五個のアレと七個のアレが重要っす。
はい、じゃあオレの考え、ガッツリ語ってっちゃいますよ。
あ、最初に話すのは「基本のキの字」なんで、まずは取りあえずさらっと聞いて覚えとくって感じでお願いしますね。
詳しい話は追々、後の方で細かくやってきますよ。
じゃ、いいですか?
さて。
そもそも、戦争ってのは、国家単位の一大事ですよね。
始まっちゃったら、人がいっぱい死ぬかも知ンないし、国土はボロボロに荒れちゃうかも知ンないし、失敗すると国自体が滅亡しちゃう感じ? だってマジでアリアリなんですから。
だから、自分の方から仕掛けるんなら、本気で戦闘開始その前に、メチャクチャ、よくよく、真剣に考えないとイケナイかなー、なんて、俺は思っちゃってたりするワケですよ。
んじゃ、何を真剣に考えちゃうのかって話になりますよね?
それ、今からざっくり考える順番を言ってきますね。
一番目に考えなきゃなんないのは、自分たちのチームの事。これ、五個ぐらい考えましょ。何を五個なのか、ってのは後で説明しますよ。
二番目に、自分たちチームと相手チームを比べっこします。ポイントは七個ぐらいになりますかね。どんな七個なのかは、コレも後で。
そのためにしっかり情報集めちゃってください。相手チームのこともだけど、比べっコするんだから、自分たちチームについても客観的な情報を集めとかなきゃ、ですよ。
三番目に、集めた情報や比べっこの結果をガッツリ検討しちゃいます。
このプロセスを経て、初めて、
「戦争やって良いかなー」
って所、つまりスタートラインの手前に到達です。ここでようやく「位置について」なんですね。実際の戦争の内容なんてものについては、そのあとから考え始めるのが良いじゃないかなーって、オレは思う訳ですヨ。
で、一番目に考えなきゃいけない自分達チームの五個ぐらいこと、ですけど、それなぁに? って話になりますよね?
ズバリ言っちゃいます。
一個目が「道」。
二個目が「天」。
三個目が「地」。
四個目が「将」。
五個目が「法」。
はい、この五個、しっかり覚えてくださいよー。
まず「道」ってのは、民衆が王様と同じゴールを目指すよーに持ってく道筋……漢字二文字で言うと政治っすね。
政治が上手いこと回ってると、その国の中は平和ってことになる。民衆は王様を信頼し、尊敬して、あがめちゃう。
そういう下地が出来てると、何かコトが起きたときに、民衆が、
「敬愛する王様のためなら恐れるものなし!」
って叫びながら、フルスロットル&ノーブレーキで壁に向かって突っ走ってくれるってワケっすよ。戦争っていう壁に、ね。
もの凄いパワーでぶつかったら、ぶつかった壁の方がぶっ壊れてくれちゃうでしょ?
いやー、民衆の力って、ホント、おっかないっすねー。上手いこと制御するのが政治力ってヤツですからね。
それから次の「天」ってのは、ぶっちゃけお天気っすね。
朝なのか夜なのか、寒いのか暑いのかとか。晴れてるのか降ってるのかとか。これ、それぞれに行動変えないと行けませんもんね。
それから「今何時?」っての、割と重要なんで。
仲間内でちゃんと時刻合わせしとかないと、一部隊だけ先走っちゃうとか、逆に取り残されちゃうとか、そういう残念な事故が起きちゃったりしますからね。
お次の「地」は場所の条件っす。
「そこ、ウチから遠いの? 近場なの?」
とか、
「道とか歩きやすい?」
とか、
「会場は広いの? 狭いの?」
とか、
「山の上? それとも下の方?」
みたいなヤツです。
距離とか地形によっちゃぁ、戦い方ってゆーのは、もうゼンゼン変えてかないと行けませんから、この辺「要チェック」なんですよ。
あと、「将」はリーダーの資質っす。
現場で指揮を執る将軍さんは、どんな人が良いいと思います?
俺は、頭がよくて、仲間から尊敬されてて、優しくて、勇気があって、真面目な人がイイカンジかなーって思いますね。
当たり前だと思うでしょ? これ、なかなか大変なことなんですねー。
だってほら。本人が駄目でも「ご先祖さまの七光り」で出世しちゃう人って、いるじゃないですか。実務経験無しで役職付いちゃうってやつ。
そういう判ってない人が現場の仕事しちゃうと、もう大変なことになっちゃうんすよ。
最後の「法」っては、つまりルールのことっすね。
兵隊の役割とか、官僚の権限とか、地元にいる王様と現場にいる将軍さんの連絡方法とか。そういうのは、きっちり決めとかないとマズいっしょ?
それから、成功したら褒める、失敗したら叱る、やらかしたら罰する、ってのもは、当たり前っちゃぁ当たり前のことですけど、これもちゃんと基準を決めてやらないとイケないでしょ? 王様や将軍の気分や好き嫌いなんかで、怒られたり褒められたりがコロコロ変わっちゃうんじゃ、これまたマズいことになっちゃいますよ。ご用心、ご用心。
この五つ、まあ大概の将軍クラスの人なら聞いたことぐらいはあるんじゃないかなーと思いますよ。
でも、聞いたことがあるのと理解しているってのは違いますからね。
ちゃんと理解して活用できるかどうかが大問題。
この辺が判ってないヤツは、はっきり言っちゃって、何やっても絶対勝てないんで。
ま、こんな感じで、なんだかんだで自分チームにとっての重要事項が五個くらい判ったとしましょう。
そしたら第二段階。今度は、相手チームの情報をちょこちょこっと入手しちゃいます。
入手の仕方ですか? だからほら、それは「詳しくは後ほど」ってヤツですよ。今はざっくり流れだけ追って下さい。
ともかく、相手さんの情報をサクッと入手したら、今度は七個のポイントをチェックしていきましょう、と。
一つ、どっちの国の王様の方が人気者か。
王様に人気がちょっとしか無いと、民衆はチョットしか走ってくれません。
チョットしか走ってくれなきゃ、壁に向かって突っ込んでゆく人達もチョットしかいないってコトで、チョットの人達しか突っ込んでくれなきゃ壁はあんまり壊れない。
つまり、王様に人気のある国の方が強いってコトです。
二つ、将軍はどっちの方がイけてるか。
もし、両方のチームが同じ条件だったとしても、ですよ。
よりイけてる将軍が号令した方が上手くいくってのは、これ当然じゃないっすか。
さっきもチョロッと言いましたけど、そもそも現場で指揮する人が無能じゃだめなんすけどね。
三つ、お天気や場所はどっちがお得に利用できちゃえそうなのか。
雨が降ったとき、日照りが続いちゃったとき、食料の輸送とか水の補給をどうしようか、なんてことを考えないと、これまた大変なんですよね。
どれくらい準備する必要があるか、どのくらいの距離を運ばなきゃイケないか、って話になると、高台がどの辺にあるかとか、川はどう流れているか、とかも重要になってきます。あと、戦場にはどっちが近いか、なんてことも地味に大切ですよ。
詳しいコトは追々説明しますから、ちょい待ちで。
四つ、ルールはどっちの方がちゃんと運用されてるか。
グループ間の連絡の取り方とか、最終的に誰の命令を聞いたら良いのかとか、そういうのを細かい所まできっちり決めとかないと、いざってときに混乱しちゃったりしちゃうって話は、さっきもしましたよね?
だからそういうことがよりキッチリ決まってて、よりガッチリ実行されてる方が有利なワケですよ。
五つ、チームの総合力はどっちの方が強いのか。
兵隊さんの人数とか、戦車の台数とか、掛けてるお金とかは、多いに越したことはないですけど、それだけが強さの秤じゃないんですよねー、これが。
兵隊さんたちの士気のアがり具合、国元の国民の応援の状況、それから偉い人達の思惑なんてあたりまで比べて、全体的にどっちの方が強いか、って事を考えましょう、ってことですね。
六つ、兵隊さんはどっちの方が訓練できてるか。
これも後で詳しく説明しますけど、数の多さだけで押し通せるのは、こっちの兵隊さんが敵さんトコよりも十倍以上多いときぐらい、なんですよ。
それ以下の兵力差だったら、より練習を積んでるほうのグループの方が有利にっちゃいますね。
七つ、褒めたり叱ったりは、どっちが正確にやってるか。
例えば、褒めたり叱ったりに不公平があったとしましょうか。それ、兵隊さんたちの士気がゴッソリダウンします。
要するに、褒めたり叱ったりがちゃんと出来てるほうが士気がガツンとアゲアゲだから強い、ってことです。
いやぁ、オレってばいつもこの辺きっちり調べて、かっちり把握してから戦争おっ始めるんで、いっつも勝っちゃうんすよねー。てへぺろ。