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34.配信者、市長に会う

 今日は聖奈とドリを乗せて、車で探索者ギルドに向かう。近場にないのが不便だが、きっと探索者ギルドに行くのも今日ぐらいだろう。


 車を走らせて一時間半で探索者ギルドに着いた。途中、小嶋養鶏場をチラッと見たが、やはりおじさんは忙しそうにしていた。


 俺達が探索者ギルドに着くと、周囲の視線が一気に集まって来た。ただ、俺達ではなく後ろにいる聖奈に向いている。


 普通に家で過ごしているが、彼女は探索者の中でもトップレベルの女性だ。


「あっ、直樹さん!」


 声をかけられて手を振ると、俺の前を遮るように聖奈が歩いていく。


「お客様を名前で呼ぶのは職員としてダメですよ。それとギルドマスターはいるかな?」


 どこか聖奈が怒っている気もするが、遠くにいて何を話しているのか聞こえない。


「ギルドマスター!」


 ちょうど良いタイミングで、入り口からギルドマスターとスーツを着た男性がゾロゾロと入って来た。その中にこの市の市長がいた。


「事前に天守から話は聞いて、この市の市長を呼んできたぞ」


 そんな簡単に市長を呼んでも良いのだろうか。この市長もフットワークが軽すぎて驚きだ。


 目の前にいる人付き合いの良さそうな人達と俺は仲良くできそうにない。


「この子がドリちゃんですか?」


 市長は屈んでドリに挨拶をしていた。しっかりと挨拶をするドリに鼻の下が伸びていた。きっとまたファンを増やしたようだ。


 俺達はギルドマスターに案内されて、別の部屋に行くことになった。そんなに大事な話をするのだろうか。


 聖奈から事前に話を聞いているなら、特に俺からも話すことはない。


 俺の隣に聖奈が座り、反対側にはギルドマスターと市長が座っている。


 ちなみにドリは俺の膝の上だ。


 相手の方を向かず、俺に抱きつく形で座っている。


「今回市長に来てもらったのはあるお願いあったからです」


「えーっと、森田さんでしたよね。単刀直入に言うぞ。これからダンジョン管理をする気はないか?」


 市長の言葉に俺は首を傾げる。ダンジョン管理というのは、あの最高難易度のダンジョンを管理をするってことだろうか。


 戦う力がない俺に管理できるはずがない。


「流石にそれは――」


「ああ、管理するのは私達のように国に所属する者達だ。君にやってもらいたいのは、正確に言えばダンジョン周囲の管理だね」


「ダンジョン周囲の管理ですか?」


 ダンジョン周囲の管理と言われても、特に何をすれば良いのかわからない。そもそもダンジョンや探索者と関わったのは、実家に戻って来てからだ。


「今後この市……いや、君の住む町はダンジョンで有名になると思います」


「えっ?」


「イーナカ探索者ギルドとは違うギルドを作ることが決まりました」


 ギルドマスターから紙を受け取ると、そこには"ダンジョン発展計画"と書いてあった。


「ダンジョンやギルドがあるところには探索者が多く集まります。しかも、最高難易度と言えばそれだけ探索者以外にメディアや様々な商業が食いついてきます」


 ここまで聞いてなんとなくダンジョン周囲の管理が、何を指しているのかわかった。


「つまりダンジョン周囲にできる様々な商業施設をまとめろってことですか?」


「その通り!」


 市長は嬉しそうに笑っていた。確かにこのイーナカ探索者ギルドも違う市にできている。ダンジョンも同じ県に1つか2つあれば良い方だが、ここには下位から中位程度のダンジョンしかなかった。


 そこに最高難易度のダンジョンができたとなれば、県や市を活性化させることになる。


 だから市長はずっとニヤニヤしていたのだろう。


「それで管理はおまかせしてよろしいですか?」


「いやー、俺には――」


「そこをなんとか! PR活動に"畑の日記"の動画配信が人を呼び込むきっかけになるんです」


 この人達は俺達を客寄せパンダとして使いたいのだろう。


 ドリを見せ物にするならお断りするつもりだ。


「ここに探索者が増えれば、町の安全は約束されるんです」


「へっ?」


 まさかのギルドマスターからの提案に俺は戸惑う。聖奈のような高ランクの探索者が増えることで、スタンピードを防ぐことができる。


 それだけでドリや祖父母を守れるなら、この仕事を引き受けた方が良いのだろう。


 それに祖父母にとっても、良い刺激になるかもしれない。


「わかりました。引き受けます」


 俺の言葉にギルドマスターと市長は抱きついて喜んでいた。


 その様子を見て引き受けなければ良かったと思ってしまう。


 それだけ俺が引き受けないと思ったのだろうか。


「まずは最高難易度のダンジョンができたと、国に報告して企業を募ります。その中で良さそうなのを選んでもらっても良いですか? 全ての資金援助や宣伝活動はこちらでさせてもらいます」


 どうやら特に俺はやることがないようだ。簡単にいえば隣に住む人があなた達家族しかいないため、近隣の問題などもあるから相談役になってくれってことだ。


 普段と変わらない生活ができるのであれば特に問題はない。


 ダンジョン周囲の土地って国が持っているか、俺達の祖父母が昔から管理しているか、小嶋養鶏場が持っていると聞いていた。


 一度小嶋養鶏場に行って話をした方が良いだろう。


 俺は探索者ギルドを後にして、小嶋養鶏場に行くことにした。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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