孫武さんってこんな人です。
孫武|（生年不詳- 没年不詳）
中国古代|（春秋時代）の軍事思想家。武将。
現在に伝わる兵法書「孫子兵法」の作者と比定されている。
姓が孫、諱（本名）武、字（通称名）は長卿。一説に諱不明で字を子武とも。孫子は尊称。
出自は「史記」などによると、斉（現在の中華人民共和国山東省周辺）の貴族「田氏」の一族。「呉越春秋」では呉の出身とされる。
紀元前517年頃、一族内で内紛が起ったため、一家を連れ呉へと逃れる。
この時、呉の政治家で軍人|（後に宰相）の伍子胥の知遇を得ると、王都・姑蘇（現在の江蘇省蘇州市）郊外の山間に蟄居して、兵法書『孫子』十三篇を著作したという。
紀元前515年、伍子胥によって呉王・闔閭に推挙されて登用される。
孫武は将軍に任じられて、楚の影響下にあった鍾吾と徐を攻略する。
闔閭がその勢いに乗って楚の本国を攻めようとするのを、孫武は、「戦争が続いたため呉の国力が疲弊していること、それに乗じて隣国の越が攻め込む可能性があること」を説いて、王に大規模出兵を思いとどまらせる。
紀元前506年、国力が回復すると闔閭は孫武と伍子胥を左右将軍として楚へ出兵させる|（柏挙の戦い）。
孫武は陽動作戦で楚の主力を翻弄し疲弊させる策を用いて、三万の兵力を持って二十万の楚軍に大勝。十日のうちに楚の王都・郢城を陥落させた。
紀元前496年、闔閭は孫武の反対を押し切って越を攻める。この戦で闔閭は敵の矢によって負傷。その傷が悪化して死亡した。
紀元前495年、闔閭の次男・夫差が即位すると、孫武は伍子胥と共に補佐する。
呉は国力を養い、しばらく後に越王勾践の軍を破った。
これ以後の孫武の後半生については記録が少ない。
『呉越春秋』では、讒言されたため職を辞したとされ、その後の史料には孫武に関する記述は一切無い。
伍子胥が夫差によって誅されたときに孫武もまた誅殺された、あるいは、隠棲して「孫子兵法」の改良に取り組んだ、などの伝承もあるが、定かでは無い。
また、墓所も不明である。
このため、孫武の実在、あるいは事跡に関する史実性を疑う説もある。また逆に、『史記』孫子伝の信憑性の方を疑う研究者もいる。
後年、戦国時代の斉の軍事思想家・孫臏や、三国時代の呉王・孫権らは、孫武の子孫と称した。
