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「様子を見に行ってくる、その間にリリは弓の準備だ」

「わかったよ」

「リュウジは俺に付いてこい」

「は、はいっ」


 エプロンを投げ捨て、ルリジオンはそう叫ぶと玄関を破るような勢いで家を出て行く。

 その後ろを追いながら俺は背中に向かって謝罪を口にする。


「ごめんなさい。俺、知らなかったんです」

「そんなこたぁわかってる。謝罪は後でどれだけでも聞いてやっから後にしろ」


 開拓村をぐるりと囲む丸太で出来た壁。

 音が響いてくるのは俺がたどり着いた場所から見ると左側面あたりだろう。


「とにかく何匹いるか見てみねぇと作戦もたてらんねぇからな」


 壁には何カ所か見張り台となる(やぐら)ような場所が作られている。

 そして音がする場所に一番近い(やぐら)の下にたどり着くと振り返り「気付かれない様に大きな声は出すんじゃねぇぞ」と俺に注意してから梯子上っていく。

 俺は小さく頷き返し、その後に続いた。


「……」


 一足先に上ったルリジオンが、(やぐら)の壁に隠れる様に外の様子を確認するのを見て俺も同じように壁の外を覗き込む。

 そして絶え間なく続く衝撃音の正体が見えたとき、俺は自分の口から飛び出そうになった悲鳴を両手で口を抑えることで止めた。


 丸太で組まれた壁に向かって、俺の体ほどもある腕を何度も振り下ろしているのは、昨日俺が倒したヤツよりも一回りデカいオークだった。

 それだけでは無い。


「あいつぁお前が倒したオークの旦那と子供達だろうな」


 五メートル以上はありそうな巨体のオークの足下。

 そこには三体の子オークが雄叫びを上げながら手にした得物を振り上げている。

 それぞれ二メートルほどはありそうな姿は、とても子供とは思えない。


「あれで子供なんですか?」

「生まれて一年も経ってねぇガキだな。まぁそれでも俺たちからすればバケモノにゃぁかわりねぇが」

「ど、どうしたら。あんなのに勝てる気がしませんよ」

「どうするってお前、こうなったら倒すしかねぇだろ」


 何を当たり前なことを言っているんだという風にルリジオンが呆れた様に応えた。


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