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6話

~エレナ視点~


私の名前はエレナ。

魔王の1人娘。


今から2年前。

私の住む魔王城で反乱が起きた。

魔王の側近デデンが裏切ったのだ。


父である魔王は、側近のデデンに騙され、怪しげな壺の中に封印されてしまった。


母は私を逃す際に殺されてしまった。

母は私を育ててくれた母であり産みの母ではない。


産みの母は私が幼い頃に亡くなったらしい。

なんと人間だったとか。

父はどこかで拾ったと言っていた。


ほんとは見た目がタイプだったから誘拐したとかだったら、ちょっと嫌かも。



デデンは父だけが目当てだったみたいで私は簡単に逃げられた。

私が捕まってしまうと、父に迷惑がかかると思い森の中に逃げ込んだ。

その時、運良く森の中にこの場所を見つけた。

それからずっとここで生活している。


妖精たちは私が魔族だというのに凄く懐いてきた。

敵意がないからだろうか。


父は封印されてしまった。

が、側近のデデンごときに殺せるわけがない!と、そこまで心配していなかった。

殺せないから封印したのだろうと考えたからだ。


しかし育ての母が殺されてしまったことは許せない。


あいつに復讐してやる。

その思いで2年間、修行してきた。



そして、今日。事件は起こった。

この場所に来客があった。


今までこんなことは一度も無かった。

突然現れた人間はとても疲れ、そしてホッとした顔でここにやってきた。

何かに追われてきたのだろうか。


しばらくするとすぐに眠ってしまった。

妖精達にも気に入られたみたいで人間が寝ている周りを囲んでいる。

凄く気持ちよさそうに寝ているので、私も一緒に寝ることにした。


あ、その前に。

人間の右の首のところにとある魔法をかけておいた。

魔法がバレて解除されないようにしがみついておこう。

こうして、エレナは眠りについた。



次に起きた時、先に人間の少年が起きていた。

名前はアウロというらしい。


自分が魔物(しかも魔王の娘)だということは伏せておいた。

変身しなければ人間と何にも変わらない見た目なのでバレることはないかな。


ちょっと困ってるのは、アウロに魔法がまだ上手く効いてないことかな。

おかしいなぁ。

失敗したことないのに。



流石に腕に抱きつきっぱなしでちょっと恥ずかしくなってきた私は強行策にでた。

アウロが考えごとをしている際に魔法をかけた首のところに噛みついた。


あ、人間の血って、美味しい。


じゃなかった。

傷口から魔法が効いたみたいでアウロは夢見状態になった。


スヤスヤと眠るアウロ。


これで、人間には精神系の魔法は耐えられないはず。


エレナは魔王の娘である。

基本的にほとんど全ての魔法が使える。

魔族にしか扱えない闇属性のものも使える。


なぜ、魔王が封印された時にデデンを倒せなかったのか。


それは、デデンが光属性の結界を張っていた為である。

どこで手に入れたのか知らないが魔王対策をばっちりしてきたデデン。


魔族の魔力を無効化して封印する壺。

光属性の結界を生み出す人形。


さらに、封印後他の魔族達を洗脳する杖まで用意されていた。


父はいくら強いとはいえ、これだけ準備されてはどうしようもなかった。

1番信頼していた部下の突然の裏切りに不覚をとってしまった。

それでも殺されはせず、封印されているだけなのはさすが我が父。



あれ、なんだっけ?。

あ、そうだ魔法だ。


アウロには悪いが、デデンを倒し父を復活させる為に少しでも戦力が欲しい。

洗脳魔法で操り人形にしようかな。

人間って成長速度が速いから育てればかなり戦力になる。


魔物に変えるのは惜しい。人間の血美味しいし。

エレナは、アウロをより深く洗脳させる為、アウロの記憶を魔法で辿ることにした。



「え、何これ!?」

つい、大声で叫んで出してしまった。


アウロの記憶だけではなく、前世の記憶も全部見えてしまったのだ。


わからない。

一体どうなっているの?

この世界はゲームとか言われる娯楽の物語で、この人はアウロの中に入った別人?。


これから先、魔王が復活する記憶もあるが……。

その魔王の姿は明らかに父の姿ではない。

デデンじゃないこの顔?


そして、私はこのゲームにおいては……。

え、そうなの?魔王の1人娘なのに?

そんなことある?勇者と戦ったりもないの?

いや、別に人間が嫌いとかそういった感情はあんまりなくて。

襲ってきたら返り討ちにするよ!ぐらいの方針ではあるが、なんか悲しい。



……アウロを洗脳するのはやめた。


とりあえず、起こして話をしよう。

なんか、私を助けてくれようとしたみたいだし。

私可愛いらしいし。

結婚したいらしいし。


……人間の血美味しいし。


いいなー。

結婚とか、運命の2人が愛し合うとか。

魔族にはそんな風習ないからアウロの記憶を見てから憧れちゃった。

この際、もうアウロと結婚しちゃうか。


顔も嫌いじゃないし。むしろタイプかも。

私のことを可愛いと思ってるなら、アウロも私のこと好きでしょ。


逆に、これを逃したらもう私にはチャンスがない。

そもそも人間が魔族と結婚したいと思わないでしょ。普通の人間だったら。

アウロはたぶん大丈夫。

普通じゃないし。

まあ駄目って言ったとしても……無理やりね。よし。


起きてからアウロが逃げ出さないように手足を縛りつけて固定する。


ふふ。起きたら楽しみだなぁ。

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