30話
フィーネとカレンはヤンの町を再び訪れていた。
「屋敷に食料が全然ないのでここで揃えていきましょう。」
スラとエレナは屋敷を収納する魔法が使えない。
なので、私達が屋敷を持っている状態だ。
野宿じゃないのはめちゃくちゃありがたい。
しかも屋敷ってお風呂もついているし文句は一切ない。
エレナ達は夜どうするんだろう。
気になる。
まあでも何とかするよね。きっと。
しばらく町を買い回り、やっと買い物が終わった。
ヤンの町を出たところで私はフィーネに聞く。
「ところで、フィーネ。精霊についてそろそろ教えて欲しいな?」
「この世界には精霊と呼ばれる存在がいます。精霊は契約すると力を与えてくれます。」
「それで強くなれると。」
「本来1人1精霊としか契約できないんですけど、勇者は特別な固有スキルがあって何体でも契約できちゃうのです。」
はえー。私結構やばい力持ってるのね。
そういうのって勇者になったタイミングで教えてもらえないものかね?
たぶん今知らなかったら最後まで知らなかったよ。
そもそも精霊を知らなかったし。
「えっと、それで私は何体と契約する予定なの?」
「全部行きたいですね。火、水、草、電気、他にも……。」
なんか、精霊っていっぱいいるんですね。
いろいろ行くのめんどくさそう。
いけない。
勇者なのにめんどくさいって思っちゃった。
「ちなみに、その精霊はどこで会えるの?」
「最初はヤンの町を進んだ先にあるオウルの谷で粘りましょう。」
オウルの谷かぁ。
毎年何人も崖から落ちて死んでいるらしい。
そんな危険な所に行かなきゃいいのにと勇者になる前は思ってました。
勇者になったので行くしかないんですよね。
なんとも言えない気持ち。
んで、粘る?
「粘るって何?」
「精霊はランダムイベントでしか出会えない激レアキャラです。」
「よくわかんないけど珍しいんだ。精霊って。」
「なので、1ヶ月出会えなくても普通と思ってください。」
「!?」
え、いっぱい集めるのに?
魔王討伐って一応2年が期限って勇者になったとき聞いた気がするよ?
「1回会えれば後は余裕なので。精霊と契約すると他の精霊がよって来やすくなるんです。」
「最初の1体が大事なんだ。」
「でも、その期間中にカレンを鍛えられるので無駄はないですよ?」
「げっ。お手柔らかにお願いします……。」
「エレナもスラを特訓するので一緒に連れて行ったんだと思うので、スラには絶対に負けないように強くしますから。」
いや、スラって伸びしろしかないよね。
私が勝てるかなぁ。勇者的によくない台詞だけど。
私、普通の女の子なんです。
なぜか勇者なんです。
そして、フィーネ。エレナに対抗意識燃やさないで。
お願い。スパルタはやめて。
病んじゃうから。魔王に会う前に。
……。
精霊、絶対に手に入れよう。
がんばろう。
一応勇者だし。うん。
カレンは不安を抱えたまま、先を歩くフィーネに着いていくのだった。




