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「それじゃあ早速だがここにある道具全部やってくれるか?」
昨日と同じごちゃ混ぜスープでの朝食を終えた後、俺はルリジオンに連れられて村の納屋へ向かった。
そこにはかつての開拓民が置いていったという農具や開拓のために必要な器具が入っているらしい。
「これを全部……ですか?」
「出来るんだろ?」
ルリジオンは納屋の中からいくつかの道具を引っ張り出すと地面に並べ、俺にその全てをアドソープションするように言った。
「実は一日に覚えさせられるのは今のところ二つまでっぽいんですよね」
「二つ? 昨日聞いたときは何でも覚えさせられるって言ってたじゃないか」
「何でもとは言ってませんよ!」
どうやらルリジオンは半分眠りながら人の話を聞いていた様だ。
俺も疲れでうとうとしながら話していたから、もしかすると俺が適当に返事をしたのかも知れないが。
「レベルアップすればもっとスロットも一日にアドソープション出来る数も増えるかも知れませんけど、今のところは二つまでです」
「なるほどね。で、レベルアップするにはどっちにしろその枝に覚えさせる必要があるんだろ?」
ルリジオンと話していてわかったことだが、元の世界の単語は自動的にこの世界の似た言葉に翻訳されて伝わるようで。
一々レベルの意味とかを説明しなくて良いのは助かる。
「そうですね。一応経験を沢山積んだものや凄い道具ほどもらえる経験値は高くなるらしいんですが」
最初にアドソープションを使ったとき、頭に流れ込んできたミストルティンの説明。
その中にあった説明だとそういうことらしい。
「伝説の剣とか凄い人の使った道具とか無いですかね?」
「そんなもん、こんな所にあるわけねーだろ」
「ですよねぇ」
俺はとりあえずルリジオンが並べた器具を一つ一つ見ながら考える。
全てかなり使い込まれているものばかりで新しいものは一つも無い。
この開拓村が捨てられてからどれくらい経っているのかはわからないが、見かけだけならそれほど酷いものは無さそうだ。
たぶんどれをアドソープションしてもそれなりの経験値は得られるだろう。
「とりあえず今のところ一日二個までなんで、今日使う予定の道具があるならそれにしましょう」
「しゃーねーな」
ルリジオンはボサボサの頭をがりがりと掻きながら、器具の山から二つのものを引きずり出した。




