5話
「んー。ん?あ!起きたんだ。こんにちは!!」
目を覚ました女の子はめちゃくちゃ元気で可愛らしい子だった。
「初めまして、僕はアウロ。君は?」
「私はエレナ。ここで暮らしてるの。」
「君は、どうしてこんな森の中で暮らしてるの?」
「私は……ううん。えっとね。」
エレナが言うには、2年前に外の城で家族と暮らしていたらしい。
ある時、魔王の側近のデデンと名乗る魔物に襲われた。
家族は散り散りになり、この森に1人取り残されたらしい。
その時、この隠しエリアを見つけたエレナ。
それからはずっとここで暮らしているとか。
食べ物は果物やきのこ、あと何故かトマトがいっぱいあった。
川が流れている為、水もある。
ぴよぽんがいるおかげで癒してもらえるし、エレナの健康状態も良さそうだ。
と、ここまで話を聞いていたが、起きてからもずっと右腕にがっしり抱きつかれた状態だ。
「それで、エレナ。ずっと腕に抱きつかれてるのは?」
いや、別に嫌なわけじゃ無い。
むしろ幸せ。
でも、離れる気配が全く無いんだよね。
……なんで?
「は、離しません!!」
さらに強く腕を引っ張られる。
「逃げないから一旦離そう?ね?」
ちょっと痛いかな。
「駄目です。今は!」
めっちゃ握力つよい。ぜんぜん剥がせない。
うーん。そのうち離れる……よね?。
それから、数十分経ったが、まだ腕から離れてくれないエレナ。
2年間誰とも会ってなかったから人肌に触れたい的な感じかな?
いや、さすがに執着しすぎじゃないかな。
それと、起きてから右の首のところがなんかぞわぞわする。
確認したいけど、離れてくれないしなぁ。
アウロはいろいろ考えて1つの可能性を思いついた。
ゲームの世界のエレナはラスボス手前の隠しキャラ……なんだと思う。
最初に会った人間への好感度がありえないレベルで高い設定とか?
本来、何かしら大きなイベントがあって仲間を作るのが王道だ。
しかし、この場所自体そもそもストーリーに関係しない隠しエリアである。
世界各地のぴよぽんからの暗号を全部組み合わせて座標を当てはめるとたどりつけるこの場所。
ストーリーとか特になく、無理やり仲間になるキャラだったら今の状態も納得……はしにくいかな。
もうそういうものだと割り切るしかないか。
最終的に魔王が死んだあと魔王城もろとも大爆発で消滅する。
その際、この森も全焼する。
で、隠しキャラの発生条件を達成していなかったとしたら。
エレナはエンディング後の世界で登場することは無い。
つまりだ。
エレナをここに残しておくと死んでしまうかもしれない。
それだけはなんとしても阻止したい。
可愛いし。
第一発見村人だし。
村じゃないけど。
この世界で初めて会ったのは間違いなくこの可愛い女の子なのだ。
そう、まだ他の誰にも会っていない。
殺意のある魔物達にはあったけれども。
もしもこの世に存在する人間がアウロとエレナの2人だけだったらどうだろう?
それはもう結婚するしかないよね?うん。
魔物たちと戦うだけの人生なんてごめんだね。
平和で楽しく幸せな生活が送りたい。
アウロは途中からよく分からないことを考え始めていた。
完全にエレナからは目を離して。
「かぷりー。」
突然、エレナに首あたりを結構強めに噛まれた。
その瞬間、痛みと共に耐え切れない眠気が襲ってきた。
「えっ……なん……で」
意識が遠のいていくアウロ。
アウロの首に噛みつきながら、マリナは嬉しそうに笑っていた。