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転生勇者と黒龍少女~戦死エンドから逃れるために黒龍の少女と添い遂げようとしたら、いつの間にかゲームには無かったルートに進んでしまいました~  作者: 遠野紫
第二章 現れしメインヒロイン

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30 ワイバーンの谷の調査

 後日、ドラゴン討伐の功績を認められた私はAランクへと昇格することとなった。

 そしてそのついでのように、私含むソニアたちパーティにはギルドから直接の依頼が与えられた。


 その内容と言うのが、ワイバーンの谷の調査だった。

 ドラゴンを倒してからもワイバーンの数が増えることは無く、ギルドは原因が別にあるとにらんだみたい。


 実際このまま放置したらその影響はワイバーンの谷だけにはとどまらないかもしれない。

 下手をすると王都にまで影響が及んで、最終的にはこの国自体に無視できない問題が起こるかも。


 そうなったらもう魔王がどうこうとか戦死がどうこうとか言ってられないので、私は依頼を受けることにしたのだった。 

 報酬も多いし。


 またソニアたちも更なる力を求めて依頼を受けることに二つ返事のようだった。

 一体誰が彼女たちをこんなバーサーカーにしてしまったのか。

 ……私か?


 と言う事でドラゴンとの戦いから一週間も経っていないのに、私たちはワイバーンの谷に訪れている。

 それもかなり奥の方まで。

 当然危険度は高いし、高ランクの冒険者でないと踏み入ることすら許されないエリアだ。


「なあ、原因は何だと思う?」


 先頭を歩いているビスカは突然そう言ってきた。

 もうすっかりいつも通りと言った様子だが、最初はもう大変だった。


 やたら距離は近いし、肌を押し付けてくるし。

 何とか耐えしのいだものの、こんなとんでもないアプローチを続けられたんじゃいつか間違いが起こってしまいそうで心配過ぎる。


「詳しくはわかりませんが……やはりワイバーンやドラゴンよりも更に強力な魔獣がこの辺りにいるのは間違いないと思います」


「私もそう思うよ。魔獣は魔獣を食らうからね。それこそドラゴンすら餌にしてしまうような怪物がいるんだろうね」


「だよなぁ……俺たちで勝てんのかね……」


 先日ドラゴンに殺されかけたからか、ビスカは少々弱気になっていた。

 決して彼女は弱い訳では無い。

 それどころか魔王城付近のダンジョンだって攻略できるくらいだ。


 けどそれ以上にドラゴンは強い。

 ただそれだけの話。


 そもそもここにドラゴンが出てくること自体想定外の事態なんだから、彼女に非は無いよ。

 むしろあれだけ善戦できたのは彼女たちが強いからに他ならない。


「大丈夫、ビスカは強いから!」


 流石はムードメーカーのソニア。

 ここぞとばかりに落ち込み気味だったビスカにエールを送る。


 そのおかげかビスカも少しは自身を取り戻したみたいだった。

 仮にも桁違いの魔術師であるソニアにそう言われたら、確かにそうもなるかも。


 それでも天狗にならない辺り、やっぱりビスカは思っていたより脳筋って訳じゃないんだなぁ。


「……気を付けなさい」


「ミラ? 何か気付いたの?」


「あの洞窟、奥にとんでもないのがいるわよ」


 ミラの見る先は谷底。

 そして真っ暗な洞窟だった。

 いかにもボスっぽい何かがいそう。


「ってことは、あの奥にいるのが全ての原因かもしれないね」


 この状況だし、そう考えるのが自然だった。

 と言うよりそれ以外に考えられない。


「だけど、その言い方からするとあのドラゴンよりもとんでもない相手なんだろう。私たちに勝てるのかい?」


「アルカがいるなら心配は無いでしょうね。それにもしもの時は私もいるわ」


「やっぱり、二人は凄い強いんだね!」


「うわぁっ」


 ミラもろともソニアに抱き着かれた。


 相変わらず距離感がおかしい。

 何があれって、彼女的にはただのスキンシップなんだよねこれ。

 そう言う感情がある訳じゃない……はず。


 でも私は違うの!

 ソニアの可愛い顔が、柔らかな体が、すぐそこにあるのはあまりにも火力が高すぎるんだよ……!

 反省して!?

 

「み、皆さん! あれ見てください……!」


「えっ!?」


 ローリエが叫んだことでソニアが離れてくれた。

 助かった。


「どうした? ……って、ありゃぁ死体……か?」


 どうやら洞窟の入り口付近にある死体らしきものの事を言っていたらしい。


 けど何かおかしかった。

 身に着けている装備のダメージに対して、本人の傷が少なすぎるのだ。


「うっ……何この魔力……」


「ソニア……? 大丈夫?」


 より詳しく死体の確認をするために洞窟のすぐ手前にまで来たところで、ソニアが蹲ってしまった。

 

「この洞窟……魔力密度がおかしいの……」


 確かに言われてみればそんな気がする。

 それにソニアは魔力に敏感な体質って設定があったっけ。

 多分その影響で体調を崩してしまったのかもしれない。

  

「一度撤退しようか?」


「いや、その余裕は無さそうだよ」


「……みたいだね」


 洞窟の奥から何か物音が聞こえてくる。

 そしてそれは徐々に近づいて来ていた。

 

 それも、一直線に私たちを目掛けて。


「そんな……あれって……」


 暗闇から現れた魔獣の姿を見たローリエは怯えたような声でそう口にした。


 それもそのはず。

 だってあの魔獣はドラゴン以上に凶悪で危険な魔獣なのだから。


 それこそ本来なら裏ダンジョンで初登場する程の化け物。

 その名は「瘴気の魔獣」。

 Sランク冒険者でやっと勝てると言われている魔獣だった。

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。

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