24 一件落着からの大ピンチ
「おぁぁっ!? お、俺たちのアジトがぁ!?」
崩壊した悪徳奴隷商のアジトを眺めていると、後ろから叫び声が聞こえてきた。
振り返るとそこには馬車と複数人の男が。
「もしや……お前らがやったってのか?」
「ふふっ、見ればわかるでしょう?」
「なら答えは一つだぜ。お前ら、コイツらをとっつかまえるぞ!!」
男の合図と共に周りにいた男たちが私とミラを取り囲む。
もはや何度目かって感じの状況だけど、まあ案の定私とミラの前には無力だった。
「ぐげぇぇっ……って、お前らなに捕まってんだよ!」
「あぁ? お前もだろうが! ああ、くそっアンタらまで捕まっちまったんじゃもうおしまいだ」
縄で縛り、最初に捕まえた方がいるところに放り込むと何やらそんな声が聞こえてきた。
どうやら外に出ているのは彼らが最後だったらしい。
「ねえ、馬車の中を見てちょうだい」
「どうしたの?」
ミラに呼ばれ馬車の方に向かう。
そして彼女に言われるがままに馬車の中を覗くと、そこには大量の獣人の子共がいた。
「恐らくは奴隷として売るために連れて来られたのでしょうね」
「酷い怪我……これ、応急処置すらしてもらえてないよね」
馬車の中の子共たちは皆目隠しをされていて、それでいて酷い怪我を負っている子も少なくは無かった。
確かにこの世界において獣人は迫害対象ではあるけど、だとしてもこれは扱いが酷すぎる。
物として扱ってすらいないレベルだよこれ……。
「待ってて、今治してあげるから……!」
子供たちの怪我を治すために回復魔法を発動させた。
致命傷でも無ければこれで問題なく治しきれるはず。
「あ、あれ……体が、痛く……ない?」
良かった、ちゃんと効いてるみたい。
「やっぱり貴方、変わってるわね」
「そうかな……?」
「獣人を忌避しないどころか回復魔法すら使うなんて、中々いないわよそんな人。ふふっ、だからこそ私は貴方に興味を抱いたのだけれどね」
ミラはそう言って微笑んだ。
正直、私には獣人だから迫害するって言う感覚がよくわからない。
これはアルカがどうって言うより、前世の……里奈としての記憶によるものが大きいと思う。
この世界においては普通ではない感覚なんだろうけど、それでもミラが嬉しそうだから、決してこれは悪いものなんかじゃないはず。
いや、そうでないと困るよ。
罪のない人を迫害するのが許されて良い訳無いもんね。
この感覚を私は絶対に失いたくは無いし、失うつもりも無かった。
その後、馬車と共に捕らえた男たちを連れて王都に戻ると、まず衛兵によって男たちが連れていかれた。
指名手配されている人も多かったみたいで、そこそこの報奨金がもらえることになった。やったね。
次に馬車の中の子共たちが引き取られることに。
どうやら人攫いの延長として村ごと焼かれてしまったらしく、帰る場所の無い彼らはここ王都の孤児院で暮らすことになった。
これにて、ひとまずは一件落着。
しっかりとBランクにも上がれたし。
それどころか近い内にAランクへの昇格試験も来そうだって受付嬢の人も言っていたぐらいには順調。
さーて、これで後はどんどん強くなれば聖域も攻略できて聖剣も手に入って、かんぺきーって感じだね。
―――そう思っていた時期が私にもありました。
「あっ、そこの君! もしよかったら君のパーティに私を入れてくれないかな」
「ふぇっ……?」
ある日のこと。
一人の少女がパーティに入れて欲しいと願ってきた。
とは言え、それだけならこの王都であればそこまで珍しいことじゃない。
日々パーティの入れ替えも起こってるし、どこかしらから抜けた人がまた新しいパーティに入るために声をかけてきたってだけかもしれない。
ただ、問題はそこじゃなかった。
私は知っているのだ。この少女のことを。
何故ならば彼女は……アルストのヒロインなのだから。
本作をお読みいただきありがとうございます!
・「ブックマークへの追加」
・「ポイント評価」
をしていただけると励みになりますので
是非ともよろしくお願いいたします!
追記:第二章の更新はもう少し先になりそうです。




