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「なんだこれ。何か書いてあるぞ」
『
ミストルティン
レベル:1
EXP:0 NEXT 10
形 態:デフォルト
モード:アドソープションモード
《アイテムスロット》
1:なし 2:なし
』
その板に書かれていたのはそんな文字と数字で。
「えっとミストルティン レベル1……? ミストルティンって聞いた事があるな」
たしか北欧神話に出て来たアイテムだったはずだ。
「たしか不死の神様を殺す道具にされたヤドリギだったかな? ん? ヤドリギ?」
確かあの占い師は言っていた。
この小枝は宿り木の小枝だと。
「霊感商法で押し売りされただけだと思ってたけど、もしかしてあの占い師は本当に凄い人だったのか!?」
小枝を握りしめる俺の手と声が震えてるのがわかる。
無能だと言われ、一人異世界でどう生きていけば良いのかわからなかった。
だがそんな俺に一筋の光が見えたのだ。
「神様、仏様、占い師様っ! ありがとう!!」
俺は部屋の外にいるであろう見張りに聞こえることも構わず、思わずそう喜びの声を上げたのだった」
「となれば次はミストルティンとやらで何が出来るか調べないとな」
俺は慌てて上体をベッドから起す。
すると俺の体の動きに合わせて目の前に浮んでいた半透明の板も移動した。
「それでこの板みたいなのが異世界ものでよく出てくるステータスってやつか」
俺はステータスに書かれた他の文字にもう一度目を走らせる。
『
ミストルティン
レベル:1
EXP:0 NEXT 10
形 態:デフォルト
モード:アドソープションモード
《アイテムスロット》
1:なし 2:なし
』
レベルとEXPは普通に考えてゲームでいうものと一緒だろう。
EXP、つまり経験値の横にNEXT10と書いてあるということは、何らかの方法で経験値をためて、それが10になればミストルティンがレベルアップするってことに違いない。
「異世界ものでは普通に読んでたけど実際にレベルとか存在する世界なんて不思議だよな」
しかし鑑定球とかいう能力を調べる道具がある世界だ。
いろいろなものが数値化されているのがこの世界での当たり前なのだろう。
「次の項目は形態か」
デフォルトということは、この木の枝がミストルティンの基本形態ってことだ。
となるともしかしてレベルが上がるなりなんなりすると別の形に変形できるのではなかろうか。
「たしか神様を殺したとき、ミストルティンは矢に変化したんだっけ?」
神殺しの武器というと中二心が刺激される。
「えいっ」
俺は試しに木の枝を枕の方へ「矢に変われ!」と言いながら投げてみた。