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74.配信者、小嶋養鶏場に向かう

「よし、準備はできたか?」


 振り返るとみんな頷いていた。その中でも一番大きく頷いていたのは聖奈だった。


「たくさん食べるぞー!」


「おー!」


 荷物をたくさん抱えて俺達は車に向かう。バーベキューって久しぶりにやるから、俺も聞いた時はすごく楽しみにしていた。


 小さい頃は頻繁にバーベキューをやっていた。小嶋養鶏場から少し歩けば川もあるし、遊ぶにはもってこいの場所だ。


「パパ、ちゅりちゅる?」


「んー、釣りはまた今度やろうか」


 家にあった釣竿を車に詰めようとしていたドリはトボトボと置きに行く。


「飯盒炊爨はしますか?」


「いやー、ご飯は春樹の家で準備しているらしいですよ」


「そうですか……」


 聖奈も自分が持ってきているリュックを家に置きに行った。


 聖奈はバーベキューを初めてするため、いつか呼ばれた時のために道具はとにかく揃えていたらしい。


 こっちに引っ越してきてから、宅配便が多かったのはそのせいだろう。


 大きなリュック一つに飯盒炊爨で使う道具が入っていた。今から登山に行くのかと思うほどの大きさで、見た時はびっくりした。


「おーい、早くしないと置いていくぞ!」


 二人の後ろ姿を見ると可哀想に見えてくるが、釣りや飯盒炊爨は別の日に誘ってあげよう。


 まだまだ夏は終わっていないため、時間はいくらでもある。


 置いていかれると思った二人は急いで戻ってきた。


 たまに鬼ごっこをしている時も、あんな顔をして走っているのだろうか。


 まさに鬼の形相……いや、鬼そのものだった。


「パパ!」

「パパさん!」


 二人は車の後部座席に飛び乗るように乗ってきた。最近ギルドに野菜を売るようになってから、車を買い替えたため車の中も広々としている。


「そんなに急がなくても置いていかないぞ?」


「絶対今のは置いていこうとしていました!」

「パパ、メッ!」


「すみません」


 あまりにも怖い顔で睨んでくるからすぐに謝った。この二人を敵に回したら、きっと俺は生きていけない気がした。


 俺は車を走らせて小嶋養鶏場に向かう。





 小嶋養鶏場に着くとすでに準備はできており、あとは人が来るだけの状態になっていた。


「野菜はうちのやつでよかったんだよな?」


「ああ、助かるよ。途中でドリちゃんの面倒を見るの代わってすまなかったな」


「俺の方こそ遅くなってすまない。まさかクリニックに行ったら、今日バーベキューをやるって聞いたからさ」


「あれ? 朝言ってなかったか?」


 朝は寝ぼけていて聞き逃したのかもしれない。女性陣が朝からワイワイしていたのもあり、耳に届かなかった可能性もある。


 それだけ我が家が以前と比べて賑やかになったのだ。


「お肉の準備をしましたわ」


 田舎には似合わない真っ赤なスポーツカーから貴婦人が降りてきた。車から大量の肉を運びだし、テーブルに置いていく。


「神戸牛、松坂牛、近江牛、但馬牛……どれも高級なお肉ばかりですね」


「皆さんの好みがわからないから全て買ってきたわ」


 やはり貴婦人は金銭感覚がおかしいのだろう。テーブルに置かれるお肉はどれもA5ランクだ。


 それに和牛毎の産地でズラッと並べられた光景は、どこかのイベントに参加しているような気持ちになる。


「貴婦人さんありがとうございます」


「気にしなくていいのよ。私とあなたの仲じゃないの」


 いつのまにか貴婦人と桜は俺達が思っているよりも仲良くなっているようだ。女性って男性より集まるのが好きなのも影響して、距離感が近づいたのだろう。


 そろそろ俺も一緒に住んでいる凡人と侍とは距離を縮めた方が良さそうだ。


 家にいてもたまに話すが、そこまで一緒にいることもない。そもそもあの二人の名前も知らず、いつも凡人と侍って呼んでいる。


 凡人に関してはただの悪口だ。


「あらー、あたし達が一番最後だったみたいね」


 遅れて釜田クリニックの先生と凡人達がやってきた。相変わらずピンクのタンクトップと黄色の短パンが目に入る。


 先生も引っ越し祝いに袋に入ったものを春樹に渡していた。俺とドリは中身が気になり春樹に近づく。


「中に何が入ってたんだ?」


「あー、これは言えないやつだわ」


 春樹は中を少し確認すると、すぐに見えないように隠していた。あの反応は子どもにあまり見せられないものが入っていたのだろう。


「あたしが用意したんだからちゃんと使いなさいよ。あーん、みんな久しぶりー!」


 そう言って先生は貴婦人達の元へ走って行った。先生は探索者達と交友関係が広いのだろう。


 手錠や鞭がクリニックにあったことを考えると、きっとあの中は夜の運動会を楽しむものに違いない。


 さすがにドリと百合がいるところでは、見せられない。


「これで全員揃ったのか?」


「私達が誘ったのはこれぐらいですね」


 どうやら俺達の家族、小嶋養鶏場の家族、探索者達がバーベキューの参加者らしい。


 みんなが揃ったところで早速取り掛かることにした。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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