13話
「アウロ。ごめん。やらかしちゃった。」
エレナは申し訳なさそうに呟いた。
「え?」
洞窟の中に転移したエレナとアウロ。
しかし、何故エレナは謝っているのかアウロは分からなかった。
「えっと、まず。転移は大体成功したよ。」
「そうみたいだね。ここは……。」
「始まりの町ルーンの近くにある洞窟のエリアです。」
「そんなのあったっけ?」
「いいにくいんだけど……。最後の隠しエリアじゃない?」
あー。
それは、どうしよう。
やばいわ。
いや。
うーん。
やばいわ。
「で、でも。もう一回エレナの魔法で移動すれば。」
「あの。転移って人数多いと魔力の消費が激しいみたいなの。」
「あ、うん。」
「私の魔力は完全に0になりました。目的地ぎりぎりまで移動して魔力切れになった場所がここ。」
エレナがニコっと笑顔を作りながら手を合わせて謝罪している。
最悪な場所で魔力切れちゃったよ。
死ぬかも知れない。
いや、死にそう。
死ぬね。確実に。
「エレナ様。この隠しエリアは、エンディング後に来れる場所で、対象レベル90以上の場所で間違いないですかな?」
「そうですわよ。………アウロ。死ぬ時は一緒じゃぞい。」
ふざけてる場合じゃないわこれ。
状況がよろしくなさ過ぎて2人とも口調がおかしくなってる。
「エレナは動く分には問題ない?」
「えっと、言いにくいなぁ。結構フラフラだよ?。多分もうすぐ立てなくなりそう。」
「絶望的!おしまい!」
「アウロなら私を抱えて何とかしてくれるよね。」
「魔力が回復するのはどれくらいかかるの?」
「まず、1週間は動けないかな。完全に回復するのは1ヶ月ぐらいかなぁ。初めて体内の全魔力使い切っちゃた。使用者以外も連れて行こうとすると1人が転移できる魔力の50倍ぐらい使うみたい。完全に私の計算ミス。ごめんねアウロ。」
「いや、こっちこそごめんね。無理させて。」
やばいなぁ。
……あ、そうだ。
一応僕の中にエレナの魔力があるんだよね。
「エレナ。吸っていいよ。」
「でも……。」
「とりあえず2人とも動けるほうが絶対いいから。結構僕に魔力が残ってても残ってなくても死んだら一緒だからね。」
「わかりました。かぷり。」
エレナの魔力がほんの少しだけ回復した。
あんまり回復してなさそう。
「それで、今の位置ってどの辺か感覚で分かる?」
場所がわからないと動きようがない。
「多分、結構奥の方だと思うんですけど。」
「ってことは、ここ隠しボスの目の前の部屋かなぁ。」
「あの、アウロ。見えます。ボスっぽいの。」
「あ、やっぱり見えてるあれ?」
「はい。」
「なんか、すごいこっち見てないかな。」
「はい。すごい見てますね。」
「え、どうしよう。しかも見たこと無いよあのキャラ。あれ?龍じゃなかったっけ?」
「完全に人型ですね。女の子っぽい。対話してみます?もう入口側に戻ろうとしても今の私たちだと即死ですよ。この洞窟だと。」
「それしかないよね。」
アウロは内心震えながら歩き出した。
そのとき……。
エレナが倒れた。
「エレナ! 大丈夫?」
「ごめんなさい。足がもつれて。アウロから返してもらった魔力なんですが、人間の血に混じってるのであんまり吸収できないみたいです。」
「そっか……。はい。乗って。」
アウロは背中にエレナを乗せる。
「重くないですか。」
「重い。すごく。とても。」
「はあ!?こういう時って普通は重くないって言いますよね?アウロ嫌いです。」
嫌われてしまった。
まあ、ほんとはめちゃくちゃ軽いんだけど。
「ふぅ。……じゃあ、行きますか!!」
正直、死ぬほどびびっているアウロ。
そのことがエレナにばれないように、めちゃめちゃ元気に歩き出した。
そんなアウロを見て、エレナは微笑んだ。




