97.配信者、ホームセンターに行く
ご飯を食べ終わった俺達はポテトの家を作るために、凡人とホームセンターに行くことになった。
すでにこの間図面を書いていたため、あとは材料を買って作るだけだ。
特に俺達は関わることはせず、犬小屋も肥料達が作ってくれるらしい。
本当に至れり尽くせりで良いのかと疑問に思った。
聖奈や桜に相談したら、"私達の生き甲斐を奪って死ねってことなの"って言われたらどうしようもない。
「ポテトも行くか?」
『ウーン』
ポテトはどうすれば良いのか玄関で迷っている。
「チップスが気になるなら家にいてもいいぞ。材料を買ってくるだけだからね」
チップスの出産も近くなり、ポテトもソワソワすることが増えてきた。
夫として妻のことが心配なんだろう。
「何かあったらすぐに電話してきてね。聖奈さんもよろしくお願いします」
「わかりました」
犬の見た目をしているが、こいつらも魔物だ。
魔物の出産自体がどういう感じになるかわからない。
探索者やギルドマスターに聞いたが、情報自体がないと言っていた。
ひょっとしたら突然襲ってくる可能性もある。
この最近は危険性も考慮して、探索者が交代で一緒に面倒を見ていることが多い。
俺自身に力があるわけではないため、みんなが協力的でよかったと思う。
ちなみに祖父は侍と一緒に釜田クリニックにマッサージしに行っている。
祖父も前より元気になったのか、毎日活発的に出かけている。
ただ、出かけるところは釜田クリニックか畑、養鶏場しかない。
ダンジョン周囲が発展したら、祖父も楽しく過ごせるだろう。
それに意外と見知らぬ探索者達と馴染んでいるらしい。
「じゃあ、行ってくるね!」
「いっちぇき!」
俺達はホームセンターに向かうことにした。
って言ってもよく行っているところだからドリも慣れている。
畑で使う道具以外にも、俺や祖父の仕事着はホームセンターで買っているからな。
「材料は何が必要ですか?」
「丈夫にするなら建築現場に使われるような足場で使う金属製のパイプだったり、鉄骨とかで作るけど何が良さそうだ?」
思ったよりも凡人が作る犬小屋はしっかりしてそうだ。
犬小屋よりどちらかといえば、ガレージの造りが似ている気がする。
「ドリは何が良い?」
「んー、じゃがも!」
「さすがにじゃがいもで作るのな難しいかな」
じゃがいものような外装は可能かもしれないが、じゃがいもで小屋を作ったら、猪に食べられてしまう。
「やっぱり雰囲気を壊さないように木材がちょうど良いだろうな」
秋が近づくと台風が来ることが多くなる。
ある程度風に飛ばされないように丈夫であれば問題ない。
木材なら家の隣にあっても違和感はないだろう。
それに犬小屋だからそこまで大きくはないはずだ。
「よし、着いたぞ!」
ホームセンターに着くと、ドリはすぐに車のドアを開けた。
「ドリ、駐車場は危ないぞ」
駐車場で子どもが飛び出して轢かれる事件は実際に起きている。
運転手や保護者が気をつけていても、子どもはどんな行動をするかわからない。
「はーい!」
ドリは周囲を見渡して、急いで外にある花売り場に走っていく。
相変わらずホームセンターに着いたら、行きたいところは同じようだ。
「ああやってみたら普通の女の子だよな」
「ん? ドリはドリアードだけど普通の女の子だよ?」
「あっ、そそそうだな」
凡人にはドリが普通の女の子に見えないのだろうか。
今も花に興味を持っている女の子にしか見えない。
俺も車を降りて、すぐにドリを追いかける。
「いやー、熊に勝てる女の子が普通なはずはないだろ。車も吹き飛ばせると思うぞ」
凡人は何か呟きながら、俺の後ろを歩いていたが遠くて聞こえなかった。
「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」
「ほちちょーらい!」
ドリは両手を振って配信を終えた。
ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!
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