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 そして今回もう一つミストルティンについて新しい発見があった。

 というかそれは昨夜実はもうわかっていたことだったのだが、改めて今日認識したことなのだが。


「あんな使いやすい道具を触っちまったら、もう元のボロボロな道具は使えねぇな」


 ミストルティン自体の変形やアドソープション、鑑定などのスキルについては俺以外には使えない。

 だけど変形させたミストルティンを使うことは誰でも出来てしまうのだ。

 試しに今日は(かんな)に変形させたミストルティンをルリジオンに使って貰ったり、金鎚にしてリリエールに貸したりしてみたのだが。


「あれで時間制限さえ無きゃもっと便利なんだが」

「いきなりばーん!って飛んでっちゃったから、リリびっくりしちゃった」


 そう。

 ミストルティンの貸し出しには時間制限があるのだ。

 多分体感で二十分くらいすると自動的にミストルティンは変形を解いて俺の胸ポケットに飛んで戻ってきてしまうのである。


「まぁおかげで盗まれても無くしても戻ってくるとわかって安心はしましたが」

「でもよ、時と場合によっちゃ結構危ないかもしれねぇから時間には注意して使わねぇとな」


 ルリジオンはそう言うと座り込んでいた床から立ち上がり「それじゃあリリ、そろそろ夕飯の準備するぞ」とキッチンへ向かいかけ。


「兄ちゃんも今日からは客人じゃねぇから手伝って貰うぜ」


 そう髭を撫でながら俺をキッチンに手招きする。


「あ、はい。もちろん手伝いますよ」


 客人じゃ無いということは俺はこの開拓村の一員としてここにいてもいいということなのだろうか。

 彼らにしてみれば突然やって来て異世界人だの勇者だのと世迷い言を口にする怪しい人間だというのに。


 俺は心がほっこりと温まる様な思いでルリジオン達が消えていったキッチンに小走りで向かおうと一歩踏み出し――


「えっ……」


 その時になって初めて気がついた。

 部屋の隅にこの家に来てからずっと置いていたリュックがうっすらと明滅している。

 いや、リュック自体が光っているわけでは無い。

 中に入っている何かが光っているのだ。


「ルリジオンさん! ちょっと来てください」


 俺はリュックに近づきながらキッチンに向けてルリジオンを呼ぶ。

 この世界について全然知らない以上、この現象が何かわからない。

 もしかするとリュックを空けた途端に光を発している何かが爆発したりするかも知れない。


「なんだ、いきなり切羽詰まった様な声出しやがって」

「これ見てください」


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