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【漫画①8/15発売】畑で迷子の幼女を保護したらドリアードだった。〜野菜づくりと動画配信でスローライフを目指します〜  作者: k-ing☆書籍発売中
第四章 配信者の恋物語

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154.配信者、お父さんを褒める

「んー、どうやってつけようか」


 カラアゲにガーランドをつけてもらおう作戦が失敗に終わり、次の方法を考えていた。


「パパ!」


 ドリは再び何かを思いついたのか、遠くからびよーんとしたものを引っ張ってきた。


「きたひメッ!」

『ニョーン』


 気が抜けたような鳴き声を発しながら、きたひめはドリになすがままにされている。


 あいついつもぼーっとしているからな。


 たまに目もつぶっていると、起きているのかわからなくなる。


「にゃがい……」


 後ろ足を全く動かさず、きたひめはその場に座っている。


 ただ、体だけずーっと伸びている。


 どこまであの体は伸びるのだろうか。


 次第にドリも疲れたのか、手を放すと音を立てながら一瞬にして戻っていく。


 ――パチン!


 まるでゴムのような体をしている。


 とろけたように伸びたり、ゴムのように戻ったりと不思議な犬だ。


 ドリは再びきたひめのところに戻ると、今度は体全体を抱えて運んできた。


「きたひめにやってもらうのか?」


「うん!」


 ドリは体が伸びるきたひめを使うつもりなんだろう。


 何もせずに否定するのも可哀想だと思い、ドリがどうするのか様子を見ることにした。


「きたひメッ! みょーんわかりゅ?」


『ニョン?』


「ううん。みょーん!」


『ニョーン!』


 あれで会話が成立するのだろうか。


 きたひめにガーランドを持たせると、体が少しずつ伸びていく。


 だが、きたひめもまっすぐ伸びるわけではない。


「くくく、重力で噴水みたいになっているな」


 空に向かって伸びようとしていても、途中から重力によって曲がって落ちてしまう。


 それだけ体を起こすのに力が必要なんだろう。


「帰ってきたぞー!」

『タダイモ!』


 畑に行っていた祖父とポテトが帰ってきたようだ。


 家の中に誰もいないことに気づき、ベランダにやってきた。


「あれは何をしているんだ?」


「飾りつけしようと思ったけど届かなくてね」


「ありゃー、わしでも無理だな」


 祖父はきたひめの持っているガーランドに気づいた。


 さすがに脚立を使うのも危ないと思って処理をしたぐらいなのに、祖父にそんなことをやらせるわけがない。


 もし落ちたら骨折を通り越して、寝たきりになる可能性もある。


『ヤレヤレ、タタナイトムリダ』


 ポテトがきたひめの元へ向かい、何かアドバイスをしているようだ。


 祖父もそんなポテトときたひめを温かい目で見守っている。


 まるで子どもと孫を見ているような視線だ。


 ポテトも我が家に来てだいぶ変わった。


 それだけ祖父との関係が深まったのだろう。


 ただの犬だと思ったら立ち上がって、会話もするようになった。


 ポテトチップスが大好物で、俺の尻を噛む犬だったのにな。


 今ではポテトが父親として、息子に教えてあげている。


「パパ、じいじ!」


 何かあったのかドリは手を振って呼んでいる。


「どうした?」


「のびのびしゅる!」


「のびのび?」


 ドリは急にのびのびすると言ってきた。


 ひょっとして、きたひめの応援をしたいのだろうか。


 言われた通りに俺達はその場でおまじないをかけることにした。


「いきゅよー!」


「のびのびー!」

「「のびのびー!」」


 ドリの掛け声で祖父とおまじないを唱える。


 するときたひめの体が少しずつ伸びていく。


『オヤユビ、チカライレル!』

『ニョーン!』


 ポテトの言葉に返事をするきたひめ。


 ただ、返事はどこか力が抜けそうな声をしている。


「ひょっとしてきたひめは立てないのか?」


『イヌ、タテルハズナイ』


 ならポテトはどうやって立っているのだろうか。


 今も立派に二足立ちしているぞ。


 我が家の犬はポテトとチップスが普通に立っているし、同じ兄弟であるメークインは普段から二足立ちで生活している。


 その辺は個体差があるのか?


 それにしてもポテトが自分のことを犬だと思っていることに驚きだな。


 一応ポテトってミツメウルフだもんな。


 あまり額の目が開かないから、俺もすっかり忘れていた。


「もっとしゅるよ!」


 再びドリの掛け声でおまじないをかけると、あと少しのところまで体が伸びてきた。


 ただ、そろそろ限界なのか足がプルプルと震えている。


「あっ……」

『ニョーン……』


 あと少しのところで体が倒れてきた。


 どうやらきたひめにとっては、立ち上がるのは体に負担が強いのだろう。


 それにまだ小さい体に無理をさせるのもいけない気がする。


「今回は諦めようか。きたひめもありがとう」


 ガーランドがなくても、別にパーティーはできるしね。


 頑張ったきたひめに俺達は優しく撫でる。


 きたひめも撫でられて嬉しいのか、体をクネクネとさせていた。


『コンナノカンタンダ』


 ポテトは小さく呟くと、勢いよく跳び上がった。


 すぐに近くにある木の枝や建物にガーランドを引っ掛けていく。


 あまりにも素早い動きに感心するが、できるなら初めからやってもらえばよかったな。


『オイ、ヤッタゾ!』


 ドスドスと戻ってくると、ポテトは俺の体に向かって頭をぶつけてきた。


 あまりにも強いため、若干俺もふらつきそうだ。


 何をすれば良いのかわからず戸惑っていると、祖父は俺の手をポテトの頭の上に置いた。


 きっと自分も褒められたかったのだろう。


「ポテトも頑張ったな」


 俺は優しくポテトの頭を撫でる。


『ガンバッテナイ』


「えっ?」


 突然、手を払い退けるとそのまま俺の背後に回った。


 ひょっとして――。


「痛ったあああああ!」


 さっきまでの態度とは異なり、突然俺のお尻を噛んできた。


 いつもなら甘噛みなのに、今日に限って少し強めだ。


 ただ、それに満足したのかどこかに走って行く。


「嬉しかったんだな」


「尻尾がブンブンしてるもんね」


 走っていく後ろ姿は尻尾を大きく振って喜んでいた。


 お父さんは素直になれないようだ。

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 今後の続刊がここで決まるので、応援よろしくお願いいたします!


 もう一つ……。


 つぎラノのエントリーが始まりました。

 一作品から応募できるので、よければこの作品もよろしくお願いします!


 明日からの三連休、ぜひとも読書の秋、ドリちゃんの秋を楽しんでください。

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畑で迷子の幼女を保護したらドリアードだった。2〜野菜づくりと動画配信でスローライフを目指します〜

カクヨムコン受賞

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