第179話
当主様にノーネームの顔が見たいと言われた。
「…良かろう。死に逝くお前へのせめてもの手向けだな…
……
…
はい、当主様…昨日夕食をご馳走になりました…牢獄のブタオです。」
これで、昨日の一飯の恩は返せたか?
当主様、少しでも未練が無くなればいいが…
ってめちゃくちゃびっくりしてるな…。
まあそりゃそうか!
昨日の今日で会ってるし、昨日が初対面だしな。
まるでこうなるのが運命みたいに…
「当主様…僕には家族がいません…。
ですが…昨日夕食を頂いたり少しお話させてもらっただけなのですが…その…父親ってもしいるならこんな人がいいなあって…勝手にそう思いました…
………
……
…
当主様は逝ったか…」
僕が話てる途中から当主様から応答は無く、呼吸もすでに止まっていた。
ノーネームの僕こと牢獄のブタオは皇族家当主様の最後を看取った…
霧散させてたヘルムをスキル漆黒顕現により再構築し、当主の目を閉じさせた。
可視化中の不可視の手を使い丁重に遺体を持ち上げる。
お姫様抱っこのように…
すると…
「漆黒の騎士?…ノ、ノーネーム様でございますか?ノーネーム様?こ、これは一体?」
幼馴染みの皇族の姫が来た。
幼馴染みも剣聖ちゃんから聞いてか、漆黒騎士がノーネームと知ってる模様だ。
なぜかほんのり頬を紅く染めていた…
僕は無言で当主様の亡骸を幼馴染みに渡した。
「お、お父様…」
僕は幼馴染みの顔が絶滅へと変わっていくのを目の当たりにした…
まるで全て自分の責任でこうなったと言わんばかりに自身の死さえも願うような顔へと変わる…
「…そうだな…我が殺した…」
助けられなかった…
いや、元からそんなに必死に助けようとはしてなかった…
助けれたら助けるか…くらいな感覚…
僕は正直に助けに来るつもりはあったが間に合わなかった…
と、本来は幼馴染みに言うつもりだった…。
だけど…
…
そしたら、幼馴染みは増援に行きたくても行けなかった自分を責める気がした…。
いや絶対自分を責める。
責め続ける。
そして彼女は自死する可能性があるように見えた…
僕は電話で話しているのを聞いてた…
彼女は探索者の務めを…義務を果たし、市民の避難やモンスターピードに備えていて現場を離れれなかった…
本来は父親を助けに行きたい…
けど出来ないという苦痛に歪めた表情を僕は見た…
僕は知っている、幼馴染みは人の死、身近な人の死に触れすぎて心が壊れかけている…。
けど最近はちょっと笑うようになった。
きっと剣聖ちゃんとか気が許せる人が身近に増えてきたからかな?
なのに……
なのになぜ僕は必死になれなかったんだろう…
僕が必死になれば助けれたかも知れない命。
僕の大事な幼馴染みの父親…
多分…
僕は…
人間が…
嫌いなんだと思う…
なのに孤独が一番の苦痛という矛盾…。
はぁ…僕にもよくわからない…
これが後悔かどうか…
当主様の遺体を渡したときの幼馴染みの絶望する顔を見て…
自分も父親の後を追いたいと願う幼馴染みの顔を見て…
僕は真剣に…本気ですぐ助けに行かなかった責任を感じてしまったのだろうか…
幼馴染みが大事な父親を自分の増援が間に合わなかったせいで死なせてしまった…
自分が殺したと思わせるくらいなら…
そうなるくらいなら…
僕が…
僕が殺したことにすれば…
憎む相手がいれば生きていくチカラも湧くだろうか…?
君に例え一生怨まれても…
君の心が壊れないように…
君に僕は憎まれ続けよう…
それが中途半端な気持ちで君の父親を助けに行ったせめてもの償いか…
((ありがとう…))
ん?
なんか幼馴染みの両親にお礼を言われた気がした。
そういえば幼馴染みはお母さんも幼いときモンスターに殺され亡くしてたんだったな。
君の憎しみが今後生きるチカラとなるならば、
君の憎しみだけは僕が…僕だけが全てを一身に引き受けよう。
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読者の皆様 初心者の拙い文章ですが
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魔力0 残念王子の黒騎士 異世界より地球に転移しどちらも無自覚最強無双
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