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 まさか指示してないのに姿を戻すとは思わなかった。

 それどころか。


「あっ」


 突然小枝(ミストルティン)が宙に浮いたかと思うと猛烈なスピードで俺に向かって飛んできたのである。

 一メートルも離れていなかった俺はとっさに避けることも出来ず――


 すぽん。


 そのまま小枝(ミストルティン)は俺の胸ポケットに入るのを目で追うしか出来なかった。


「おい、リュウジ! これは一体どういうことなんだ! なんなんだよそれ!」


 隣りの部屋でリリエールが眠っていることすら忘れたのか、ルリジオンが大きな声でそう言いつつ俺の胸ポケットを指さす。

 言いたいことは凄くわかる。

 俺だって突然こんなことが目の前で起こったらパニックになるだろう。

 というか俺自身も結構パニクっている。


「あ……えっと……ちょっと深呼吸しても良いですか?」


 俺は自分自身を落ち着かせるためと、どう説明したら良いのかを考えるためにゆっくりと深呼吸をした。

 ミストルティンのことは、ルリジオンたちのことをもう少し知って信用できると確信するまでは話さないでいようと考えていた。

 だが今更それを隠しきれるとも思えない。


 それにどうやら彼らもバスラール王国には何かしら恨みを持っている同士のようだし。

 ここは素直に話して、むしろこれからの異世界生活を助けて貰った方が良いだろう。


 俺はそう決めると、胸ポケットからミストルティンを取り出し話し始めた。


「さっきの俺の話の中で一つだけ隠してたことがあるんです」

「それって、その枝のことかい?」

「はい。実は――」


 そして俺は異世界に召喚される前からここにたどり着くまでのことを話す。

 ミストルティンを押し売りされ、その力を知り、オークを倒し、行き倒れになりそうになってこの村にたどり着くまでの話を。


 そうして俺が幸せを掴む開拓村でのはじめての夜は過ぎていったのだった。


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