25話
「カレンが誘拐されたですって!?」
エレナはスラからの言葉に驚愕した。
「ごめんなさい。カレンから槍を買ってもらって喜んでたら相手の反応に遅れて逃しました。」
話によると麻酔針で眠らされたカレンはそのまま抱えられて誘拐されたらしい。
「それで相手は誰なんですか?」
フィーネがスラに問いかける。
「町の近くで、毒蛇の群れが橋を壊したりして困っているって話を町の人から聞いたんです。その時にガラの悪い男3人がこちらを見ていたんですが、何もしてこなかったので気を抜いていました。その後も後をつけてきていたみたいです。」
「よく、勇者が誘拐出来たわね。」
普通の男達に勇者を簡単に誘拐出来るだろうか?
レベルがまだ低いとはいえ、この町の人間にはかなり難しいのでは?
そもそも、麻酔針なんてレベル差が相当ないと効かない……勇者のレベルだと効きそう。
「多分なんですけど、魔物に操られてますね。あの男達。動きが変でした。なんか蜘蛛みたいな。」
「うーん。困ったわね。わざわざ勇者を狙った魔物の犯行ってことは急がないと魂を取り込まれちゃうわね。」
「あの、私はよく知らないんですけど。魔物って人間の魂を取り込むとなんかいいことあるんですか?」
「全部手に入るのよ。体から、記憶やら魔法やら魔力も全部。」
「ちなみに、スラとエレナはその体誰かのじゃないですよね?」
「私達のは違うわ。そもそも魂取り込むデメリットとして以前の自分の力を全て失うわ。記憶だけ残るけど。」
「なるほど、イメージ的には別人に体ごと移り変われるみたいな感じですかね。」
「そうね。でもあんまり使われているイメージはないわ。そもそも自分よりも強い相手を捕獲出来ないでしょ。」
「確かに。え、じゃあ、勇者は何で?」
「裏に誰かいるわね。勇者が成長して障害にならないように自分の力にしようとしてるわ。」
「困りましたね……。まずは勇者を探さないと。」
「大体の位置ならわかります!壊れた橋の近くの洞窟の中で勇者の魔力を感じます。」
その力、便利ね。まあ、私も契約でアウロの魔力だったらどこでも感じられるんだけど。
「急ぎましょう。魂を取り込む場合は何日かかかると思うけど、相手の気が変わってそのまま殺されたりしたら終わりよ。」
この世界に人間の蘇生方法が無いわけじゃないけど。
こんな序盤で勇者を殺されるわけにはいかないわ。
「スラ。案内よろしくね。」
「わかりました。あいつら見つけたら必ず破片も残さず消滅させます。」
この子、結構野蛮よね。嫌いじゃないけど。
こうして、勇者カレンの救出に向けて3人は動きだした。




