35話
「わあ。これが精霊!?」
すごくキラキラした手のひらサイズの物体が近づいてきた。
「意外と早かったですね。」
精霊は私の目の前まで来るとすぅーっと消えてしまった。
「あれ、消えちゃったけど?」
「成功ですね。契約されましたよ。」
えぇ。
今のどこに契約があったの?
いや、怖いわ。
「えっと、確認方法は確か……。」
フィーネが悩んでる。
一応これで強くなったんだよね?
私、何もしてないけど。
勇者感が全く無い。
「思い出しました!これ唱えてください。」
「我が精霊よ。我の前に姿を現したまえ。これでいいの?」
「はい!あ、出てきましたよ。」
さっきの姿とは違いエルフのような姿で精霊が出てきた。
大きさは手のひらサイズのままで、すごい私に懐いてる。
「これは……光の精霊ですね。」
「じゃあ私にぴったりじゃない?」
「うーん。効果が実感しにくいですよ。いや、ぴったりですけど。」
どうやら光の精霊は私の光魔法の威力を上げてくれるらしい。
確かに強くなったのかわかんないや。
「光の玉が大きくなったりするの?」
「いえ。ダメージが今までの4倍になります。大きさは自分の努力しだいですね。」
「4倍って結構すごくない?」
「正直な話、今の100倍は最低限欲しいですよね。それでも魔王のほうが強いので。」
そもそもの私の能力が弱すぎるのかな?
もしかして魔王を倒せたとして、私は普通の生活を送れないんじゃないか。
まあ、勇者ってそんなものなのかな。
「さあ、ここからは楽になるんでどんどん精霊を仲間にしていきましょう!」
この後、1週間で9精霊と契約を結んだカレン。
光の精霊と合わせて10体の精霊を持っている状態だ。
なぜか魔王の手下の襲撃はこの1週間無かった。
「ふう。とりあえず1段落かな。」
「10精霊仲間にしたら次は固定イベントがオンドラ火山であります。」
「オンドラ火山!?ここから真逆じゃない。」
オウルの谷からヤンの町に戻り、ロー草原を通って始まりの町へ。
そこからゾー草原を通ってハインドの洞穴を抜けてオンドラ火山にたどり着く。
「遠いんですよ。私の予定ではこんなに早く精霊が集まると思ってなかったんですよね。」
「遅かったらどうだったの?」
「エレナがドラゴンで迎えに来るかなーって。」
なるほど。
確かにそれだったらすぐにでもたどり着けそう。
「そういえば、アウロさんは大丈夫なの?結構あれから時間経ったけど。」
「魔力の気配はまだあるんで死んではないと思いますよ。もし死ぬようなことがあればエレナが止まらなくなるのでこの世界は終わります。」
「そのときはフィーネが何とかしてくれないの?」
「こうみえて私もアウロお兄さまのこと大好きなのでたぶん私も一緒にエレナと世界を滅亡させますね。」
「ごめん。アウロさんって何なの?」
アウロさんが謎の人物過ぎるんだよなあ。
まず、エレナさんと結婚してるみたいな話はエレナさんが言ってた。
ここからおかしい。
アウロさんは元人間で今は魔族らしい。
で、元人間が魔王の娘と結婚したらしい。
うん。何これ。
エレナが一方的になんかしたよね絶対。
で次にフィーネ。
アウロに会ったのは一瞬らしい。
で、助けてもらったことからアウロの妹になったらしい。
あれ?エレナよりフィーネのほうがおかしいかも。
「えっと、どこで妹になる要素があったの?」
「私、アウロの全てを知っているので。ふふ。」
よくわかんないけど、アウロさんは被害者なんだろうきっと。
それだけは分かった。
本人がハーレムを築こうとしたわけではなく、寄ってきちゃったんだ。
自分より強い人間しか回りにいないのって意外と精神的にくるのよ。
今の私がそれ。
まあ。勇者って肩書きのせいではあるけど。
……もし会えたら慰めてあげよう。
本人が病んでなかったらいいけど。




