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48.配信者、自宅を片付ける

 あまりの衝撃に俺の頭は回らなかった。やっぱりイケメンで性格の良いやつとの差は大人になっても縮まることはないようだ。


 これが世の中の現実だろう。


「俺にはドリがいるからいいもん」


「パパといっちょ!」


 ドリは理解しているのかわからないが、俺にはドリがいるから問題ない。むしろドリのために、俺の人生があるぐらいだ。


 何で抱きつかれているのかわかっていなくても、俺の頭を優しくポンポンとしてくれるドリに俺は魅了されていた。


 朝食を食べ終わると、昨日のように探索者が集まってきた。


「今日は家を片付けるんだろ?」


「拙者達も手伝うでござる」


 家に来たのは昨日見た視聴者でもある探索者だった。


「私が昨日配信中に話しちゃったのよ」


 どうやら貴婦人が俺の様子を見に来た時に話したのが、視聴者に聞こえてしまったらしい。それで男手が必要かと思い、手伝いに来てくれたらしい。


 勝手に凡人をヤクザと呼んでいたことを申し訳なかったと心の中で謝る。


 ござる侍に関しては、特になにもないからな。むしろ隣にいる人の印象が強くて、印象が薄い。


 頑張って侍になりきっているが、とにかく印象が薄い。


 大事なことだから二度と伝えておこう。


 それだけ凡人ヤクザが目に入るのだ。


「せっかくなら手伝ってもらったらいいんじゃないか? じいちゃん、ばあちゃんは流石にできないだろうし」


「なんかお前に言われるとムカつく」


 春樹の言いたいことは間違ってはいない。ただ単に俺がムカつくだけだ。


 その度にドリがチラチラと見てくるから、相変わらず仲の良いアピールをしないといけない。


「まぁ、俺達は必要ないだろうけどな。ここにSランク探索者が二人もいるからな」


「ははは、何言っているのよ? 私達はか弱い女性よ? ねぇ、聖奈さん?」


「そそそ、そうですよ!」


 どちらにせよあまり客人には手伝わせるわけにはいかないだろう。せっかくなら、ドリがたくさんの人と仲良くなった方が良い。


 聖奈と貴婦人が来るまでは、俺達としか関わることがなかったからな。


 小さい時に大人に遊んでもらった記憶は、大人になっても残っている。小嶋養鶏場のおじさんのように……。


「あっ、それならドリと遊んで――」


「俺がやります!」

「拙者が引き受けます!」

「私の出番ですわね!」

「ここは私が!」


 全員が手を上げていた。そんなにドリが人気なんだろうか。


乙女(オネエ)達がパパさんと遊ぶ――」


「それは遠慮しておきます」


 ひっそりと後ろに隠れていたショッキングピンクのタンクトップに黄色の短パンの男が何か言っていた。


 俺は聞いていないことにした。あれは絶対に関わってはいけないやつだろう。


 その頃、聖奈達はじゃんけんでドリと遊ぶ順番を決めていた。


 なぜかそこにドリが混ざり、何のためのじゃんけんかわからないが、ドリが楽しいのなら問題ない。


 俺達は早速掃除に取り掛かった。





「じいちゃん、これどうする?」


「ああ、それは捨てても構わないぞ」


 俺は祖父母と掃除を始めた。物を整理したらあとは貴婦人に任せている。


 なんと貴婦人の毒魔法で汚れだけを溶かすことができるらしい。この魔法が使えたら、世間の主婦は家事が楽になるだろう。


 ただ、恥ずかしいから部屋を覗かないでと言っていた。


 リアル鶴の恩返しとはこういうことだろう。


 貴腐人の恩返しだ。


 部屋の中は基本的に昔の思い出の物や捨てられなかった物ばかり集まっている。


 その中には両親の物も残っていた。


 ただ、意外にも両親の荷物は少なく、俺の幼い時の写真ばかりだ。


「んっ……これってドリ?」


 ふと目に入った写真を見て俺は驚いた。そこにはきっといないであろうドリの姿が映っていた。


「これは昔の紀香だね。やっぱりドリちゃんと似ているわよね」


 俺も見間違えるほど、ドリは母親の幼少期の姿に似ていた。


 ただ、髪の毛は黒いし瞳が茶色のため、姉妹だと言われたら納得するレベルだろう。


「そんな昔のことを懐かしんでないで、しっかり掃除するんだぞ!」


 そんな俺達を見て祖父は怒っていた。


「ちょ、じいちゃん俺が運ぶよ!」


 大きな荷物を運んでいる祖父の代わりに運ぼうとすると、さらに祖父は怒っていた。


 以前は痩せてヨボヨボだった体も、気づけばいつのまにか逞しくなっている。


 俺も以前は社畜生活でご飯も食べることが少なかったが、今は体重も増え、畑作業をすることで筋肉質になってきた気がする。


 無理に代わると怒られるため、祖父にそのまま荷物運びをお願いした。


「私達も掃除を終わらせるわよ」


「うん」


 立ち上がった祖母の姿を見ると、どこか祖母も以前のような背中の円背がなくなっている気がした。


「じいちゃんとばあちゃんって最近体の変化を感じない?」


「んー、介護疲れがなくなったから元気になったかな?」


「ワシは特に変わらないぞ?」


 特に二人とも変化には気づいていないようだ。俺の勘違いなんだろうか。


 俺達は引き続き作業に戻ることにした。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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