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「やってみろ」
俺はまずミストルティンを元の姿に戻してからステータスを開く。
『
ミストルティン
レベル:4
EXP:341 NEXT 350
形 態:デフォルト
モード:アドソープションモード
《アイテムスロット》
1:ノコギリ 2:金鎚(ランクA) 3:複合弓
《スキル》
アドソープション・使用法理解・経験取得・性能回復・鑑定
』
そしてアイテムスロットからノコギリを削除してから枝先を炸裂矢に触れさせた。
「アドソープション!」
『アイテム:炸裂矢 アドソープション完了――EXPを74獲得――レベルが上がりました。新しく『セカンダリアイテム』が追加されました。得られた知識と経験をマスターに転送いたします』
その声が頭に響き知識が流れ込んできた瞬間、俺は勝利を確信した。
*****
「セカンダリアイテム? なんだそりゃ」
「はい」
俺はミストルティンがレベルアップしたことと、新たなスキルを得たことをルリジオンに伝えた。
今のステータスはこんな感じである。
『
ミストルティン
レベル:4
EXP:415 NEXT 800
形 態:デフォルト
モード:アドソープションモード
《アイテムスロット》
1:炸裂矢 2:金鎚(ランクA) 3:複合弓
《スキル》
アドソープション・使用法理解・経験取得・性能回復・鑑定・セカンダリアイテム
』
間違いなく炸裂矢がアイテムスロットにある
「じゃあ見ててください」
俺はそう言って両手をルリジオンの前に突き出しながら「チェンジ スロット1、スロット3」と口にする。
すると右手に握りしめたミストルティンが複合弓に代わり――
「なっ。二つ同時だと!?」
同時に何も持っていなかったはずの左手に炸裂矢が生成されたのである。
つまりセカンダリアイテムスキルとはスキルスロットに保存されたアイテムを同時に二つ使用することが可能になるスキルだったのだ。
「しかも見てください」
俺は左手の炸裂矢をルリジオンに見せつけるように持ち上げると、その先端を彼に向けた。
「そうか、その枝っきれには『性能回復』とかいうスキルがあるんだったな」
「これならオークを倒せますよね」
「でもよ。そいつはその枝っきれが変化したモンだろ? 爆破しても大丈夫なのか?」
「それも問題ありません。セカンダリアイテムがいくら破壊されてもミストルティンにはダメージはないみたいなんで」
これも嬉しい誤算だった。
正直言って俺はミストルティンの性能回復スキルがあれば炸裂矢を復活できるのでは無いかと考えただけで、それが炸裂した場合どうなるかに思い至ってなかったのである。
焦っていたとはいえもしそれでミストルティンが破壊されてしまったら後悔どころではすまなかっただろう。
「しかしどうしたもんか」
「まだ何か問題でもあるんですか?」
「あるにきまってんだろ。炸裂矢があってもどこから撃つつもりだ?」




