3話
村から歩き出して1時間。
幸いにも魔物にはまだ出会っていない。
魔物に遭遇した瞬間死ぬ。
レベルが違いすぎる。
ここまで魔物に出会っていないのはなぜか。
ゲームの設定と同じと考えると、まだフラグが立っていないのだと思う。
そもそもマップ外エリアなので遭遇しないのかな。
まだ魔王復活してないし。
アウロの村が襲われたのは……。
強制イベントなんじゃないかな。
わかんないけど。
魔王城の中に間違って入るようなことがなければ魔物に殺される心配はない。
森の中には魔物は出てこないと……。
勝手に信じている。
信じていた。
普通に魔物に遭遇した。
終わったわ。
まだ距離はあるけど……。
なんか「グオォ」みたいな声で唸ってる。
狼みたいな見た目だ。
奇跡的にまだばれてない。
前しか見てないのかな?
全然回り見てないけど。
……。
身を潜めて、なんとかやりすごしたアウロ。
その場で座り込む。
はい。もうおしまいです。
次は絶対助かりません。
今回は奇跡です。
そもそも、なんでレベル1相当の人間が最終エリアに生息する魔物から逃げてるの?
おかしいよね?絶対。
もうやだ。帰りたい。
帰る場所ないけど。
帰れたらアイス食べたい。
この世界アイスあるのかな。
その後、暗くなるまでその場で待機していたアウロ。
夜になったので、身を潜めていたアウロは再び行動を開始する。
暗闇の中、休まず歩き続ける。
道があっているかは知らない。
でも魔物いたしエリア外からは正規のマップに入ったのかな。
目的地は魔王城のまわりを囲う森の中にある隠しエリア、ぴよぽんの里。
もうここしか生き残れる場所がない。
本当にない。
絶望的にない。
一応、魔王城の中にチェックポイントがあった気もするが魔王場に入ったら死ぬ。
間違いなく死ぬ。
せめて、隠しエリアでレベル上げするしかない。
それでも死にそうだけど。
あとはずっと隠れて暮らして勇者が魔王倒すのを待つとかかなぁ。
歩いている途中5回くらい魔物に遭遇した。
なんと、奇跡的にすべてやり過ごした。
もしかしたらアウロのレベルが弱すぎて認識されていないのかもしれない。
この世界に来て初めて神に感謝してます。
ありがとう。
次はこんな状態で異世界に送らないでください。
それにしても、狼みたいな魔物の視野狭すぎないかな。
ここ最終エリアだよね?
……魔法が効かないとか、物理攻撃特化とかなんかの能力が強いに違いない。きっと。
最初に小屋であった魔物のほうが弱かったよ絶対。
最初より生きるための難易度上がってない?
そもそも、ここまでRPG感まったくないからね。
戦う手段が無くてひたすら逃げるだけのホラーゲームじゃない?
あ、でもほんとにホラーゲームじゃなくてよかったと思う。
怖いの無理なんで。心臓弱いんで。はい。
……。
そんなこんなで、やっと魔王城付近まできた。
ここまで、とても長い道のりだった。
魔物が気づいたら殺されるという恐怖に震えながらひたすら歩き続けた。
足がとても痛い。
アウロの体は悲鳴をあげていた。
そういえば、レベルが上がったら能力値は増えるのかな?
今の所なさそうな気がする。
あったら体力をひたすらに上げたい。
歩くのしんどい。つらい。
疲労なくしたい。眠たい。
あーアイス食べたい。
死にたくない。しんどい。
アイス食べたい。
文句をブツブツ言いながら、アウロは隠しエリアの入口を探しはじめた。