101.配信者、日常がおかしいですか?
「んー、中々イノシシって来ないんだね」
いざ、パノラマカメラを付けた影響か、中々イノシシは姿を現すことがなかった。
向こうも警戒をしているのだろうか。
他の畑を見て回っているが、荒らされた痕跡はないようだ。
「パパ、ふりゃぐメッ!」
『グルルルルル』
「ああ、ごめんね」
なぜかドリとポテトに怒られてしまった。
俺は何かをしてしまったのだろうか。
「ドリちゃーん!」
そんな俺達を遠くから声をかける人がいた。
「新作のデザートを持ってきたけど食べるか?」
そこにいたのは幼馴染の春樹と百合だった。
手には大きめのカゴを持っている。
「たべりゅ!」
すぐに反応したドリは走って二人の元へ向かった。
そういえば、二人に会ったのは久々な気がする。
前と違ってどこかに行く時には、手を繋いでいる二人を見ると仲良くなったのだろう。
最近は春樹達もお店の準備で忙しいと言っていた。
一から作ると時間も結構かかるらしい。
それでも関係が崩れていないところを見ると一安心だ。
仕事が忙しくなると、家のことって後回しになっちゃうからね。
俺もたまに畑作業が優先になって、ドリに怒られている。
「家に帰って食べる?」
「んー、て!」
ドリは少し悩んでいたが、自分の手を俺に見せてきた。
さっき途中でさつまいも畑の土いじりをしていたから、手が汚れていると言いたいのだろう。
土の中にも菌が潜んでいるため、手を洗った方が良さそうだ。
「じゃあ、家に帰ってから食べようか」
俺達は一旦家に帰ることにした。
帰り道、ドリと百合は仲良さそうに話していた。
「ドリちゃんは最近何して遊ぶの?」
「シャンシャン!」
「シャンシャン?」
急にシャンシャンと言われて百合も戸惑っていた。
春樹や俺の顔を見て助けを求めているようだ。
「あー、新しいドリの友達だな」
「えー、私がドリちゃんの一番の友達なのに!」
「にへへへ」
ドリは百合に友達と言われて嬉しいのだろう。
そんなドリを見て、百合も嬉しそうにしていた。
「なあなあ、俺の娘可愛いだろ」
ここにも百合を見て嬉しそうにしているやつがいた。
「いや、ドリも可愛いだろ?」
「いやいや、百合の方が――」
「いやいや、ドリの方が――」
「パパ達おそいよ?」
「パーパー!」
俺と春樹が我が娘自慢大会が始まると止まらない。
隣ではポテトが呆れた顔をしていたが、もう少ししたらお前もこっち側に入ってくるからな。
「まぁ、どっちも可愛いよな」
「そうだな」
子ども達に呼ばれた俺達は急いで二人を追いかけた。
「ばあちゃんただいま!」
「あら、おかえり。百合ちゃん達も来たんだね」
「お邪魔します」
家に着くと祖母が玄関で出迎えてくれた。
何か外で音がしていたが、俺達は気にせず手を洗って居間に向かう。
「おおお、おい! これどういうことだ?」
「どういうことって?」
「なっ、なんで熊が家にいるんだよ!」
「シャンシャン!」
裏庭では凡人と熊のシャンシャンが作業をしていた。
そんなシャンシャンに近づこうとしていたが、凡人に危ないからと止められていた。
「ポテトもおかしいが、あのシャンシャンってやつもおかしいだろ?」
「そうか?」
器用なのか木材を肩に担いで、二足立ちして歩いている。
熊だからそれぐらいはできそうな気もするが、それが普通ではないのだろうか。
「俺がおかしいのか……?」
「春樹は視野が狭いんじゃないのか? 世の中いろんなやつがいるぞ」
「いやいや、あれは……はい、すみません」
ギロリとシャンシャンに睨みつけられていた春樹はその場で静かに黙っていた。
「ブックマーク、★評価よろしくお願いいたします。ほら、ドリも」
「ほちちょーらい!」
ドリは両手を振って配信を終えた。
ぜひ、可愛いドリちゃんにたくさんの★をプレゼントしてください!
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