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24.視聴者、生配信の異常に気づく ※視聴者視点

 私はある人の生配信をみて戸惑っていた。その人は配信終了を押さずにそのまま寝てしまったのだ。


 コメント欄にもそれを知らせるように、たくさんのコメントが書き込まれる。


 だが、当の本人はお酒を飲んでぐっすり眠っている。


 それだけ疲れたのだろう。


 みんなで相談した結果、そのまま配信チャンネルから退出することが決まった。


 一部の配信者ファンはそのまま寝顔を見ていたいと言っていたが、彼にもプライベートはある。


 そこは視聴者である私達が分別をつける必要がある。


「んっ、何か音がする」


 画面に近づいて音を確認すると、人の足音が聞こえてきた。きっと起こさないように、彼の両親がゆっくりと歩いているのだろう。


==================


名無しの凡人 最近

おい、誰かもう一人いないか?

▶︎返信する


貴腐人様 最近

ひょっとしてパパさんのサンド……いや、ここからは言わないわ。貴腐人の嗜みは見守ることよ。

▶︎返信する


犬も歩けば電信柱に当たる 最近

パパさん、起きて!

これは不法侵入じゃないか?

▶︎返信する


==================


 コメント欄を見ると、同じように気づいた人が数人いた。一番喜んでいたのは貴腐人だったが、恋人であればこそこそと入ってこないだろう。


 その中で怖いコメントをみつけた。


 それはこの足音が不法侵入ではないかというまさかのコメントだ。さすがに生配信している時と泥棒が入ってくるタイミングが重なることはないだろう。


 ただ、みんな不安に思ったのか、必死に起こそうとコメントを残すが配信者は起きる気配はない。


 私も可能な範囲で動画を録画して、なるべく情報を残しておく。


==================


パパを見守る人 最近

動画の解析ができました!

▶︎返信する


畑の日記大好きさん 最近

この人、野菜を買いに来ていましたよ!

声もこの間の生配信の時と似ていませんか?

▶︎返信する


==================


 動画の解析で誰か特定された。画面に映し出された姿は私達の見慣れた人物だ。


「探索者ギルドで働いている男性だよね?」


 彼は探索者ギルドでも真面目に働いている印象を持っている。そんな彼が不法侵入をするとは思いもしなかった。


 数回しか見たことはないが、好印象だったのを覚えている。


 まさかそんな彼がこの間の生配信で声だけ聞こえた人だとは、誰も思わなかっただろう。


 そのまま動画を見ていると、男達が何かを抱えているように見えた。


 布に包まれているが、モゾモゾと動く様子が画面に映し出されていた。


 嫌な予感がする。探索者として成功した私の勘は他の人よりも優れていると思っている。


 もし間違っていればそれで構わないだろう。


 私は急いでコメントを打ち込む。


==================


鉄壁の聖女 最近

あの布の中ってドリちゃんじゃないかな?

気づいている人もいると思うけど、私は今からギルドに情報をもらってくるわ。

▶︎返信する


パパを見守る人 最近

こっちはそのまま解析を続ける。

▶︎返信する


ハタケノカカシ 最近

監視カメラはないのか?

▶︎返信する


貴腐人様 最近

そこはお金で解決するわ。

契約している衛星カメラから動画を撮影させる。

▶︎返信する


犬も歩けば電信柱に当たる 最近

貴腐人って貴婦人でもあり、めちゃくちゃの金持ちじゃないか!

▶︎返信する


畑の日記大好きさん 最近

何かあれば適宜連絡をください。

パパさん達の個人情報もあるので、連絡が取れるように別のサイトで、情報共有しましょう。

パスワードは私のパッケージになったおまじないです。

▶︎返信する


==================


 私はすぐにイーナカ探索者ギルドに向かった。その間も畑の日記大好きさんからの情報は集まってきている。





「すみません!」


 探索者ギルドの扉を開けると、誰もいないのか静かだ。夜にギルドに来る人はいないが、何かがあった時のために、誰か一人は職員がいることになっている。


「あっ、こんな時間にどうされましたか?」


「ドリアードを連れた人の住所を早く教えてください」


「森田様ですか? 個人情報なのでいくらSランク探索者でも教えることができません」


 確かにそれは間違いではない。ただ、今はそんなことを言っている場合ではない。


「ドリアードが誘拐されたんだ!」


「えっ……」


「しかも、その犯人がこのギルド職員だ」


 さっきの配信の動画を見せると職員も戸惑っていた。彼女はすぐにどこかへ連絡している。


 もし、ここでダメだと言われたら彼女を脅してでも聞かなければいけない。


「ギルドマスター今いいですか?」


 私がギルドに突然来たことを説明し、自宅の情報を開示していいのか確認していた。


「責任はギルドマスターが取ることになったので、問題ありません。あと、私も連れてってください」 


「へっ!?」


「ここは別の者が対応することになったので大丈夫です。我々ギルドの職員が勝手に情報を持ち出したことで、今回の事件が起きた可能性があります」


 どうやって配信者の家を見つけたのか疑問だったが、ギルド職員なら個人情報を探すのは簡単だっただろう。


 私は彼女を連れて急いで配信者である彼らの元へ向かった。

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