96.配信者、得意料理は味噌マヨディップ
次の日タブレットの設定するとポテトは、誰が見てもわかるほど興味津々に触れていた。
肉球で器用に画面を操作している。
タブレットが肉球で反応することを初めて知った。
「おいおい、それは食べもんじゃないからな」
落としてもわかりやすいように、待ち受けをポテトチップスにしたら、タブレットを齧ろうとしていた。
これこそ画面にかぶりつくように見るって状況だろうか。
いや、ポテトの場合本当に齧りつくように見えた。
その姿は新しいおもちゃを手に入れた子どものようだ。
「ポテト、もう少し離れたほうが良いぞ」
『えー』
いや、目を離した時には実際にタブレットに噛みついていた。
ひょっとしたらお腹が減ったのだろうか。
画面に映るポテトチップスを見ては、よだれがポタポタと垂れている。
「ポテちゃん、今日もじゃがいも料理があるからね」
祖母はそんなポテトに甘い。
じゃがいも料理があると聞き、タブレットに興味がなくなったポテトはいつのまにか居間で座って待っていた。
よだれを飲み込むのが間に合わないのか、バケツを持って待機している。
「じゃがじゃが!」
「ドリちゃんの分もたくさん用意しているからね」
いや、ポテトだけじゃなくてここに住むみんなに甘かった。
祖母にとって家族にご飯を作ることが生きがいになっているのだろう。
最近は春樹も我が家でご飯を食べることも減り、忙しなく料理をしている。
だから俺も祖母と一緒に料理をする時間が増えた。
少しは祖母孝行ができているだろうか。
「チプちゃんの子どももそろそろ生まれそうだから、ポテちゃんもお父さんね」
「あいつがお父さんになれるか心配だな」
『グルルルルル』
ほら、今も俺の顔を見て睨んでいる。
チップスのお腹はだいぶ大きくなり、動くのが辛そうになってきた。
最近は横になって寝ている時間の方が増えた。
体力的にもキツイのだろう。
「パパー! おなきゃぺこぺこ!」
ドリは台所で料理をしている俺のところにやってきて、ポテトを指差していた。
どうやらさっきの唸り声みたいなのは、ポテトのお腹の音らしい。
お腹が減り過ぎて俺に早く作ってくれと睨んでいただけだった。
本当にお父さんになれるのか心配だ。
そういう俺もドリの父として、しっかりできているか心配になる。
最近は特に俺がドリに育てられている気がする。
そうやって世の中の父と母は成長していくのだろうか。
「ばあちゃん、ポテトにキュウリあげてもいい?」
「お菓子を食べさせるよりはいいわね」
俺は冷蔵庫からキュウリを取り出して、味噌マヨディップを作る。
味噌にマヨネーズと砂糖を入れて混ぜるだけだが、これがキュウリと合って美味しい。
一度食卓に出たやつをポテトとカラアゲが食べたら大興奮していた。
それから定期的におねだりされて、おやつとして出すことが増えた。
「おやつのキュウリを持ってきたぞ」
テーブルの上に持って行くと、ゾロゾロと集まってきた。
「私もこの野菜の味噌マヨディップ好きなんです」
テレビの横にあるタブレットで畑の様子を見ていた聖奈も声に反応して駆けつけた。
ちゃんと我が家の護衛として聖奈は働いている。
「それにしても犬と鶏が味噌マヨディップを食べても平気なのか?」
ポテトとカラアゲに確認すると、お互い顔を見合わせて頷いていた。
我が家では普通になってはいるが、ポテトとカラアゲはかなり雑食だ。
ドリの時は肉を嫌っていたが、少しずつ食べれるようになってきた。
今では好き嫌いなく食べられるようになった。
一方、ポテトとカラアゲは初めからなんでもバクバクと食べる。
「きっと成長期なんですよ」
小さい頃は好き嫌いが多いが、少ない方が大きく成長するだろう。
「あー、確かにカラアゲは前よりも大きくなったもんね」
コロコロしているカラアゲはどんどんと大きくなってきている。
中型犬ぐらいのサイズ感はあるため、これ以上大きくならないか心配にもなってきている。
今は一緒に寝ているが、あまりにも大きくなったら家にも入れないからな。
2階に上がる階段で引っかかったら、新たに寝床を作る必要がある。
「もうそろそろでご飯ができるから待っててね」
「はーい!」
『わーん!』
俺も台所に戻り作業を再び手伝う。
ドリ達は楽しそうにキュウリに味噌マヨを付けて食べていた。
「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」
「ほちちょーらい!」
ドリは両手を振って配信を終えた。
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