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33.配信者、今日も一日お疲れ様でした

 俺は作業を終えみんなで帰ることにした。途中からダンジョンが最高難易度って話を聞いてから、頭の中は困惑している。


 あの時ドリが止めてくれなければ、今この世に俺はいなかったかもしれない。


 それにそんなダンジョンから逃げて来たドリはやはり強いのだろう。


 こんな可愛い見た目で強いとか、正に魔物界の最強だ。


「あっ、お弁当美味しかったです」


 歩いていると聖奈が声をかけて来た。急いで作ったが、美味しいと言ってもらえてよかった。


 しっかり食べてないと、空腹でダンジョン探索も身が入らないだろう。


「お粗末様でした。また明日も必要ですか?」


「明日は探索者ギルドに相談に行ってきます」


「なら俺達も一緒に行くよ。今後のことも決めないといけないからね」


「今後のこと――」


 聖奈はどこか顔を赤く染めていた。そんな彼女をドリは心配するように覗き込んでいる。


 本当に今後のことを決めないといけない。最高難易度のダンジョンがあるのに、この周辺は同じ生産者の家しかない。


 一番近くて養鶏場を営んでいる小嶋のおじさんぐらいだ。


 そういえば、最近顔を見ていないのは繁忙期に入っているのだろうか。


 養鶏場って"オールイン・オールアウト"方式でやっていることが多い。


 役目を終えた採卵鶏は出荷される。


 鶏を一斉に出荷して鶏舎の清掃と消毒をして、一定期間空けてから新しい雛を迎え入れることで、衛生的な環境を保っている。


 また、今度たくさんできた野菜を持っていくのも良いだろう。


「ばあちゃんただいま!」


「おかえり!」


 家に着くと家の中は夕飯の良い香りでいっぱいになっていた。


 ドリもお腹が減ったのか、すぐに椅子に座って夕飯が出てくるのを待っていた。


「ドリちゃん先にお風呂に入って来なさい。聖奈さんも一緒に入っておいで!」


「なら、直樹は俺と風呂だな」


 まさかこの歳になって祖父とお風呂に入るとは思わなかった。


 実家に帰ってきた時は脱衣所から、ちゃんとお風呂に入れているか見守っていたが、いつの間にかそんなことをしなくて済むようになった。


「ドリをお願いしますね」


「ははははい! 推しとお風呂なんて……」


 聖女はどこかあたふたとしていたが、ドリに引っ張られてお風呂に向かって行く。彼女が来てからドリも楽しいのだろう。


 そんな楽しい日常が少しでも長く続けば良いだろう。





「明日は探索者ギルドに行くんだったな」


「そうそう。だから明日は畑作業はお休みかな」


「それならワシがやっておくぞ?」


 あれから少しずつ祖父の認知症が良くなって来たのか、一人でも畑の作業をするようになった。


 ドリが来てから刺激が増えた影響なのか、それとも魔力が含まれた野菜が影響しているのかはわからない。


 ただ、前みたいにふらふらと母親を探すことも少ない。


 この間、俺達がドリを探しに行った時は母より俺とドリを探していたと祖母が言っていた。


 少しずつ良い影響を与えているのであれば安心だ。


「そういえばダンジョンが最高難易度だったらしいな」


「そう。俺達引っ越した方が良いのかな?」


「んー、ワシは何があってもずっとここにいるぞ」


「そうか」


 きっとどこかで探索者である娘が帰ってくると思っているのだろうか。


 両親は亡くなったと聞いているが、実際には亡骸は帰って来ていない。


 ダンジョンに吸収された可能性もあるが、両親の遺品すら届いていないのが現状だ。 


 みんなが諦めても、家族である俺達が生きているかもしれないと淡い気持ちを抱いて、ゆっくりと一緒に待つのも良いだろう。


 俺達は体を洗い終えると風呂から出た。


「パパ!」


 扉の前でドリがパジャマを着て待機していた。まだ乾かせてないのか、ドリの髪もまだ濡れている。


「今日も拭いてくれるのか?」


「うん!」


 パンツを履くと、床に座って頭を突き出す。


「ゴシゴシ!」


 最近ドリは俺の髪の毛をタオルで拭くのにハマっているようだ。ゴシゴシと口ずさみながらタオルで乾かしていくが、正直ガシガシと力が強いから痛い。


 だが、本人は満足そうにやっているから言ったら可哀想だと思い、言わずにそのままだ。


「ドリ、ワシの髪の毛も――」


「じいじない!」


「くっ」


 髪の毛が少ない祖父はドリに拒否されていた。少し可哀想に思うが、これは俺だけの特権だ。


「じゃあ、今度はドリの番だね」


 ドライヤーを取り出してドリの髪の毛を乾かしていく。花の髪飾りは取ることができないため、隙間も綺麗に温風を当てる。


 深緑でサラサラした髪は今日も手櫛で十分なようだ。


「よし、ご飯を食べようか!」


「マンマ!」


 着替え終わった俺達は夕食を食べることにした。


「お嬢さんそんなところでどうしたんだ?」


「いえ、推しの日常を見て気絶しそうになっていました」


「ははは、君も変わった子だのう」


 どこにいたのかわからないが、後から聖奈と祖父もやって来た。


「今日もお疲れ様でした」


 祖母の声で俺達は手を合わせていく。


「いただきます!」


 今日も一日お疲れ様でした。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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