20話
カレンとスラは、ロー草原のちょうど真ん中あたりにたどり着いた。
ここまでの道中でスラのことについてわかったことがある。
スラには吸引能力がある。
吸引した物体の何かしらが手に入るらしい。
でも必ず手に入るわけじゃないみたい。
先程倒した化け猿からはジャンプ力が手に入ったみたい。
試しにジャンプしたスラは家の屋根ぐらいの高さまで飛んでた。
あの猿あんなに飛べるんだね。
「これからどうするの?」
スラは普通に会話できるようになった。
さっき私の髪を吸引してもらったらスラスラ話せるようになった。もうスライムっぽさが一切ない。
普通に人間だよ。人間より可愛いまである。
「この草原を抜けた先にヤンの街があるからそこを目指す予定だよ。」
「カレン。でも、この先通れないよ?」
え。ほんとだ。
ヤンの街に向かう道の途中には大きな川があり、そこを渡る橋が壊れていて進めない。
「どうしよう。スラ、私を抱えてジャンプ出来る?」
「ちょっと難しいかなあ。もしミスして川に落ちたら戻れないかも。」
ここの川結構流れが早い。確かに落ちたらやばいかも。
「うーん。川の下にある湖のほうから向かってみようか。遠回りになっちゃうけど。」
「そのほうがいいよ!落ちても泳げないからね。」
スラ泳げないんだ。以外。
確かに泳ぐスライムって見たこと無い。
今後、魚吸収させてみよう。
進路変更して川を下っていくカレンとスラ。
しばらく進む川の水が真下に向かって落ちる滝になっていた。
「もし川に落ちてたら滝から落下してたね。危なかった。」
「ほら、飛ばなくて正解だったでしょ。」
スラがちょっとドヤ顔でおもろい。
「でも、ここを降りるの難しいかな。」
「ここは飛べるね。はい。」
スラにお姫様抱っこされるカレン。
私、今、自分より小さい女の子にお姫様抱っこされています。
スラの見た目が男の子だったらときめいていたかも知れない。
スラは今にも下に向かって飛びそうだった。
「スラ。まって。私心の準備が出来てな……ぎゃあぁぁぁぁ。」
スラは全然待ってくれなかった。真下に落下していく。
怖すぎてめっちゃしがみついた。
そこから数秒記憶がない。
「ついたよ?カレン。」
気がついたら滝の下に着いていた。
死ぬかと思った。まじで許さん。
「スラ。私はものすごく怒っています。」
「えぇ……。ごめんなさい。」
スラは申し訳なさそうにこちらを見ている。
本当に悪気はなかったみたい。
じゃあ、今回だけは許してあげよう。
「次から飛ぶときはちゃんと確認してね。」
いろいろあったが、何とか下にこれた。
ここからもう少し進んで行くと湖がある。
そこをぐるっと回って森を越えればやっとヤンの街だ。
いや疲れたな。どこかで休みたい。
カレンはこう見えてまだ勇者2日目である。
まったく冒険慣れしていない為、正直体はもう悲鳴を上げている。
そんなカレンに全く気づかず元気に進むスラ。
スラ。もうちょっとゆっくり行こうよ……。
しかし、こんな道中で休んでいて夜になったら大変だ。
カレンは仕方なくスラに遅れないよう歩いていった。




