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召喚勇者とミストルティン  作者: 長尾隆生@放逐貴族・ひとりぼっち等7月発売!!


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 心地よい緊張感に身を委ね、俺はそのときを待つ。


 狙うのは今にもこちらに向けて倒れて来そうな数本の丸太の中央。

 さっき見たオークの頭部の位置を頭の中に思い浮かべ矢先を調整する。


 ドゴオオオオオオオオン。

 バギャッ。


 ひときわ激しい衝突音と共に丸太の根元がへし折れる音が響き渡る。

 と同時に倒れていく壁の隙間から――


「見えたっ!」


 オークの頭が現れると同時に俺は弦から指を離す。

 しゅるるるると小さな風切り音を残して炸裂矢が向かう先には驚愕の表情を浮かべたオークの顔。


 慌ててヤツは身を伏せようとする。

 だがもう遅い。


 十数メートルの距離で音速に近い速度で放たれた矢を避けるのは不可能だ。

 炸薬の放つ光と音が俺の目と耳を貫き、巨大なオークの顔は一瞬で粉みじんとなる。


「やった!」


 しかしそれでは終わらない。


「あとはまかせろ!」


 俺が喜んでいるその瞬間に、既に爆煙に向かって走り出していたルリジオンがそう言い残し、倒れ行く親オークの体を駆け上るように壁の向こうへ飛び出していく。


 そうだ、オークはあと一体存在する。

 煙の向こうで呆然と立ち尽くす子オークへ向かってルリジオンの剣線が走る。


 ギャアアォォ。


 耳をつんざく悲鳴は一度だけではなかった。

 ルリジオンは必死に反撃しようとするオークの攻撃範囲から僅かに離れた距離を保ちながら、その細身の剣で何度も何度も切りつける。


「いいかげんくたばりやがれっ!!」


 余裕の笑みを浮かべたまま、ルリジオンが子オークの頭にとどめの一撃を突き刺すのにそう時間は掛からなかった。

 だが見ている俺は気が気では無かったが


 そうして俺たちの初めての防衛戦は幕を下ろし、オークたちの体からは新鮮な肉と魔石、そして武具屋道具に加工出来る素材をいくつか採取した後、ルリジオンの浄化魔法で死体を魔素へ還元させた。


「本当に綺麗に消えちゃうんですね」

「魔物ってのは魔素の固まりみたいなモンだからな。ほっといても骨も皮も血も全部魔素に戻っちまうんだよ」

「じゃあどうして浄化したんです?」

「あ? あんなモンの横で壁の修理とかしたいのか?」


 ルリジオンの言う通りだ。

 魔物の死体はそのまま放置しても数日で消えるらしいが、それを目にしながら何かをする気にはなれない。

 それに数日とは言っても、その間に腐ったりもするらしいので神聖魔法が使える者がいれば浄化で、いなければ燃やすのが普通なのだそうだ。


「それと魔石はどこかに捨てて来た方がいいんですかね?」

「なんで?」

「だってまたオークの群れが襲ってきたらどうするんですか!」


 きょとんとした表情を浮かべるルリジオンに俺は詰め寄る。


「もう来ねぇよ」

「えっ」

「魔物の魔石に入ってる紋はな。対となる者しか呼ばねぇんだ」


 今回の場合、その対となる相手は俺が倒した親オークだったらしい。

 なのでそれを倒した今、もう他のオークを呼ぶことは無いのだという。


「見てみな」


 ルリジオンは親オークから取り出した魔石を拾い上げると一転を指さす。

 そこには例の紋と同じものがうっすら浮かんでいた。

 だが――


「薄くないですか?」


 ルリジオンの家の中で見た紋ははっきりとその形がわかったのに、目の前の紋は目をこらさないとわからないほど薄い。


「対が倒されたからな。もうすぐこの紋も、対になってるほうの紋も消えちまうさ」


 ルリジオンは魔石を懐にしまい込み「さてと」と腰に手を当て壊された櫓と壁を見る。

 そして心底面倒くさそうな声音で――


「それじゃあ夜までにとりあえず壁の修理するぞ。手伝えよ」


 そう言って笑ったのだった。




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