91.配信者、ドリの友達を知る
ネトコンに二作品通過しました!
良ければ下の方から読んでみてください。
祖父達を呼びにいくとマッサージ機にベッタリとしている祖父とポテトがいた。
「じいちゃんまだいる?」
『うん!』
機械の上でだらーんとなっている祖父に声をかけると、代わりにポテトが返事をしてくれた。
相当気に入ったらしく、もうしばらくは動けなさそうだ。
「俺達は畑の様子でも見に行くか」
「いく!」
特に家に帰ってもやることがない俺はドリと共に畑に向かいながら散歩することにした。
さつまいもを埋めてから特にやることもなく、雑草を抜くぐらいしか畑作業はない。
「あるーひー」
「ありゅーひー」
「畑の中」
「はったけー」
今日も歌を歌いながら畑の畑の間を通っていく。
畑が荒らされていないか、確認するが特に動物の姿は見えない。
今日はじゃがいも畑も被害はなく、あのワイルドボア以外には効果があったようだ。
「くまさんに」
「くましゃんに」
「であっ……ちゃった」
「であっちゃ?」
俺はすぐに足を止めると、後ろを歩いていたドリとカラアゲは止まらずにぶつかってきた。
畑の奥にいるが、黒くて大きな姿はきっと熊で間違いない。
昔から様々な動物に出会うと聞いていたが、熊には遭遇したことがなかった。
まさかこんなところで、熊と出会うとは誰も思わないだろう。
ワイルドボアと熊のどちらが危険かはわからないが、出会ったらすぐに逃げないといけないのは誰もが知っている。
『クウェー!』
真ん中にいたカラアゲは俺とドリに挟まれてた痛かったのか叫んでいる。
「グアアアアアアアアア!」
だが、そのせいで奥にいた熊は俺達の存在に気づいてしまった。
「くーましゃーん!」
ドリは熊に会えて喜んでいるのか、熊に向かって走り出した。
熊ってキャラクターにされていたりして、可愛いイメージがある。
ただ、実物は可愛いだけではすまない。
すぐに危険だと感じた俺はドリの服を掴むが、勢いがあり止められない。
そのまま俺も一緒にズルズルと引きずられていく。
熊は確実に俺達に向かって走りながら、威嚇していた。
明らかに感じる威圧感と大きさに、成熟した大人の熊だと気づいた。
明らかに俺達ではどうしようもできないサイズだ。
「おいおい、ドリ止まれ!」
すぐに止まるように伝えても、ドリは聞く耳を持たない。
「止まれえええぇぇぇ!」
足を踏ん張り、後ろに倒れるように勢いを止めていく。
これしか方法がないと思った。
『クウェー!』
ただ、これがカラアゲにとっては遊んでいると思ったのだろう。
俺に勢いよく向かって飛びついてきた。
膝丈サイズのカラアゲ。
そんな存在がドリを前に行かせないように、体を後ろに倒して踏ん張っている俺にぶつかるとどうなるか。
「ちょ……」
一瞬にして膝カックンされ、そのまま後ろに倒れていく。
もちろんその衝撃でドリを掴んでしまった手を離してしまった。
『わわわわわあああああ』
大きな音とカラアゲの聞いたことのない焦った声が畑の中心に響く。
一瞬にして人生が終わったと感じた。
今までの思い出が走馬灯のように流れていく。
忘れていた少年時代の思い出が蘇る。
あれ……自由研究って春樹が先にやっていたのか?
自由研究の題材がなかった俺は春樹に相談すると、一緒に卵の孵化をしようと言われていた。
それなのに俺はいつのまにか、春樹がアイデアを盗んだと勘違いしていた。
なぜ、そんなことが起きたのだろうか。
思い出そうと思っても、そこで過去の記憶は途切れてしまった。
「パパ?」
「はぁ!?」
俺は誰かに体を揺らされて目を覚ました。
どうやらそのまま倒れて頭を打ったのだろうか。
後頭部に少し痛みを感じるが、思ったよりも傷は少ないようだ。
「よしよし」
ドリは俺の頭を撫でて、カラアゲは心配そうに顔をペチペチと触っていた。
なら俺の体を揺すっているのは誰だろうか。
視線を体に向けると、ドリ達に紛れて楽しそうに俺の体を揺らす熊がいた。
「うおおぉぉぉぉ!? 熊だよ! 熊!」
「シャンシャン!」
食べられるかと思った俺は急いでその場から離れるが、ドリは熊と見つめあっていた。
「シャンシャン!」
「グアアアアアアアアア!」
お互いに遠くへ走り出すと手で体を押し合っている。
場所は畑として使っていない空き地のところだ。
足元にも草が生い茂っているため、転んでも怪我はしないだろう。
ただ、相手は凶暴と言われている熊だ。
「ドリが熊と相撲しているよ」
『クウェ!』
今見ているのは現実なんだろうか。
座っている俺の間にカラアゲが乗ってきた。
心配しているのか、体を俺にすりつけている。
膝カックンしたことを誤っているのだろう。
「カラアゲはドリが熊と遊んでいること知ってたか?」
『クウェ!』
どうやら俺だけがドリの交友関係を知らないらしい。
時折、聖奈達と遊びに行っている時にでも仲良くなったのだろうか。
むしろ、熊と友達になる人が世の中に存在するとは誰も思わない。
そんなことを考えていたら、ドリは熊を放り投げてガッポーズをしていた。
相撲での力比べは終わったようだ。
『クエクエ!』
次は自分の出番だと言いたいのか、カラアゲは熊の元へ向かっていく。
さすがに鶏は熊に捕食される方だと思ったが、カラアゲは強かった。
素早く熊の攻撃を避けると、体で熊を押し倒している。
どうやら熊が出てきても、あの子達は心配ないようだ。
「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」
「ほちちょーらい!」
ドリは両手を振って配信を終えた。
ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!
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