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「って、何やってんだ俺」
しかし期待外れにもミストルティンは矢に変化することはなく。
俺は投げた瞬間に消えてしまったステータスを開くためもう一度枝を拾って意識を集中させた。
「モードは置いといてこの『アイテムスロット』ってのは何だろう」
今は「なし」と書いてあるが、ミストルティンに何かアイテムが取り付けられるということだろうか?
表示から考えるに取り付けられるのは2個までってことなんだろうけど。
「といってもミストルティンにアイテムを取り付けるっていってもどうすればいいのかわからんな」
その手がかりは残りの一つである『モード』にありそうだ。
「でもアドソープションって何だ? 俺、英語はあんまり得意じゃ無いからわかんないぞ」
俺は『アドソープションモード』と書かれたステータス画面に指を伸ばし、何度かその文字をなぞるように左から右へ指先を動かしながら考える。
「せめて英語じゃ無く日本語で書いてあるかヘルプでも付いていれば良いのに」
そうぼやいた俺の眼前に新たなステータス画面が突然現れた。
いや、それはステータス画面では無く。
「ウソだろ。ヘルプが出て来たよ」
そこにはアドソープションモードがどういうモードなのかが簡潔に書かれていた。
「えっと、『アドソープションモードはミストルティンを触れさせたアイテムの形状や知識を吸収・学習させることが出来るモードです。』か」
簡潔すぎる。
だけどこれだけでも大体理解出来たのでよしとしよう。
「つまりこの枝を何かアイテムに触れさせると、そのアイテムのことを学習できるってわけだな」
俺はベッドから立ち上がると部屋を見渡す。
「それで学習したアイテムに変化させることが出来るに違いない」
と言っても部屋の中にあるのはベッドとテーブルセット、あとは部屋を照らすランプだけしかない。
「試すだけだからこれでいっか」
俺は枝を握りしめると、その先を壁に掛かったランプに触れさせる。
この灯りは火ではなく魔法の光だそうで、熱くないので触っても火傷する心配は無い。
「そういえばこの灯りってどうやって消すのか教えて貰ってないぞ」
俺が無能だとわかってから扱いが雑すぎて、メイドがそんなことすら教えてくれなかった。
「どこかにスイッチでもあるのかも知れないし、あとで探そう。それよりもこっちが先だな」
俺はミストルティンの力を使ってみようと意識を集中させ口を開く。
「さて、それじゃあ行くぞ! アドソープション!」