31話
「えいっ。」
襲い掛かってきた魔物を一撃で倒すフィーネ。
いや、いま腕振り下ろしただけだよね?
魔物真っ二つだけど……。
「それにしても結構襲ってきますね。女の子だとやっぱり美味しそうに見えるんですかね?」
「どうかなぁ。この辺の魔物ってそんなに凶暴じゃないって聞いたんだけどな。」
「もしかしたら魔王がこの辺に魔物のゲート作ってるかも知れませんね。」
「ゲート?」
「生み出された瞬間、こっちに来て食事を探すんです。これを作るのにそんなに魔力いらないので、もしもこの世界に強い人間がいなければ魔王は簡単に世界征服しちゃいますね。」
「うわぁ。やり方が汚い。さすが魔王。」
「でも、そんな強くないんですよ。中級冒険者でもたぶん倒せますよ。」
「そうなんだ。」
フィーネの倒し方が全部一撃だからどのモンスターが強いのか全くわからない。
「魔王の目的は人間の器でしょうね。」
「器?」
「人間の魂を抜いた状態の物らしいですよ。それで儀式をして魔王は強くなるそうです。私、そういった魔法には詳しくないんでエレナに聞いたら詳しく教えてくれますよ。」
はえー。そうなんだ。
でも……なんだかなぁ。
わざわざ強くなるのに、人間の器とかいるの?
魔王なのに?
あ、偽者だからか。
本物はエレナのお父さんだもんね。
無理やり力を手に入れるわけだ。
「カレン。次が来ました。弱そうなんで倒してください。」
「え、いきなり!?」
剣を構えるカレン。
魔物に攻撃するが、あまり効果がない。
「ぐぅ。倒せない。」
「剣を振るとき腕に魔力を流す感じでやってみてください。」
フィーネに言われたように剣を振ってみる。
「あ、通った。」
さっきまでの苦労はなんだったのか。
簡単に魔物の体を引き裂いた。
「すごい。倒せた。」
「光魔法って魔族に効果抜群ですからね。1回、説明聞いただけで魔力流せるのはさすがです。」
「ちょっとは勇者っぽくなったかな?」
「勇者っぽいというか勇者ですからね?どうであれ。」
フィーネに補足で他の属性の魔力を注いだらその魔力に応じた攻撃が放てると教えてもらった。
精霊と契約できたら火をまとった攻撃とか電気でビリビリの剣とかにできるんだ。
「さて、今日はこれくらいにしてこの辺で屋敷を出しますか。」
「ちなみに今どれくらい進んだの?」
「目的地のオウルの谷まであと半分ぐらいですかね。」
「意外と近いんだね?」
「伝えてなかったんですけど。こっそり移動速度10倍の魔法をかけてるので。ほんとは10倍かかりますよ。」
いや、魔法かけるときは教えて!
無自覚な私が悪いの?
無詠唱でやばい魔法打てちゃうフィーネも悪いよ。
いつやったの?
敵の動きに対応できたのもこれが原因っぽいな。
「じゃあ、ほんとは20日かかる距離だったんだね。」
「時間もったいないので!サクサク行きましょう!」
もう何も信じられないよね。
さっき倒した魔物もフィーネが弱体化していた説が浮上しちゃったよ。
魔法を唱え、屋敷を出したカレン。
屋敷の中に入り調理場に向かう。
基本的に旅の間はカレンが料理を担当することになった。
フィーネって何が好きなのかな?
「フィーネって好きな料理とかあるの?」
「食べないとわかんないです。アウロはハンバーグとか好きですよ。」
「え、うん。じゃあハンバーグ作るね。」
奇跡的にこの世界にハンバーグは存在したのでカレンは理解できた。
基本的にフィーネの記憶はアウロで出来ている。
2000年封印されておりそれ以前の記憶がないからだ。
なのでフィーネはほとんど料理の味が分からないのだ。
レモンはすっぱい、みたいな知識だけある状態である。
問題はこの世界に存在しない料理の知識のほうが多いことだ。
そうこうしている間に、ハンバーグが完成した。
「じゃあ、食べようか。」
「はい!……美味しいです!これ好きです!!」
どうやら気に入ってもらえたみたい。
これくらいで満足してもらえるなら安心できる。
さすがにプロの料理は私じゃ作れないし。
しばらくして、2人が食事を終えたのと同じタイミングで屋敷の外から爆発音が聞こえた。
「えっ何!?」
怖いな。なんだろう。
「来ましたね。魔王の手下が。」
フィーネは目がギラギラしている。
どうしよう。暴走しても私止められないよ?
2人は屋敷の入口へ向かった。




