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急がば廻れ、っす。

 オレの考え、言っちゃいますよ。


 戦争(センソー)っていう国を挙げての()()()()()をやる手順なんですけども。

 まず、将軍(リーダー)のところに王様から命令が出ちゃいます。そしたら、必要な数の兵隊(メンバー)さんを招集しちゃう。んで、行軍して陣地(ベース)の設営とかをする。

 そうやって準備が出来たら、敵さんチームと戦うって段取りなワケですですよね。


 で、実際一番しんどいのは、どうやって戦い始めるかって事じゃないですかね。

 いや、当たり前の話だっておっしゃいますけども。


 ほらさっき、(セン)(ソー)主導権(イニシアチブ)を取るためには、相手より早く行動した方がイイって話したじゃないですか。覚えていらっしゃいますか?

 そのコツってのをサクッと言い表すと、【急がば回れ歩道橋】、みたいな。


 目的地が(ヒト)(ケタ)(コク)(ドー)の向こう側のすぐそばに見えたとしましょうか。真っ直ぐ進めば近いような気がするけど、実際、交通量なんか半端なくバリバリで、かえって渡るのが手間なんですよ。第一危なっかしいじゃないですか。

 歩道橋は階段上るのがしんどいように見えるけど、その手間を考えたとしても、実際には安全確実でお得なルートだったりするんですよ。


 急がば回れ……じゃ交通安全標語みたいで、ちょっとダサい、ですか?

 じゃ、格好いいネーミングしちゃいましょう。

()(ちょく)の計」

 ってのはどうです? 


 この、(マワリミチ)(チョクシン)を上手いこと使い分ける作戦ってヤツを知っている人は、

「遠回りしてるように見せかけて相手を油断させておいて、ガッツリ優位なポジに着いちゃう」

 とか、

「遅刻確定なスタートなのに、相手より早くゴールしちゃう」

 みたいな凄い(ゴイスー)なコトが出来ちゃんです。


 大体、(セン)(ソー)ってのは、そりゃ上手いことやればお得な結果が着いてきますよ。でも、危ないことこの上ないものもまた(セン)(ソー)ってヤツでして。

 いくら戦場に早く着いた方が良いっていったって、「全軍(グループゼンブ)」をひとまとめにして進もうとしたら、どうしたって動きは鈍くなる。

 そもそも「全軍」の中には歩兵(あるき)騎兵(ライダー)や軽装備の「足の速い部隊」も、荷物が多かったり重装備だったりする「遅い部隊」も入り交じっちゃってる訳でしょ? 全員に同じことさせたら、絶対バラバラになっちゃいますもん。


 だからって、足の速いとこだけ先に突っ走らせちゃったりしたら、大きな道具や機材を運んでる輜重部隊(バックアップメンバー)が取り残されちゃう。人員(ヒト)だけ先に着いちゃって、機材(ドウグ)が届かないんじゃ、陣地を作ったりとかできないじゃないですか。

 そんなことになったら、いくら相手チームより早く現地入りしたって、相手チームより準備が遅れちゃいます。それダメじゃん。意味ないじゃん。違いますか?


 もしも、デスヨ。

 鎧とか着なくてもイイから、ともかく身軽な状態で、朝から晩まで、普通の倍の距離を突っ走って、四百(キロメートル)離れた戦場を目指せ、なんてスケジュールを組んだとしましょうよ。

 そんなモノ、全軍敵さんに捕まって(シュー)(リョー)、ですよ。

 だってそうでしょ? そんな無茶したら、元気の良い連中だけ先に進んじゃって、ヘトヘトさんたちはドンドン遅れて、脱落しちゃう。しんど過ぎて、逃げ(エスケープし)ちゃう兵隊(メンバー)も出るんじゃないですかね。

 そうすると、目的地に着いたときには人数が最初の十(パー)ぐらいになっちゃってますよ。


 半分の二百(キロメートル)の移動距離だったとしても、一番に現場に着いた部隊の将軍(リーダー)さんなんかはもうヘロヘロに疲れちゃってるから、サクッと敵さんにヤられちゃっうかもしれませんねぇ。んで、兵隊(メンバー)さんも半分は落伍(ドロップアウト)してるんじゃないですかね。

 コレじゃ勝てる訳がない。


 百二十(キロメートル)でも、三分の二ぐらいの人数の兵隊(メンバー)さんしか目的地までたどり着けないんじゃないですかね。

 ついてこられなかった三分の一ってのは、大体が足の遅い荷物の多い部隊ですよ。機材や武器やなんかを運んでくれてたり、兵隊さん(メンバー)のご飯のや牛馬の(フード)なんかを運んでくれてる大切な部隊(バックアッパー)ですね。

 戦場にそういう大事な裏方さんがいなかったら、どうなっちゃいます? 

 オレにはバッドエンド以外のエンディングが想像できませんよ。


 あ、そうそう。

 (セン)(ソー)なんていう()()()()()()()()をやるからには、ご近所の王様さんにちゃんとお話をして、味方に付けとかないと不味(マズ)いっすよね。だからそういう()()()()()の思惑が判ってないといけない。

 どういうご接待をしたら喜ぶかな、とか、何をお土産(ミヤ)にしたら仲良くしてくれるかな、とか、よーく考えて話し合っておく必要がありますよねー。

 他所(ヨソ)の王様の皆さんだって、自分のところに得があれば、そりゃ協力を惜しまないでしょう。みんな利益が欲しいんですもの。

 逆に、損が降りかかって来るなら、むしろ敵さんチームの方に付いちゃおうってことにだってなっちゃう訳ですよ。


 あと、戦場になるところは(モチ)(ロン)、通り道や、万一の時の逃げ道になる場所の、地形……山とか林とか、谷や崖、川や池なんかをよく知ってないと、行くも帰るもままならなくないですか?

 そういう慣れない所に行くときには、その辺りに詳しい案内役(ガイド)が必要ですよ。地元の人を案内役(ガイド)さんに雇っちゃいましょうよ。

 地形が判ってないと、例え上手く使えばこっちが有利になりそうな(バツ)(グン)の地形があったとしても、気付かないまま利用できなかった、ってことになっちゃったりしますもん。


 どうしても(セン)(ソー)しないとイケないってことになったら、最低限、あらかじめ自分のチームが有利になるようにコトを進めておきましょう、ってことですよ。

 んで、そういうのが敵さんにバレないようにしておく。……ってか、むしろこっちが不利になってるみたいに思わせて騙しちゃう。

 向こうが油断している間に、こっちは余裕で行動しましょう。

 余裕かましながら、全員で固まって動いた方が良いときと、小分けにして行った方が良いときを見極めて行動する。……つまり臨機応変(リンキオーヘン)に行動しちゃうのが良いんですよね。


 ああ、オレってば臨機応変(リンキオーヘン)って言葉、大好き過ぎるかも。


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