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134.配信者、温床にはふんしょー

「パパー!」

『クゥエエエエ!』

『オイ、オキロ!』


 翌日、俺は珍しく早朝に起こされた。


 ポテトが話しているような気がしたけど、まだ寝ぼけているのだろう。


 それにしてもポテトが起こしに来るのは珍しいな。


「朝からどうした?」


「ふんしょー!」

『ネボスケ!』


 ドリは温床のことを言っているのだろうか。


 さすがに昨日の夜に準備したばかりだけど、できているはずはない。


 ただ、ドリのおまじないは想像以上の効力があるからな。


 ついでにポテトが悪口を言ったように聞こえたから、ほっぺを摘んだら尻を噛まれた。


 やっぱり寝ぼけていたのか、痛みで頭がスッキリした。


 俺は一階に降りて、発泡スチロールが置いてある庭に向かう。


「念の為に動画でも回しておくか」


 生配信というよりは動画で撮影して、後で投稿することにした。


 もちろん編集作業はできたらするつもりだけど……その時の自分がんばれ!


「じゃあ、ドリ開けてくれ!」


「ふんしょー!」


 ドリは発泡スチロールの蓋を開ける。


 俺は温度計を取り出し、温床の中に入れて温度を計る。


「30℃はありそうだな」


 すでに長袖を着ることが増え、気温も20℃以下を下回る日が多くなった。


 そんな時季に一日で温床ができるとは思わなかった。


 秋に作る発酵温床は発酵が進んで温床が使えるまで約一週間近くはかかる。


 それが短縮できただけでも大きいだろう。


「ほら!」


 ドリは胸を張って喜んでいた。


 カラアゲも同じように胸を張って、次第にどっちが胸板が厚いか比べあっている。


『ワン!』


 温床ができたことで、ポテトは急いで黄金のさつまいもを持ってきた。


 すぐにさつまいもを埋めようとするポテトの手を俺は止める。


『グルルルルル!』


 ポテトが怒るのは仕方ないよね。


 ただ、さつまいもを埋める前にやることがある。


「ちゃんと殺菌しておいた方が、病気になりにくいって書いてあったぞ」


『ビョーキ?』


 さつまいもを手に持っているポテトは急にアワアワと慌て出した。


「別にポテトが病気になるわけではないからね」


「ははは、ポテトは慌てん坊だな。じゃがいもと同じでさつまいもも病気になる可能性があるから、一度熱すると良いぞ。普段と植える時季も違うからな」


 普段と違う時季に植えることを考慮すると、病気に対しての予防も必要になるだろう。


「準備ができたわよ」


 祖母は鍋にお湯を沸かして、そこに水を入れていた。


「おふろはいりゅの?」


「ああ、さつまいもをお風呂に入れてキレイキレイしないとな」


 温度的には50℃以下で長い時間殺菌処理をしないといけない。


 沸騰したお湯に同じ量の水を入れると、温度設定しやすいからな。


 それが終わったらやっと芽出しのために、植えることができるだろう。


「パパさん少し良いですか?」


 話をしていると朝の準備を終えた聖奈が話しかけてきた。


「今生配信になってますけど大丈夫ですか?」


「えっ?」


 俺は急いでスマホの画面を覗くと、コメントがたくさん流れていた。


名無しの凡人 最近

またパパやらかしてないか?


孤高の侍 最近

気づいていない可能性が高いでござるな。


ハタケノカカシ 最近

聖女の出番だ!


貴腐人様 最近

早く言いに行きなさい。


鉄壁の聖女 最近

今歯磨きしてるのに……。


「うわああああ、動画編集の練習用にと思って撮っていました」


 どうやら聖奈はコメントに促されて言いに来てくれたようだ。


 俺はまたやらかしてしまったらしい。


パパを見守る人 最近

パパ可愛いね!


オホモダチ 最近

いつでも可愛いわよ!


未婚の母 最近

今日は追放しなくても良いみたいね


畑の日記大好きさん 最近

毎回ヒヤヒヤするわね


オホモダチ 最近

私のことかしら?

もちろんいつでも襲っ――


オシリスキー 最近

追放だー!


裸の奇行師 最近

今すぐに追放しろー!


野火之陽 最近

お前らも服は着ているのか?


オシリスキー 最近

安心しろ。

Tシャツは着ている。


裸の奇行師 最近

俺も靴下だけは履いているぞ!


野火之陽 最近

こいつらも追放だあああああ!


 今日もたくさんの人が畑の日記ちゃんねるから追放されているようだね。


 まだ、七時頃なのに朝から元気のようだ。


「皆さん朝ごはんができたので、手伝ってもらってもいいですか?」


 祖母の声が生配信を通して、家にいる探索者達に聞こえていく。


 すぐにみんな一階に降りて、朝食の準備を始めた。


未婚の母 最近

母の手料理が食べたいわ……。


畑の日記大好きさん 最近

私も実家に帰りたいな。


野火之陽 最近

俺も久しぶりに実家に帰省するか。


 祖母の声を聞いて、家族を懐かしんでいるのだろう。


 いつ会えなくなるかはわかんないからね。


「とりあえず新しいおまじないは温床を作ることができるとわかったので問題ないですね。では、またさつまいもを植える時に撮影できたら配信します」


「パパ!」


 ドリは俺に撮影をして欲しいのか、服を引っ張ってきた。


 スマホをドリに向ける。


「ふんしょー!」


 新しいおまじない〝ふんしょー!〟を視聴者に紹介して生配信を終えた。

書籍情報を一話の前においたけど見てもらえたのかな?


コミカライズも少しずつ準備が進み、ネーム確認をしました。


ある程度公開するまでに話数が必要になるので、もう少しお待ちください!


そして二巻の表紙や口絵も届きましたが……めちゃくちゃよかったです。


追加情報があればまた更新していきますね!


半分以上書き下ろしした一巻は絶賛発売中です!

一度完売していると書店には置いていないため、公式サイトやAmazon等でよろしくお願いいたします!


のびのびー٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

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