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103.配信者、犬の出産にバタバタする

 おやつを食べ終わった俺は畑に向かわず、庭でやっているポテトの小屋作りを見ていた。


「思ったよりも大きいですね」


「ああ、チップスの子どもがどれだけ生まれるかわからないからな」


 犬は人間と違って数匹一気に生まれてくるからな。


 今は基礎工事が終わり、凡人とシャンシャンで木材をカットしていた。


 ノコギリでギコギコやるのかと思ったら、凡人の一振りで一瞬で木材がカットされる。


 本当に探索者は便利な力を持っている。


「直樹! 急いで来て!」


 俺は祖母に呼ばれて急いで玄関に向かうと、そこにはバタバタしているチップスがいた。


『クウオオオオオ⁉︎』


 ポテトもその様子を見てどうすれば良いのかと困惑している。


「そろそろ出産が始まるかもしれない」


 きっと落ち着きがないのは出産間近だからだろう。


「チップス少し移動するからね」


 俺は一旦産箱に連れていくため、チップスを抱えた。


 だが、ポテトが俺の足を持って邪魔をしてくる。


 俺がどこかに連れて行くと思っているのだろうか。


 さすがに玄関は寒いし、出産に集中できない。


 生まれたばかりの子犬は体温が下がりやすいため、簡単に掃除できる環境で温度と湿度を保った産箱の準備が必要になる。


 簡単に言えばカラアゲが生まれた時と同じ、簡易孵卵器のようなものだ。


「ポテトも一緒に行くぞ」


 俺はポテトも抱えてすぐに移動した。


 犬は体温が下がってから約12時間後には出産が始まると聞いている。


 ちょうど今頃、体温が下がった段階なら今日の夜中に出産になるのだろう。


「ポテトはしっかりチップスを守ってあげるんだぞ!」


 俺の言葉にチップスも頷いていた。


 出産しやすいように、元々空いていた部屋にチップスとポテトを運ぶ。


 毛布に二匹とも置くと、俺はスマホを壁際に立てかける。


「皆さん、こんにちは! チップスが出産しそうなので、監視のために生配信させて頂きます」


 状況を確認できるように生配信を流す予定だ。


 それに俺も祖父母も犬の出産に立ち会ったことがないため、何かあった時にすぐにアドバイスができる人がいるかもしれない。


 部屋の温度を調整して、加湿器をつけて部屋を後にした。


「パパ!」


 ドリはすぐにタブレットを持ってきた。


 今回はこれで部屋の中を確認する。


 名無しの凡人 最近

 おっ、ついに生まれてくるのか!

 何かあったら教えてくれ。

 ▶︎返信する


 孤高の侍 最近

 影が薄い拙者が直接見てこようか?

 ▶︎返信する


 貴腐人様 最近

 とりあえず獣医を10人雇えばいいかしら?

 ▶︎返信する


 鉄壁の聖女 最近

 きっとドリちゃんも初めて見る光景にワクワクしているんじゃないかな?

 ▶︎返信する


 オサレシェフ 最近

 珍しく視聴者もソワソワしているな。

 ▶︎返信する


 実際に視聴者として見るときは、こんな感じなんだろう。


 春樹が言うようにみんなもポテトと同様に落ち着きがない。


「今からチップスの子どもが生まれるから、俺達も応援しないとね」


 応援という言葉にドリはすぐに反応して、チップスがいる部屋に戻っていく。


 ドリなりにチップスを応援したいのだろう。


 ストレスにならないように移動させたが、ドリにはそれが伝わらなかった。


 俺はすぐに呼びに行こうとしたが、ドリが何かをずっとやっているのがタブレットの画面越しで見えた。


「のびのびか?」


 ドリは両手をあげて、おまじないをかけていた。


 俺はタブレットからコメントを残す。


 森田直樹 最近

 皆さんも一緒におまじないでチップスを応援してください。

 ▶︎返信する


 名前と書いてあった欄に本名を入力したら、そのままコメントで出てきてしまった。


 編集しようにもたくさんのコメントが流れてきて、俺のコメントは埋もれた。


 よほど気にしていないとみんなも気づかないだろう。


「のびのびー!」


 画面越しに聞こえるドリの声とともに、俺も一緒におまじないをかけた。

「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」

「ほちちょーらい!」

 ドリは両手を振って配信を終えた。


ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!

他の作品も下のタグから飛べますので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

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