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37.配信者、ダンジョン周囲の問題点に直面する

 次の日には国防省を通じて、最高難易度のダンジョンが日本に一つ増えたことが報告された。


 今までは有名な観光地にダンジョンがあったが、今回はただの田舎に注目が集まった。


「これがダンジョン効果なのか……」


 玄関を開けると周囲には探索者達がたくさん集まっていた。明らかに今まで見たこともない人の多さに俺達は戸惑いを隠せない。


「今日は祭りがあるのか?」


「いやいや、こんな鎧ばかり着た人の祭りって怖いよ」


 イーナカギルドで見たことある人もいれば、他の知らない人達もたくさんいる。


 靴に履き替えてダンジョンがある方に向かっていくと、たくさんテントが張られていた。


 まだ、寝泊まりする場所もないため、テントで生活するのだろう。


「あっ、直樹さんおはようございます!」


 テントが建てられている場所の一角に一際大きなテントがあった。そこには探索者ギルドで働く職員の女性がいた。


「すごい賑わっていますね」


「まだ手をつけていない最高難易度のダンジョンだと、新しいドロップ品が出てくるかもしれないですからね」


 探索者達がテントを張っていたところは、すでに探索者ギルドが土地を購入したと聞いていたところだ。あのギルドマスターはすぐにこうなることを予測していたのだろう。


 勝手に私有地にテントなんか張ったら問題になってしまう。


 新しくできたダンジョンにたくさん人が集まるのは当たり前だが、その中でも最高難易度になると探索者であれば一度は訪れるらしい。


 未開拓のダンジョンに未発見のドロップ品。それだけでも探索者の心はくすぐられるらしい。


 探索者になった俺はできれば、早くダンジョンが無くなって欲しいと思ってしまう。


「あら、パパさんおはようございます」


 声をかけてきたのは、直売所で野菜を買ってくれた綺麗な女性だ。


「お姉さんも探索者だったんですね」


「ええ、初めてお野菜をもらった時もギルドだったでしょ?」


 言われてみたら確かにそうだった。直売所に来てくれた時も、野菜が美味しかったからまた買いに来たと言っていたのは記憶にある。


「そういえば、またお野菜を売ってくれないかしら? 良かったらダンジョンに持って行こうかと思ってね」


「野菜ですか? それならお弁当とか作りましょうか?」


 せっかくならお弁当を持って行った方が良いだろう。


 最近は少しずつ作る野菜を増やして、にんじんやキャベツ、じゃがいもなど種類豊富で倉庫にもたくさん野菜が置いてある。


 早く探索者ギルドに売りたいが、あれから話は進んでいない。


 すぐには腐らないとは知っていても、なるべく食べた方が良いし、売れる物なら早く売りたい。


「お金ならいくらでも払うわ。とりあえず100万でいいかしら?」


 帯付きの札束を鞄から取り出した時はびっくりした。そのまま10食分注文してきたのだ。


 単純計算で一つ10万円もするお弁当が作れる気がしない。


「いや、流石にそんなにもらえないです」


「いいのよ! お金はたくさん持っているから、今後の費用に使いなさい」


 そう言って女性はダンジョンの中に入って行った。そのかっこいい姿に俺は目が釘付けになっていた。


「あの人は貴婦人と呼ばれているSランク探索者で毒の魔法使いなんです」


 あの人の毒はきっと綺麗な花のような毒を扱う人なんだろう。あの可憐さに虫達が寄っていくように、他の人達もダンジョンに入って行った。


「流石に早く仮設の建物を作らないといけないですね」


「ちゃんと休めないとダンジョン探索にも影響しますからね」


 まずは小さな宿屋でも良いから場所を提供できるところを作らないといけない。


 俺はすぐに家に帰って祖父母達と相談することにした。





「ただいま!」


「ご飯できているわよ」


 家に帰ると先にみんなでご飯を食べていた。聖奈も慣れて来たのか一緒に食べていても違和感なく感じる。


 今日はダンジョン探索に行かなくてもよかったのだろうか。


「あっ、部屋って結構余っているよね?」


「ああ、直樹と私達。それに聖奈さんの部屋以外にあと五部屋はあるよ」


 さすが田舎の一軒家。無駄に土地ばかりあるから家が大きいのも特徴的だ。


 昔は収穫時期に泊まり込みのアルバイトが来ていたぐらいだから、その時の部屋がたくさん余っている。


「余っている部屋を民泊として貸し出すのはどうかな?」


「民泊?」


 俺はダンジョンの前にテントがたくさん建てられている状況を伝えた。


 このまま人が増え続けたら、建物ができる前に家の前はテントだらけになってしまうだろう。


 それに飲食店もないため、食事やトイレの問題も出てくる。


「ふふふ、なんか昔思い出して楽しくなってくるわ」


「ワシも現役の頃のように働けるのは嬉しいぞ」


 どうやら祖父母はやる気満々のようだ。俺達はしばらくの間、民泊を始める方向性で準備を始めることにした。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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