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転生勇者と黒龍少女~戦死エンドから逃れるために黒龍の少女と添い遂げようとしたら、いつの間にかゲームには無かったルートに進んでしまいました~  作者: 遠野紫
第二章 現れしメインヒロイン

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26 ヒロインパワーには勝てない

「私たちのパーティに入ってもらってさ! 師匠的な事をしてもらえば良いんだよ! あくまで依頼自体は私たちで行うってことなら大丈夫……じゃないかな?」


 最後はやや疑問形だった。

 頭で考えたことをすぐ口にしてしまう関係上、言っている最中に何かおかしいと思ってしまったのかもしれない。


 けど、それが彼女の良い所でもあった。

 楽観的な性格も相まって彼女の人気は高いのだ。

 私も最初にプレイした時はソニアルートに進んだっけ。


「いや、大丈夫じゃないよね……それ」


「ええ、結局お二方の迷惑なのに変わりは無いですよ」


「えぇ~」


 ガラムとローリエの二人は冷静にソニアの提案を否定した。

 こういう時にソニアの暴走を止めるのが二人の役割でもあったからね。


 ただ、どうやらビスカは違うみたい。


「いや待てよ? あの筋肉……間違いなくただ者じゃねえ。あれは長い時間をかけて作られたまさに鋼の肉体……そう簡単に手に入れられるものじゃ……」


 ビスカはぶつぶつと呟いている。

 そう、彼女は筋肉には目が無いのだ。


 今の私には幼少期からのトレーニングによって鍛え上げられた筋肉がある。

 それが彼女を狂わせてしまったらしい。


「なあ、ソニアの意見を認めてやっても良いんじゃねえのか」


 ビスカは目を輝かせながらそう言う。

 こりゃもう駄目だ。

 ああなってしまったビスカはもう止められない。


「ビスカまで……はぁ、君は本当に単純だね」


「やった! それじゃあビスカもそう言っていることだし、やっぱりそうしようよ!」


「ま、待ってください……! そもそもあの方たちはまだ何も……」


「確かに! それならもう一度お願いしないと!」


 ソニアが再びこちらへと向かって来る。

 うーん、行動力の化け物。

 けどそれはこの状況だと不味い。


 だって、このまま彼女たちと同じパーティになると言うことの意味を私は知っているのだから。


「と言うことだからさ! 私たちのパーティに入ってくれないかな?」

 

 ああ、ソニアの屈託のない笑顔が眩しいよ。

 こんな笑顔で誘われて断れる訳が無い。


 でも駄目……彼女たちと一緒にいたらそれこそ待っているのは戦死エンド……!

 それにミラだって私以外と一緒は……


「あら、良いんじゃないかしら。大勢いると楽しいでしょう?」


 ああ、うん。

 どうやらミラは乗り気みたいだった。


 流石に思いあがり過ぎたのかもしれない。

 彼女にとっては楽しければそれでいいんだろうね。

 私を本気で愛しているとか、やっぱりそんな訳無いか。


 ……可能性は感じていたんだけどなぁ。

 

「それじゃ……!」


「ま、待って! まだ私は、その、心の準備が……!」


 ミラの言葉を聞いたソニアはキラキラとした目でこちらを見つめてくる。

 もう完全にそのつもりだよあれ。


 けど彼女たちと一緒にいるのはあまりにもリスクが……


「ねえ、駄目……かな?」


「うぐっ……」


 ソニアは上目遣いでお願いしてくる。

 流石は百合ゲーのメインヒロインだ。

 そう言うパワーが……凄い。


 顔が良い。

 声が良い。


 長いまつ毛が、澄んだ瞳が、もの凄く近い距離にある。

 勝てる訳が……無いよ。


「わ、分かった……これから、よろしくね……」


「本当!? やったぁ!!」


 ――結局、私は彼女の押しには勝てなかった。

 なので私とミラは彼女たちのパーティに入ることになってしまった訳だけど……嬉しそうにしているソニアを見ていると、何だかもうどうでもよくなってしまった。


 だって、あれほど愛したアルストのヒロインが……こうして動いて、喋っているんだもん。

 ミラの時もそうだったけど、それだけで私はとても心が躍ったんだ。

 それこそ、先に待っているであろう戦死エンドすら霞んでしまう程に。


 ◆◆◆


 ソニアたちのパーティへと参加した後、私たちは早速ワイバーンの谷へとやってきていた。

 もちろん、ワイバーンを討伐するために。


 いや、どうしてワイバーン討伐に?

 ……と思うだろうけど、理由は単純。

 せっかくの初陣なんだから景気づけにワイバーン狩りにでも行こうと、ビスカが提案したのだ。


 けどワイバーンは魔獣の中でも危険度の高い存在。

 そんな簡単にホイホイと受けて良い依頼でも無いはずなんだよ。

 一応パーティメンバーは全員Bランク以上だから、ワイバーンの討伐依頼は問題なく受けられるけどさ。


 ただ、ビスカはこう……頭が単純だから。

 彼女なりにパーティのために色々考えた結果、この選択をしたってことなんだろうね。

 

「よっしゃぁ! 手っ取り早く俺たちの実力を見せるなら、やっぱこれくらいの相手じゃねえとな!」


 実際、そう叫びながらビスカはワイバーンへと向かっていく。

 要するに、これはソニアたちの力を私とミラに見せるための依頼な訳だった。


 ……なら、見せてもらおうじゃんか。

 ソニアたちの実力とやらをさ。


「ビスカ! 右!」


「おう、助かったぜ! 後は俺に任せな! はぁぁぁっ!!」


 司令塔としての役割を持つガラムの声に従い、ビスカが前で攻撃を行う。

 いくらワイバーンと言えど、彼女の獣人としての高い筋力で振り下ろされる大剣には勝てない。

 だからたまらず上空へと逃げてしまうけど……


「させないよ」


 上空に逃げてもガラムが弓で、ソニアが魔法で撃ち落とす。

 そしてその間にビスカがとどめを刺す訳だ。


 更には聖属性魔法の使い手であるローリエがいるから解毒や体力の回復も出来る。

 チームワークも完璧だし、欠点の無い良いパーティと言えた。 

 正直、私が教えられることなんてもうほとんど無いくらいだよ。


 ……あれ? 

 これもう、私のいる必要……無くない?

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。

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