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5 魔力測定

 ついに始まってしまったルナとの魔法の特訓。

 一体どう煮るなり焼くなり好きにされてしまうのかとビクビクしていた里奈だったが、そんな彼女の想像とは裏腹に、ルナはかなりしっかりとした計画を練ってきていたのだった。


「さ~て、まずはアルカ君の魔法の才がどれだけのものなのか、確かめさせてもらおうかしらね」


 そう言うとルナは空中から謎の装置を取り出した。

 魔法を行使するうえで最も大事なのは何と言っても魔力量であるため、まずはそれを測ろうとしているのだ。


 だがそんなことよりも、里奈は彼女がどうやって装置を取り出したのかが気になっていた。


「あら? もしかしてコレが気になるのかしら」


 そんな里奈の視線に気付いたのか、ルナは空中に穴を開けて見せた。


「これはマジクスって言う魔法なの。異空間に物を収納しておけるのよ」


 里奈にそう説明しながら、彼女はその穴の中に手を突っ込んでポーションを取り出した。

 そしてそれを里奈に触らせる。


「それにホラ、触ってみて」


「うわ、凄く冷たい……」


「そうなの。このマジクスの中に入れた物は時間が止まるのよ。だから冷やしておいたものや温めておいたものは基本的には取り出すまでそのまんまってこと。これが中々に便利なのよね」


 ルナのその説明を聞いた里奈はマジクスの有用性を瞬時に理解していた。

 この魔法を使えば荷物を減らせるだけではなく、食料を保存するのにも使えるのだ。

 そのため、里奈はあまりにも便利過ぎるこのマジクスを絶対に習得しようと心に決めたのだった。

 

 その後、話を戻したルナは予定通り里奈の魔力量の測定を行おうと、彼女の腕に謎の装置を取り付けた。


「この装置を使えば魔力量を数値化することが出来るの」


「魔力量……」


 里奈は不安そうな顔で装置を見つめている。

 これは装置が怖いとか、もしも魔力量が少なかったらどうしようとか、そう言うものでは無かった。

 むしろ逆で、里奈は今の時点で既に魔力量が異常に多すぎることを自覚しているのだ。


 と言うのも、この世界において魔力量は魔法を使えば使う程に増えていくものであり、その伸びしろは遺伝と時期に依存している。

 そして一般的には幼少期が一番魔力が増えやすい。 

 

 さて、そうなってくると里奈はどうだろうか。

 勇者の血筋と言う事で遺伝は完璧。更には毎日のように魔力量を増やすための特訓を行っていた。

 それこそ三歳にして上級魔法を使えるくらいには魔力で満ち溢れているのである。


 となればもう、出てくる結果は一つしか無かった。


「……あら? 測定……不能? おかしいわね。今までこんなことは無かったのに」


 何度測り直しても、出てくる結果は測定不能のみ。

 そう、それがこの世界における彼女の……最強の勇者である「アルカ・ルーン」の扱いなのである。

 そこで里奈は改めて、自身の存在がこの世界においてあまりにも異質であることを思い知ったのだった。


 だが考えてみれば当然のことだろう。

 本来アルストにおいてアルカは中盤になるまで上級魔法を使えない。

 にもかかわらず、今の里奈は既にゲーム終盤に匹敵する程の魔力量を持っており、上級魔法すら軽く使える状態であった。


 そんな彼女が異質でないはずが無いのだ。 


「駄目みたいね。でもまあいいわ。きっと、それだけイレギュラーってことなのよ」


 しかし、そんな意味の分からない存在である里奈をルナは当然のように受け入れていた。

 

「怖くはないんですか……?」


 思わず里奈はそう尋ねる。


「えっ……? どうして怖がる必要があるの? これだけの才能を持つ存在を前にしているのよ。怖がるどころか興奮して仕方がないわよ……!」


 一方でルナは興奮冷めやらぬと言った様子でそう返した。


「はぁ……はぁ……もう、我慢できないわ」


 それどころか頬は紅く染まり、目は血走っている。息は荒く、今にも里奈を襲ってしまいそうな危うさがあった。

 結局どこまで行ってもルナは魔法馬鹿なのである。


 それを見た里奈は、彼女はそう言う人間なのだと言う事で納得することにした。

 とは言え、里奈にとってはそれが嬉しかったのも事実である。

 変に怖がられて距離を取られるよりも、こっちの方がよっぽど良いのだ。

 

「うふふっ。それじゃあ早速、魔法の特訓をしていきましょうか~♡」


「ルナさん……? あの、距離がちか……」


 と思ったのもつかの間、やはりこの人とは距離を取った方が良いのではないかと思い直す里奈なのであった。

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