹慎処分になったわ。
もちろんこのことはメディアにも取り上げられ、侍女が責任を取り辞表を出したの…
そして侍女はわたしに言ったわ…
わたしたちは何を守っているのでしょうか?
最愛の弟は何を守ったのでしょうか?
わたしはクソ平民のデブなんかより弟に生きていて欲しかった。
あやつらを生かす、守る意味はあるのでしょうか?と…
わたしも大好きなお母様を失ったから気持ちはすごくわかるわ…
それから侍女は穀潰し無能のデブ、はたまた平民すらも凄まじく嫌悪するようになったわ…。
命の価値は平等では無いと。これからは選別されるべきでは?…と。
わたしも特に間違ってはいないと思うから好きにさせたわ。
ただ世間はそれを許してくれなかった…
人種差別だ!と皇族家を総叩き。
なぜ守られる側が、文句を言うのかしら?
不思議でならないけど事が大きくなりお父様が仲介に入って下さったわ。もちろんわたしも侍女に戻ってきてほしくてお父様にすぐ進言したわ。
侍女も渋々お父様の説得によりすぐ戻ってきた。
そしてお父様から表向きだけでいいから平等にしなさいと命が下ったわ。
そして時は経ち、ブタオさんと侍女は邂逅する。
わたしもだけど…最初は嫌悪感がひどく幾度となく言い合いになったわ。
今ではそれに懐かしさもある。
そんな侍女が一番嫌っていた無能な穀潰しのデブを最愛の弟と重ねているなんてね。
世の中って不思議だわ…
いえブタオさんだけが不思議な気がするわ…
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読者の皆様 初心者の拙い文章ですが
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