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84.配信者、ヒヤヒヤシチューを作る

「これって配信した方が良いのか?」


 いざシチューを作るってなった時に配信するか迷った。


 コメントを頻繁にしてくれる人達の半数は今我が家にいる。


 さすがにあまり見ないだろうと振り返ると、みんなテーブルに座ってスマホの準備をしていた。


 どうやら配信をして欲しいのだろう。


「今戻りました」


 どうやら聖奈も帰ってきたようだ。


「おかえりなさい」


 ドリと共に玄関に迎えに行くと、聖奈はスマホを触っていた。


「あれ、まだ配信していないんですか?」


「えっ? 何で配信するか迷ってるのを知ってるんですか?」


「それは私がドリちゃんのことが好きだからです」


 なぜ聖奈が配信が始まることを知っているのだろうか。


 ひょっとしたら俺の知らないところで、情報が出回っているのかもしれない。


 その辺は春樹に聞いたら情報を知っていそうだ。


 俺は台所に戻ると配信準備を始める。


「今日はシチューを作る予定です」


「ちちゅー」


「ドリちゃん、シチューだよ?」


「ちちゅー!」


 ドリはシチューと言いにくいようだ。


 ドリと百合は二人でシチューと言い合っているところを撮影する。


==================


幼女を見守る人 最近

幼女二人にチューされているみたいだ。

▶︎返信する



名無しの凡人 最近

おや、これは追放か?

▶︎返信する


未婚の母 最近

あなたは少し黙っておいた方が良いわよ。

オホモダチもね?

▶︎返信する


オホモダチ 最近

いやーん♡

あたしはすぐ出ちゃうの!

▶︎返信する


==================


「やっぱりあなた反省して――」


「反省してるわよ。あたし静かにできない人種なのよ」


 ドリと百合を撮っているだけなのに、テーブルにいる探索者達が盛り上がっている。


 そんな探索者達を祖父母も温かい目で見守っていた。


「今日ってクリームシチューを作るのか?」


「いや、冷製シチューを作る予定だ。ポタージュに近いかな?」


「ぽたーじゅ!」


「おおお、ポタージュは言いやすいのか!」


 最近のドリの成長具合に俺も驚くばかりだ。

 たまに百合と話す練習をしているのを見かけるが、効果が出てきたのだろうか。


「じゃがいもとにんじんをもらってもいいかな?」


「ポテト!」


『ガウ!』


 ポテトを呼ぶと玄関からすぐに駆けつけてきた。

 もうそろそろチップスも出産が近づいてきたため、犬小屋も準備しないといけない。


「じゃがいも、にんじんを倉庫から持ってきて欲しい」


 それを伝えると敬礼して、二足歩行で走っていく。

 本当に犬のように従順な姿にポテトらしさを感じる。


「あいつって本当に犬なのか?」


「見た目からして犬だろ?」


「ああ、そうか」


 ポテトチップスはミツメウルフではなく完全に犬だ。


 俺はポテトが持ってきたじゃがいもとにんじんを食べやすいサイズに切る。


 その間に春樹は玉ねぎを取り出して、細かく切った後にじゃがいも半分と一緒に炒めていく。


 玉ねぎが飴色になったら、水を具材が浸かるまで入れてコンソメと一緒に煮る。


「そういえば、百合ちゃんって食べられないものある?」


 ドリは出会った当初は野菜しか食べなかったが、少しずつ肉や魚も食べられるようになった。


 それでも野菜が一番好きなのは変わらない。


「んー、百合って何でも食べるけどピーマン、セロリ、椎茸あたりが苦手だったかな」


 春樹はしっかり百合の苦手な食べ物を把握しているのだろう。


 百合の顔を見ると、驚きながらも嬉しそうにしていた。


 親が子どものことを知っていると、嬉しくなるのは誰でも同じのようだ。


「ミキサー持ってきた?」


「うん!」


 ミキサーの担当はドリと百合だ。


 二人で形が無くなるまで確認してもらいながら、ミキサーをかけていく。


 じゃがいもが柔らかくなったら粗熱を取ってミキサーで細かくする。

 

 その間に他の鍋でじゃがいもとにんじんをコンソメを入れて煮る。


 こっちの鍋では具材となる野菜を用意していく。


「じゃあ、それを温めるからここに入れてね」


 具材の鍋に移し入れてから、ソーセージを入れて温めていく。


「あちゅあちゅちちゅー?」


「んー、ヒヤヒヤちちゅーになるかな?」


「ひゃひゃちちゅー!」


「ヒヤヒヤシチューだよ」


 ポタージュは言えたが、長い言葉になると言いにくいのだろうか。


 百合と一緒にヒヤヒヤシチューを言い合っている。


 ちなみにスマホは百合に渡しているため、お互いに画面越しにシチューの連呼だ。


 視聴者にしたら"チューチュー"言っているため、嬉しいのだろう。


 特に聖奈に関しては悶えながらスクショしていた。


 目の前で写真を撮らないのは、視聴者としてのこだわりだろう。


「あとはルーと牛乳を入れて出来上がりだな」


 塩コショウで味付けをしながら、ルーが溶けたら再び冷蔵庫に入れて冷やしたら完成だ。


「じゃあ、配信を終わろうか」


 百合からスマホを受け取ると、俺の顔が見えないぐらいコメントが溢れていた。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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