46話
アウロは、マリ姫の城に住み始めて3日が経った。
「マリ。やっと準備できたよ。」
「姫をつけなさい!アウロ、馴れ馴れしくなったわね。まだ出会って3日よ?」
マリがなぜ姫と呼ばれているか?
子供の頃から王女候補だったため、周りの人間が姫扱いしていたかららしい。
その名残でサーフィさんも幼い頃からマリ姫呼びらしい。
そんなんだから異性として見られないんじゃない?
知らないけど。
で、そのことを知ってからアウロは姫呼びをやめた。
これが姫というのは本物に失礼である。
「そんなことより、これでいいの?」
「ええ。大丈夫よ。」
この3日間、結構めんどくさい作業をさせられていた。
城にあるほぼ全ての魔道具を、収納機能のある魔道具に入れる作業をしていた。
簡単そうに聞こえるでしょ?
なぜか魔道具は城のあちこちに隠してあった。
それを探す作業にかかったのが3日間である。
ちなみに隠したのはマリらしい。
「なんで、1箇所にまとめて置いてないんですか?」
「サーフィがまた勝手に使ったら困るでしょ。だから、探さないと分からない位置に移したのよ。」
「で、効果あったんですか?」
「1回城の中をうろうろしてた時に何してるの?って言ったら気まずそうにしてたわね。」
意外と成功してた。
サーフィさんからしたら、魔物を呼び出すために魔道具を使った事実を隠したいわけだから魔道具を探してるなんて言える訳ないか。
「それで、数はこの30個で間違いないですか?」
「あら?1個足らないわ。」
別に1個くらいなくてもいいでしょ。
もう探したくないと思うぐらいは探し回ったよ。
「どの魔道具が無いんですか?」
「えーっと……。あ。シリウスの笛がないわね。」
「そのシリウスの笛って言うのは?」
「その笛の音色を聞いた人間は、性欲が抑えられなくなって目の前の相手を襲うわ。男女関係なく。」
激やば洗脳マシーンじゃん。
誰がそんな魔道具作ったの?
頭おかしいんじゃない?
マリの両親っていい人達だったんだな。
それは、世の中に出回ってちゃいけないと思う。
「それはどうやったら解除できるの?」
「えっとね。確か……。あ、そうそう。血を飲ませたらいいのよ。」
「いや、なんで?」
「殺すための魔道具じゃないからじゃない?暴走しすぎて相手を噛み千切ろうとしたら血を飲んじゃうから目を覚ますのよ。」
そういう解除方法なんだ。
「でも、城の中もう反応ないけどなぁ。」
アウロが城で魔道具を探す際に使ったのはこの魔道具。
魔道具の名前は、魔道具サーチャー。
そのまんますぎる。
近くに魔道具があると光るだけ。
魔道具の位置によって光り方が変わる。
いや、魔道具にもいろいろあるね。
さっきの笛と比べたらしょぼく感じるよ。
「サーフィが持ってる可能性が高いわね。」
まあ、ですよね。使用目的がわかっちゃうもの。
「どうする?絶対悪用するよ。マリに対して。」
「その場合はあんたが私に血を飲ませなさい。そのためのあなたよ。」
「それは、マリの場合でしょ?」
「あなた、魔物だから効果ないじゃない。」
あれ、確かに。
音色を聞いた人間にしか効果ないのか。
「じゃあ、大丈夫か。」
「いや、私には効果あるからね?ちゃんと助けなさいよ?」
努力はします。努力は。
「じゃあ、魔道具そろったし、出発?」
「いえ。明日の夜中にしましょう。」
ここ3日間は城に来客はない。
マリによると明日サーフィが様子を見に来るらしい。
「なんでわかるの?」
「この魔道具よ。」
えっと、カレンダー?
「これで何がわかるの?」
「来客カレンダーね。私に会いにくる人物がいる日にチェックが入るの。」
何、この使い道少ない魔道具。
役に立ってるけど。
いや、誰が来るか分かんないと微妙じゃない?
今のマリにぴったりじゃん。
このための魔道具!?
「あれ、この黒い×マークは何ですか?」
ちょうど、1ヶ月後に黒い×マークがある。
「嫌な事が確実に起こるわ。運命的なやつ。」
聞くんじゃなかったな。
「回避はできないの?」
「私はしたことないかな。」
「ちなみに今までは何が起こったの?」
「ペットが死んだりとか。祖母が死んだりとか。あの事件のときはこの魔道具使ってなかったからわかんないけど。たぶん×マークあったんでしょうね。」
死のマークじゃん。
しかも、自分じゃなくて周りの誰かじゃないですか。
……。
いや、大丈夫。
魔物らしいから自分。
対象外です。
ですよね?
アウロは逆に1ヶ月間は死ななくて済むと考えることにした。
そうでも考えないと耐えられません。
余命1ヶ月。
明日。
アウロとマリは、オスカル王国から脱出する。




